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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

治療がうまく進まない

2016.12.13AMH低値だと、実は卵子の質も低いことが多いってほんと?

答えてくださった先生は・・・
奥田剛先生
日暮里レディースクリニック/医学博士
おくだ・つよし 1991年、昭和大学医学部卒業。2001年、カリフォルニア大学サンデイエゴ校研究員。2010年、昭和大学産婦人科学教室専任講師。2016年、日暮里レディースクリニック開設、昭和大学産婦人科学教室兼任講師。日本産科婦人科学会 (産婦人科専門医・指導医)、日本生殖医学会 (生殖医療専門医)、日本卵子学会 (生殖補助医療胚培養士)、臨床研修指導医の資格を持つ。自然周期、低刺激、刺激周期、それ以外の方法を含め、その方にあったオーダーメード医療を心がけている。また男性不妊についても、クリニック内で手術などを受けることができる。
AMH低値だと胚の発生が良くないことも。早めに積極的な治療を

AMH(アンチミュラー管ホルモン)は、発育途中の卵胞のまわりの細胞から分泌されるホルモンです。
このAMHの値を測定することで、あとどのくらい卵巣に原始卵胞(卵子のもと)が残っているか、いわゆる“卵巣予備能”がわかるとされています。
AMH値が測定できるようになったのはまだ最近で、まだまだ分からないことも多く研究の途上にあります。AMHについての最新の知見も含め、奥田院長にお話しを伺いました。

AMH値は、その時々によって数値が変動する

Q.1 AMHが低値だと、実は卵子の質も低いことがあると聞きます。これは本当でしょうか。

A.1 一般的には、質とは関係がないとされています。しかし細胞の代謝状態がAMH高値の場合とは違うことから、質が低いことも考えられます。

 

一般的にAMH値からは、卵巣の中に残っている原始卵胞の数がわかるとされています。

 

原始卵胞は一次卵胞、二次卵胞、前胞状卵胞、胞状卵胞、そして成熟卵胞へおよそ半年かけて育っていきます。

原始卵胞の中から選抜されたおよそ1000個が発育を始め、前胞状卵胞へと育っていきます。そしてさらに前卵胞状卵胞のなかでも選抜試験が行われ、およそ20個のえりすぐりの卵胞が胞状卵胞へ育ちます。

そしてその中からもっとも優秀な卵胞がひとつだけ選ばれ、排卵を迎えるまで成熟を続けます。

 

AMHは、原始卵胞から前胞状卵胞まで育つ間の細胞で作られ、残りの原始卵胞数を推測するマーカー(目印)として利用しているのです。

そのためAMH値が低い場合には、卵子を成長させる細胞(卵子の周囲を取り巻いていている顆粒膜細胞:かりゅうまくさいぼう)の代謝が良くないことが考えられ、卵子の質の低下にも関与している可能性はあります

実際、なかなか卵が採れない(2〜3個しか採れない)ような場合には、胚の発生もよくないという印象があります。

 

しかし原始卵胞の残存数と質の関係はまだ研究途上であり、はっきりとした結論は導き出されていません。

Q.2 AMH値が改善する(高くなる)ことはありますか?

A.2 AMH値を、その時点で供給されている卵子の数だと考えれば、検査をするタイミングによって数値は変動します。

 

1つ前でもご説明しましたが、AMHは一次卵胞から前胞状卵胞に育つ過程の細胞で産生されます。

AMHは、原始卵胞の中から選抜された卵胞で作られるので、正確には「その時点で、供給されている卵子の数」と言い換えられるかもしれません。

現時点で、卵巣を刺激することで卵子がどのくらい採れるかを現していますから、人によっては、原始卵胞はたくさんあるのに、供給量(発育する量)が少ないという場合もあるかもしれません。

 

実際、計測する時期によってAMH値にはかなりの変動があり、別のクリニックで測ったらかなり低値だったのに、私のクリニックでは数値があがっていたという患者さんもいらっしゃいます。

AMHが、現在の供給量だと考えれば、その時々によって、数値に変動があるのもうなずけます。

 

ですからAMH値が高くなることがあるというより、“AMH値は変動する”と捉えたほうがよく、検査結果に一喜一憂するのはやめたほうがいいかもしれません。

Q.3 太ることにより、AMH値が低下するってほんとうですか?

A.3 BMI(体格指数)が25を超えると、AMH値は低下するという研究も。肥満は、不妊の大きな要因です。

 

BMI値が25を超えていると、AMH値は、普通体型の人の6〜7割程度であるという研究結果があります。

その原因として考えられるのは、脂肪細胞から分泌される“レプチン”というホルモンです。血中のレプチン値が高いと、卵子を育てる細胞(顆粒膜細胞など)のたんぱく質代謝を阻害し、卵胞の発育を抑制してしまうからではないかとされています。

 

また一方で、肥満状態のまま排卵誘発を行っても、卵胞の発育状態が良くない場合が多く、不妊治療を行う上では、体重を徐々に減らしていくことがとても重要になります。

もし仮に、肥満状態で妊娠できたとしても、妊娠高血圧症候群や血栓症などの発症リスクも高くなります。

妊娠しやすい体を作る上でも、健康で安定したマタニティライフを送るためにも、適正体重を保つことは非常に大切なのです。

 

ビタミンD不足は、卵胞の発育不全を招く要因にも

Q.4 ピルを服用することで、卵子の老化を防ぐことができるというのは本当ですか?

A.4 低用量ピルを服用していても、卵巣の老化を防ぐことはできないし、原始卵胞の減少は止まりません

 

低用量ピルを服用していると、卵巣を休ませることができるので卵子(原始卵胞)の減少をとめることができるという記事をよくみかけます。しかしこれは誤りです。

 

ご存知かもしれませんが、卵子のもとである原始卵胞は、お母さんのお腹の中にいる胎児の時に700万個ほど作られ、出生時には200万個に減少。

さらに初潮を迎える頃には30万個程度に減ります。その後は、月経周期を迎えるたびに、毎月およそ1000個の原始卵胞が消滅していきます。

 

低用量ピルを服用することで、原始卵胞が減少するスピードは多少抑えられるかもしれませんが、原始卵胞の減少自体を食い止めることはできないし、卵巣の老化を防ぐこともできません。

お子さんが欲しい場合には、低用量ピルを服用しているからといって安心せず、医療機関で妊娠可能な状態であるかチェックを受けたり、不妊治療を受けたり、なるべく早めにアクションを起こすことが大切です。

Q.5 AMH値が低い場合、ビタミンDの補給は数値の改善に有効ですか?

A.5 ビタミンDが不足している人は、AMH低値の人が多いという研究結果が。ビタミンDを補うことで数値が高くなる可能性はあります。

 

ビタミンDは、卵胞発育に大きく関与しているといわれています。

AMH値を、“その時点で供給されている卵子の数”だと捉えると、原始卵胞自体はあるのに、ビタミンDなど必要な栄養素が不足することにより供給が上手くいかずAMH値が低いというケースも考えられます。

この場合は、ビタミンDを食べ物やサプリメントで補ったり、太陽にあたって体内でのビタミンD生成を促したりすることで、卵胞の発育状態が改善され、AMH値が高くなる可能性はあります(高齢などの理由により原始卵胞自体が少なくなっている場合は、この限りではありません)。

 

ビタミンDの不足は、卵胞の発育不全を招くだけでなく、着床障害や不育症の原因のひとつともされています

加えて、ビタミンBや鉄なども卵胞発育に関与しているとされています。赤ちゃんを望んでいる女性は、バランスのよい食生活を心がけ、必要な栄養素を補っていきたいですね。

 

AMH値は、とても優れた指標。もし数値が低い場合には、早い段階で積極的な治療が求められる

AMH値は、不妊治療を考える際にはとても使いやすい優れた指標です。

AMH値が低いということは、残された時間があまりないということを念頭に、スピード感をもって治療を行うことが必要になります。

タイミング療法や人工授精はそれぞれ2〜3周期ぐらい試してみて、それでも妊娠しなければ、早い時期に体外受精へステップアップすることを考えたほうがいいかもしれません。

 

AMH値の検査は施設によって異なりますが、1回5000円~10000円程度(自費)で受けられます。

反対にAMH値があまりにも高い場合には、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)が疑われますから、この場合も早期に治療を行う必要があります。

 

赤ちゃんが欲しいと望んでもなかなか授からない場合、できれば子作りを始めてから半年くらいで、クリニックを受診してほしいと思います。

自然に授かることがベストかもしれませんが、受診をためらっているうちに貴重な時間が過ぎてしまうことにもなりかねません。カップルで、気軽にご相談にいらしてほしいですね。

 

“どうしてできないんだろう”と分からないままにいるよりも、ご相談いただくことでわかることがあるかもしれません。

若い方でも何か原因が見つかるかもしれませんし、タイミングをとる時期がずれていた!ということがハッキリする場合もあります。

 

もし治療が必要となった場合でも、どのレベルまでの不妊治療を行うか、仕事とどちらを優先するかなどは、患者さんのご意志を最優先に、私からも最適な治療プランを提案させていただきます。

また費用面では、ある一定の条件を満たせば、男女ともに不妊治療に対して助成金が支給されます。

 

ご心配なことがあれば、まずは気軽にご相談にいらしていただきたいですね。

一つひとつ問題を解決しながら、幸せな未来のために一緒にがんばっていきましょう。

 

取材・文/渡邉優希

施設名 日暮里レディースクリニック 病院の詳細はこちら
URL http://nippori-lc.jp/index.html

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