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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

治療がうまく進まない

2015.11.10一般不妊治療から高度生殖医療へ、どのようにステップアップしたらいいのか教えて!

答えてくださった先生は・・・
中野 英之 先生
中野レディースクリニック院長/医学博士
なかの・ひでゆき 1992年、東邦大学医学部卒業。同年、東邦大学大森病院産婦人科入局。体外受精班の中心メンバーとして活動。不妊外来および体外受精を担当する。1996年、東邦大学大学院修了。1997年、東京警察病院産婦人科に出向。同年10月、日本産科婦人科学会認定取得。同年11月、日本不妊学会学術奨励賞受賞。2001年、宗産婦人科病院副院長。2002年、柏市の医療機関で最初の体外受精、顕微授精の成功を得る。2005年4月より現職。2006年、日本生殖医学会認定「生殖医療指導医」の資格取得。科学的データ(エビデンス)に基づき、患者さん一人ひとりが望むオーダーメードの治療を行っている。
データに基づきつつ、少しでも若い年齢でのステップアップを!

タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療を試しているけど、なかなか妊娠しない場合、「いつ治療をステップアップするか」は悩ましい問題です。患者さんの希望が優先されるのは当然ですが、“これ以上、同じ治療を繰り返しても妊娠率は上がらない”という統計データに基づいた医学的エビデンスがあるのも事実です。
不妊治療におけるステップアップは、どのように考えればいいのか。エビデンスに基づいた治療で患者さんからの信頼が厚い、中野院長にお話しを伺いました。

タイミング療法、人工授精とも、6回がひとつの目安

ステップアップのタイミングは年齢により多少異なる。35歳未満なら、タイミング療法と人工授精をそれぞれ6回ずつ試してみる

不妊治療におけるステップアップのタイミングは、医学的なデータから“何回くらい試したら、次の治療に進んだ方がいい”ということがわかっています。

両側の卵管がつまっていたり、精子が極端に少ないなどの条件にあてはまらなければ、タイミング療法で6回、人工授精で6回までに、妊娠する方は妊娠します。

そのため、タイミング療法・人工授精とも、それぞれ6回以上繰り返しても妊娠率はほとんど上がりません。

 

また、ステップアップのタイミングは年齢によっても多少異なります。

女性が35歳未満なら、少し時間に余裕がありますから、タイミング療法・人工授精とも、6回ずつ試してみてもいいと思います。

35〜40歳未満でしたら、患者さんとのご相談になりますが、タイミング療法・人工授精をそれぞれ3〜6回ずつ行ってみます。

40歳以上でしたら、治療を急がねばなりませんので、それぞれ3回ずつくらい試してみて、妊娠しなければ体外受精や顕微授精へステップアップすることを考えます。

タイミング療法、人工受精とも、3回目までに妊娠する方の6~8割が集中するという医学的なエビデンスがありますので、それぞれ3回ずつ治療を行ってみれば治療回数としては十分だと判断します。

 

ただし例外があって、一度でも分娩をされたことがある40歳未満の方は、人工授精は9回ぐらいまで試してみてもいいかもしれません。

当院独自のデータなのですが、出産経験のある方は、人工授精は9回くらいまでは妊娠の可能性があることがわかっています。(妊娠の経験があっても分娩していない場合は、この条件にはあてはまりません)

高度生殖医療(体外受精や顕微授精)は、費用が高額ですのでステップをためらわれるお気持ちも分かります。

しかし科学的には、同じ治療をだらだらと続けていても妊娠率は決して上がりません。妊娠率を考えれば、少しでも早い年齢で、高度な治療へステップアップすることが望ましいとされています。
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受精率は、体外受精でおよそ6割、顕微授精では8割ほど。卵があまり採れない場合は、受精率の高い顕微授精を考えてみてもいい

一般不妊治療から高度生殖医療へのステップアップを考える時、「体外受精がいいのか、いきなり顕微授精を試してみたほうがいいのか」、迷われる方がいるかもしれません。

極端に精子が少なかったり、体外受精での受精障害があることが分かっている場合には、受精率の高い「顕微授精」が第一選択です。

 

また、さまざまな方法で排卵誘発をしてみたけれど、思ったように卵の数がとれない方は「顕微授精」を試しても良いかもしれません。

それ以外の場合は、まずは体外受精にステップアップすれば大丈夫です。

 

少し話しは逸れますが、まだお若いのに受診するやいなや、いきなり「体外受精をお願いしたいのですが・・・」とおっしゃる方がいらっしゃいます。

おそらく、周囲からの“子どもはまだなの?”というプレッシャーが強いのでしょう。

お気持ちは分かりますが、医学的には、35歳未満の方には“いきなり体外受精”は原則お勧めできません。

 

他院でタイミング療法や人工授精を何度も試されてきた場合は違いますが、まったく不妊治療をしたことがないのに、一般不妊治療を飛ばして体外受精をするというのは、医学的な適応から外れているといわざるをえません。

20代〜30代前半の患者さんが、「すぐに体外受精をお願いします」とおっしゃる場合には、「タイミング療法と人工授精を、2~3回ずつでもいいので試してみてからにしませんか?」とお話しするようにしています。

もちろん、残された時間の少ない40歳前後の方の場合や、両側の卵管がつまっている場合、精子の数や運動が極端に悪い場合などは、すぐに体外受精へ進んでいただいた方が良いと思います。

5年後に“やっぱり体外受精をします!”と来院されても、願いが叶わないことも。あとで後悔しないよう、ご夫婦でよく話し合ってほしい

ご夫婦のうち、旦那さんが「薬を使った治療はしてほしくない」「体外受精はちょっと・・・」など高度な治療に消極的で、なかなかステップアップできないケースもあります。

患者さんの選択が第一ですので、医療従事者はそれ以上何も言えませんが、たまに5年くらい経ってから、「先生、やっぱり体外受精をお願いしたいのですが・・・」と来院される方がいらっしゃいます。

 

しかし、時すでに遅しです。

卵子のエイジングが進んでいて、体外受精をしてもなかなか妊娠に結びつかないのです。こういうケースに遭遇するたび、“5年前に体外受精をされていたら・・・”と無念な思いが胸をよぎります。

 

医師は、医学的な統計データに基づいて、患者さんへ情報提供や助言を行っています。

不妊治療においては、治療ステージごとの妊娠率や、年齢別の妊娠率など、統計データによる可能性(妊娠率)がだいたい明らかになっています。

治療方針を決める際にご夫婦の価値観が優先されるべきなのは当然ですが、ご自身の考えに固執しすぎず、医師の助言にも耳を傾けていただけたら嬉しいですね。

 

私個人の考えとしては、患者さんにやる気があるのでしたら、2〜3年という期限を区切ってどんどん治療を進め、少しでも若いうちに体外受精までステップアップされることをオススメします。

不妊治療にとって、成否を決める最大のファクターは年齢です。

歳を重ねれば重ねるほど妊娠率は下がっていきますから、あとで「あのとき治療をしておけば・・・」と後悔をしても、時間は取り戻せません。

ぜひ勇気をもって一歩を踏み出してください。私たち医療スタッフが、みなさまの勇気を全力でサポートいたします。
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取材・文/渡邉優希

施設名 中野レディースクリニック
URL http://www.nakano-lc.com/

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