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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

原因のさぐり方

2015.05.20女性の不妊原因について教えて!

答えてくださった先生は・・・
石川聖子先生
銀座レディースクリニック院長/医学博士
いしかわ・しょうこ 
1996年、東京医科大学卒業。東京女子医科大学にて産婦人科学、生殖内分泌学、ART(生殖補助医療)の研修。2000年、東京女子医科大学大学院医学研究科卒業。2001〜2003年、米国Drexel University (PA) およびDelaware Institute for Reproductive Medicine (DE) において体外受精着床前期胚による染色体診断の臨床実施と遺伝子診断の研究。2005年、東京女子医科大学 生殖内分泌・不妊外来、ARTチーフ。同大、准講師を経て非常勤講師。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医、日本生殖医学会・生殖医療専門医。
妊娠時期が35歳を過ぎそうなら、妊娠できるか一度確認を!

子どもを授かりたいと考えている女性が35歳を超えての妊娠になりそうなときは、その時点で一度、妊娠を妨げるような要因がないか、専門の医療機関で診てもらったほうが良いとのこと。
女性側の不妊原因にはどのようなものがあり、どのような検査を行うのか。都心で働く女性たちや、地域に住む女性たちの婦人科医療、不妊治療を担っている、銀座レディースクリニックの石川聖子院長に伺いました。

【不妊の原因編】
不妊の原因は、複数がからんでいることも。
子宮内膜症と診断されたら、放置せず必ず定期的に受診をして!
また排卵周期が不規則な場合も早めに専門医に相談を

女性の主な不妊原因には、排卵障害(20%)、卵管因子(10%)、子宮因子(15%)、子宮内膜症(20%)が考えられます。

それぞれの数字は、複数の病院が合同でデータをとって推測したものですので、あくまで目安として捉えてください。
また複数の原因がからんで不妊となっている場合もあります。

どんなに調べても原因が不明な場合や、女性が高齢なために卵子の状態が良くないことが原因であることもあります。

排卵障害、卵管因子、子宮因子、子宮内膜症の4つについて、それぞれ説明していきます。

 

<排卵障害>

排卵は、下の図を見てもらうと分かるように、卵巣が単独で行っているのではなく、脳の「視床下部」と「下垂体」、そして「卵巣」、それぞれから出るホルモンが連携して、卵胞(卵子の入っている袋)の発育や排卵を調節しています。

そして排卵障害と一口に言っても、

1:排卵していない

2:排卵はしているが周期がバラバラ

3:無排卵の周期がある

などのケースがあります。

この1から3の症状を起こす原因が、視床下部に由来するものなのか、下垂体なのか、卵巣自体なのかを検査をして見極めていきます。
図

そして排卵障害を起こしている原因(疾患や症状)は、「比較的治療がしやすいもの」と、「治療をすることが難しいもの」に分けられます。

「比較的治療がしやすいもの」としては、体重減少性無月経や多嚢胞性卵巣症候群、ゴナドトロピン単独欠損症、高プロラクチン血症などがあります。

反対に「治療が難しいもの」には、卵巣自体に障害がある早発卵巣機能障害や、先天性の性腺発達障害(例:ターナー症候群)などがあります。

基礎体温をつけてみて、排卵がない、あるいは排卵の周期が一定(レギュラー)でないことが分かった場合は、そのまま放置をせず、なるべく早く医療機関で原因を調べてみることが大切です。

原因が不明な排卵障害、「多嚢胞性卵巣症候群」(PCOS)

原因不明の排卵障害であるPCOSは、成人女性の3〜5%という高い頻度で現れる疾患です。

軽度の場合は35〜40日の間隔で排卵がありますが、重度になると半年以上排卵がない場合もあります。

PCOSは排卵障害さえクリアできれば妊娠は可能です。排卵障害の重症度により治療法や効果が異なります。

 

<卵管因子>
卵管障害は、

1:卵管の通過性が良くないもの

2:卵管采(らんかんさい:イソギンチャクのような形をした卵管の先端部分)に問題があり、卵巣から排出された卵子をうまく吸い上げて卵管に送ることができないもの(通称ピックアップ障害)

という2つに分けられます。

 

これら2つの障害が起きる原因としては、子宮内膜症、クラミジア感染症による卵管炎、手術の後遺症としての癒着があげられます。

卵管造影や卵管鏡などの検査をすることで、ある程度は原因を特定することができます。

しかし、“本当にピックアップ障害が起きているのか”は、排卵の現場を見ることができないので調べようがないのも事実です。

卵管障害により不妊になっているのでは・・・と考えられる場合は、卵子(卵胞)を取りだして、体外で精子と受精をさせて子宮に移植をする「体外受精」などで治療を行うことが可能です。

もし子宮内膜症やクラミジア感染症、卵巣の手術など危険因子(リスク)に心当たりがある場合は、一度検査を受けてみると良いでしょう。

 

<子宮因子>

子宮には2つの役割があります。

ひとつは子宮内膜で受精卵の着床を成立させること、もうひとつは宿した赤ちゃんを守り育てることです。

このうち不妊に関係するのが、受精卵の着床がうまくいかない場合です。

この受精卵の着床がうまくいかない原因として、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜の機能不全があげられます。

順にご説明します。

 

1:子宮筋腫

女性のおよそ30%にみられる疾患です。筋腫(子宮の筋肉内にできる良性の腫瘍・こぶ)が、子宮内膜に近ければ近いほど、着床を阻害しやすく不妊の原因になりやすいとされます。

2:子宮腺筋症

子宮筋腫より少しやっかいな病気で、子宮内膜症によって起こります。

子宮内膜症というのは、子宮の内側を覆っている子宮内膜が本来の場所である子宮以外で増殖することにより起こる疾患ですが、このうち、内膜の増殖が子宮筋層に限局したものを子宮腺筋症と呼びます。

治療が難しく、進行すると妊娠することが難しくなるので、早めの診断とその後の手厚いケアが重要です。

3:子宮内膜ポリープ

子宮の粘膜にできるイボで、不妊の検査でも見落とされやすい疾患です。

ポリープがあると、受精卵が子宮内膜にたどり着いても着床できないことがあります。

治療は、鉗子でポリープを除去する場合と、子宮鏡(子宮口から入れるファイバースコープ)を使いながら電気メスでポリープを切除する場合があります。

4:子宮内膜機能不全

過去の妊娠中絶や流産などで、子宮内容除去術を受けたことがあると、子宮内膜が厚くなりにくく(再生しにくく)なっている場合があります。

この子宮内容除去手術は、子宮内膜をこすって取り出すので、子宮内膜が再生しにくくなってしまうのです。

また加齢によっても、子宮内膜が薄くなってしまう方もいます。

内膜が薄いままだと、結果として受精卵がなかなか着床しません。

子宮内膜の再生医療はまだ実用化されておらず、治療は難しいケースが多くなっています。

 

<子宮内膜症>

子宮腺筋症のところで少し説明しましたが、月経が起こるたびに少しずつ、子宮内膜以外の場所(卵巣や卵管、腸、膀胱、腹壁、腟など)に飛び火した内膜組織が増殖し、症状は悪化していきます。

子宮内膜症があることで不妊になりやすい症状・現象としては

1卵管周囲の癒着(ピックアップ障害を起こしやすい)

2卵巣周囲に炎症が起こる(卵子は卵巣の表面付近にあるので、慢性的な炎症により卵子の機能低下につながりやすい)

3性交渉で痛みを感じやすく、性交渉の回数が少なくなりやすい

などがあげられます。

子宮内膜症が進行して手術を要するほどになると、手術後の自然妊娠率は20%前後とされています。

進行させないことが重要なので、子宮内膜症と診断されたら、決して放置をせず、定期的な診察と治療が不可欠です。

次に、不妊の原因を調べるための検査や、年齢と妊娠の考え方などについてみていきます!

【検査編】
検査は、月経周期にあわせて“できるときに、できることを!”
基礎体温は、紙のグラフ用紙にプロットし、妊娠するまでずっと続けて!

不妊の検査は、月経の周期(低温期・排卵期・高温期・月経期)にあわせて行っていきます。

働いていて忙しい場合などは1周期では終わりませんから、2〜3周期に分けて実施していきます。

また月経周期に関係なく、いつでも行える検査もあります。

検査は、“できるときに、できることをやっていく”というスタンスで進めていきましょう。

 

<基礎体温測定>

排卵の有無、月経周期の何日目に排卵しているか、排卵の周期が安定しているか、高温期が十分続いているか、不正出血が排卵周期のいつ起きているかなどを診るのに役立ちます。

基礎体温表という紙の用紙に温度をプロットし、月経や不正出血、性交のあった日、薬を用いた日、排卵検査薬の陰性・陽性なども記録していきましょう。

 

■月経周期2〜3日目に行う検査

・ホルモン検査

採血により、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、E2(エストラジオ—ル:卵胞ホルモン)を調べます。

FSHは卵胞を発育させ、LHは排卵を制御しているホルモンで、この時期に測ることにより卵巣機能やエイジングを推測することができます。

またE2は卵巣から分泌されるホルモンで、子宮内膜の厚みを増したり、子宮頸管粘液を増やすなどの働きをしています。

 

■月経周期7〜9日目に行う検査

・子宮卵管造影検査

卵管がつまっていたり、狭くなっていないかを調べるための検査です。X線造影剤を用いるため、妊娠している可能性のない月経開始後10日目までに行います。

正常例 右卵管狭部閉塞 (子宮内腔と卵管の付け根は造影されていますが、その先が詰まっていて造影されません。)
正常例 右卵管狭部閉塞
(子宮内腔と卵管の付け根は造影されていますが、その先が詰まっていて造影されません。)
右卵管閉塞+左卵管水腫 (右卵管は付け根から閉塞していて造影されていません。また左卵管は先端近くまで造影されていますが先端の卵管采が癒着しているため造影剤が流出しません。) (1) 右卵管閉塞+左卵管水腫(右卵管は付け根から閉塞していて造影されていません。また左卵管は先端近くまで造影されていますが先端の卵管采が癒着しているため造影剤が流出しません。)
右卵管閉塞+左卵管水腫
(右卵管は付け根から閉塞していて造影されていません。また左卵管は先端近くまで造影されていますが先端の卵管采が癒着しているため造影剤が流出しません。)
右卵管閉塞+左卵管水腫(後撮影。前日の造影で左に充満した造影剤がしなかったためそのまま残っています。)

 

■排卵のなるべく直前に行う検査

・子宮頸管粘液検査

卵胞が発育してE2(エストラジオール)が増えると、子宮の頸管粘液が多くなり、透明で糸をひくようになります。

この検査は性交後検査と同時に行い、排卵期に精子が進入しやすい状態になっているかを診ます。

 

・性交後試験(フーナーテスト)

排卵の直前は、精子がもっとも子宮内に進入しやすい時期です。

性交を受診の前夜または当日の朝に行い、受診します。

頸管粘液を採取し、精子がちゃんと子宮内に進入しているか、活動性を維持しているかを診ます。

 

・経腟超音波検査

子宮の断層面を撮影する検査で、卵胞の発育具合や子宮内膜の厚さや状態を診ます。

また、卵巣膿腫や子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜ポリープの有無や大きさを調べることもできます。

 

■排卵後7日目

・ホルモン検査

採血で、P4(プロゲステロン:黄体ホルモン)の値を調べます。

このホルモンは、卵胞から卵子が排卵された後に形成される、黄体から分泌されるホルモンです。

子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態にし、基礎体温が高温になります。

受精卵が内膜に着床する時期(排卵後7日目ごろ)に十分に分泌されているか測定します。

 

■月経周期にかかわらずいつでも行える検査

・抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査

AMHは卵巣にある発育前の卵胞から分泌されるホルモンです。

排卵する待機状態にある卵子の数の多寡(卵巣予備能)を推測するために測ります。

加齢によって低下するため、エイジングの指標にもなります。採血により行います。

 

・クラミジア抗原・抗体検査

クラミジアは性感染症のひとつですが、感染すると卵管のつまりや癒着を起こすことがあります。

過去の感染の有無を調べるのは抗体検査、現在の感染の有無を調べるのは抗原検査です。

抗体は血液、抗原は頸管粘液で検査します。(卵管造影検査は、クラミジア抗原が陰性の場合に実施します)

 

・プロラクチン検査

ホルモン検査のひとつで、プロラクチン(PRL、乳汁分泌ホルモン)の値を採血により調べます。

プロラクチンは脳下垂体から分泌され、母乳の分泌をコントロールします。授乳中ではないのにこのホルモンの値が高いと、排卵や妊娠の妨げになることがあります。

 

・抗精子抗体(精子不動化抗体)検査

女性が抗精子抗体をもっていると、精子が子宮内に進入した後、活動性がなくなってしまいます。

抗体が陽性の場合は、体外受精が必要になります。

もし検査をしても男女ともに原因が見つからなかった場合は、
女性の年齢や自然妊娠をしなかった期間によって、取るべき治療法は異なる

女性がまだ若年の場合は、まずタイミング指導を受け、排卵直前になるように性交渉を行います。

それでも妊娠しない場合には、人工授精に進むか、体外受精へ進むかの選択になります。

必ずしも人工授精を試した後に体外受精へ進むというステップを踏む必要はありません。

 

そして女性が37〜40歳ぐらいの高年齢の場合は時間との勝負になりますので、踏むべきステップをなるべく短くしていきます。

その時点でいきなり体外受精へ進むのがベターだと判断される場合も出てきます。

いずれにしても、年齢と自然妊娠をしなかった期間を考えて、治療法を選択していくことになります。

妊娠をする時期が35歳を超えそうなときは、年齢相応に妊娠できる状態かチェックして。
そして夫婦で努力しても突破口が見えないときは、早めに専門医に相談を!

なんとなく「40歳前後までは妊娠できるから大丈夫!」と根拠なく信じている女性は多いですが、37〜38歳という年齢は、自然妊娠しない場合は子どもをあきらめるか、なんとかして欲しいので高度治療に進むのか、という判断をしないといけないタイミングです。

過去に1度でも妊娠したことがあると、「そのうちまた妊娠できる」と思い込んでしまう人もいますが、これは危険な考え方です。

 

また男性からは「いずれ妊娠するさ」という声をよくききますが、これも楽観的すぎるかもしれません。

現代はひと昔前に比べて性交渉の頻度が低くなっていて、排卵日前後しか性交渉をしないカップルや、それさえも難しいカップルが増えました。性交渉が少なくなるとなかなか妊娠につながらないのです。

 

妊娠しやすい体を作るための特効薬はありません。

35歳を超えての子作りを考えている場合は、35歳前後で一度、本当に妊娠ができる体なのかどうかをチェックしてみることが大切です。

40歳前後になって“妊娠しない!”とあわてても、すでに卵子や子宮の機能は落ちていて、医学の力ではどうしようもないことが往々にしてあります。

またせっかく妊娠しても、40代での流産率は40%にもなります。

また妊娠を望んでいて夫婦で努力していても、突破口が見つからない場合は、早めに専門医に相談してみることをおすすめします。

 

取材・文/渡邉優希

施設名 銀座レディースクリニック
URL http://www.ginzaladies.com

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