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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

治療がうまく進まない

2016.12.22不妊治療 素朴な疑問Q&A

答えてくださった先生は・・・
坂本康紀先生
レディスクリニックコスモス院長/医学博士
さかもと・やすき 1980年、徳島大学医学部卒業。1985年、徳島大学大学院医学研究科修了。小松島赤十字病院、国立高知病院、徳島大学医学部付属病院に勤務。クリニックグリーンハウスの副院長を経て、2001年1月「レディスクリニックコスモス」を開業。日本産科婦人科学会専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医、日本卵子学会胚培養士、高知県介護支援専門員。患者さん1人ひとりにあわせたテーラーメードの不妊治療を行っている。
病院選びは、医師と信頼関係が築けるかどうかがポイント

不妊治療について、治療内容について詳しく解説してある記事はよくみかけますが、実は「素朴な疑問だけど、ネットを探してもあまり載っていない」「忙しそうな先生に、こんな些細なことを尋ねるのは失礼なんじゃないかと思ってしまう」という事柄も多いのではないでしょうか。
今回は、「なかなか先生には聞けないけど、実は知りたかった!」という事柄について、坂本先生に疑問をぶつけてみました。

生まれてくる子の幸せも考えた上で治療を

■治療の準備編

<疑問1>

高齢なので結婚式や入籍より先に、不妊治療を始めたいです。婚姻届を出していなくても治療は可能ですか?

 

<お答え>

人工授精と体外受精については、公的な書類で入籍の確認をしています

 

タイミング法は、性交渉をしないと妊娠しない治療法なので未入籍でも治療を始めているケースもあります。

しかし人工授精と体外受精については、戸籍上のご夫婦であるかを、戸籍謄本(戸籍抄本)や住民票などをご提出いただき、確認した上で治療をスタートしています。

 

その理由としては、未入籍男性の精子を使って妊娠したのに、別の男性と結婚された場合はどうするか、未入籍なまま妊娠して別れてしまった場合、財産分与などの問題が発生しないのか、未入籍男性の精子を使って受精卵(胚)を作り、別の男性と結婚した場合にその受精卵はどう扱うのかなど、法律的に深刻な問題が発生する可能性があるからです。

基本的に当院では、法律上もご夫婦である方のみに対して、人工授精や体外受精などの治療を行っています。

 

 

<疑問2>

不妊治療のクリニックを選択する際、どういうポイントを基準に選んだらいいのでしょうか。説明会に参加してもよく分かりません

 

<お答え>

診察を受けて、説明を聞いてみてください。信頼関係が築けるかどうかが大切です

 

まずは診察時に話しを聞いてみて、ドクターとの相性(リズムや波長)を見るのがいちばんいいと思います。

不妊治療では、治療の選択肢(バリエーション)がたくさんありますから、先生と信頼関係を築いて納得して進めていけるかがカギになります。

その患者さんがどんな考えを持ち、何を求めて来院しているかを考慮した上で、選択肢を提示できるドクターがオススメです。

 

もう一つの観点としては、ある程度の治療数をこなしていることも大切です。最低でも100例以上、できれば200〜300例は手がけていることが望ましいかもしれません。

 

 

<疑問3>

結婚後、主人の仕事が忙しくなかなかタイミングがとれません。ぐずぐずしているより、早く不妊治療を始めた方が良いのでしょうか

 

<お答え>

奥様の年齢が関係します。真剣にご主人と話し合ってみて!

 

男性は“子どもが欲しい”という意識が希薄なことが多いですから、まずはご主人と真剣に話し合うことが大切です。

不妊治療とは、ご夫婦に対してだけでなく、子どもに対しての治療でもあります。

確かに人工授精や体外受精をすれば、子どもには恵まれるかもしれません。

しかし子どもが授かればいいというものではなく、子どもができたあとのことも十分に話し合うことが大切なのです。その子にも人生があるのですから。

 

しかしながら、心から子どもを望み、奥様が38〜40歳にさしかかっているのであれば、治療を急ぐ必要があります。

タイムリミットがあることを知らない男性も多いですから、説明会に一緒に参加してもらうなどして、不妊治療の実際もよく理解してもらいましょう。

 

 

<疑問4>

体外受精や顕微授精などは、生まれてくる赤ちゃんに影響はありませんか?凍結胚移植だと巨大児が生まれやすいとも聞きます

 

<お答え>

自然妊娠との差はありません。どんな妊娠にもリスクはありますよ

 

たしかに顕微授精では赤ちゃんが小さいこともあると聞きますが、当院では差を感じたことはありません。

凍結胚だと巨大児(4000グラム以上)が生まれるという経験も当院では無く、基本的に自然妊娠との差はないと思います。

体外受精や顕微授精でしか妊娠できない患者さんが治療を受けておられるわけですし、自然妊娠であっても、一定の割合で病気や障害のあるお子さんは生まれるわけです。

明らかな差が無い以上、心配しても仕方ないと思います。

“本当にお子さんがほしいのかどうか”を考えることのほうが大切かもしれませんね。

 

40歳以上の場合は、新鮮初期胚での移植も選択肢に

■治療編

<疑問5> 

高度不妊治療(ART)に入る前に、「何歳まで」と決めて治療に臨もうと思っています。何歳くらいまでがんばる価値があるでしょうか

 

<お答え>

42歳まではARTを勧めます43歳以降は患者さんのご意志に任せます

 

基本的に42歳まではART(体外受精や顕微授精)を勧めます。

43歳以上の患者さんには「妊娠できたら奇跡だけど、それでもがんばりますか?」と尋ね、ご本人が望まれる場合には高度不妊治療をしています。

 

もちろん赤ちゃんが授かることは素晴らしいことですが、生まれたあとのお子さんが幸せになれるかも考えないといけません。

親が高齢になればなるほど、ダウン症などの発症リスクも高まりますし、出産時の母体に危険が及ぶリスクも考えねばなりません。

また、お母さんが45歳で出産されたとして、子どもが二十歳になる頃には65歳です。

その頃まで、健康でいられるかどうかも考えねばなりません。

生まれてくる子が幸せになれるかも考えて、治療に臨んでいただきたいですね。

 

 

<疑問6> 

体外受精の際、自然周期&低刺激でいくか、注射で排卵誘発を行うか迷っています。両者を選択するポイントはなんでしょうか

 

<お答え>

1回目は高刺激で反応を見て、あまり採れなかったら低刺激へスイッチします

 

第一選択は、アゴニスト法やアンタゴニスト法などの高刺激です。

最初は高刺激で誘発をしてみて、どのくらい反応するかを見ます。

それで反応がよければ高刺激を続けますし、あまり反応がよくなければ低刺激へ切り替えます。

すでに他院さんで排卵誘発をされていて、高刺激であまり採卵できなかった方の場合には、最初から低刺激で行うこともあります。

 

 

<疑問7> 

先生のところでは、新鮮胚での移植も比較的多く行われているようですが理由はありますか?

 

<お答え>

高齢の患者さんの場合、新鮮胚移植で妊娠する例が多いためです

 

40歳以上の患者さんの場合、採卵しても卵子が1〜2個しか採れない場合、なかなか良好胚盤胞(当院の場合は3BAか3AB)にならないケースが多く、凍結せずに新鮮初期胚で移植することが多くなるためです。

不思議なことに、新鮮初期胚で移植すると妊娠される方が案外多いんですよ。

 

もうひとつの理由に、子宮の状態があります。

高齢の方は刺激を与えても多くの卵がとれないケースが多いため、低刺激で誘発を行うことが多くなります。

その場合、子宮は高刺激のときほどエストロゲンの曝露※を受けていませんから、採卵した周期に移植しても着床の妨げにならないという理由があります。(胚凍結をすると採卵周期には移植できないので、それだけ貴重な時間が失われるということもあります)

もちろん、10個以上の採卵ができたときには凍結胚移植を行っています。

※さらされること。

 

 

<疑問8> 

年齢により、準備しておいたほうがいい費用(資金)の目安はありますか?

 

<お答え>

体外受精は1回40万円ほどかかります。何度挑戦するかはお二人のご意志です

 

体外受精を受けられる場合、だいたい1度の治療で40万円程度の費用がかかります。

6回治療しても妊娠しなければ、それ以上挑戦しても妊娠する可能性はほとんどないとされていますので、もし6回受けるとしたらトータルで200〜300万円ほどかかることになります。

しかしながら、何度挑戦するかはご夫婦で決められることですし、1度の治療で妊娠されるかたもいらっしゃいますので、いくら必要かは一概にいえないというのが答えです。

※不妊治療は自由診療ですので、価格はクリニックによって異なります。

 

授かった子の人生に責任がもてるかを考えて、治療に臨んで欲しい

不妊治療は、妊娠することがゴールではありません。

授かった子が成人するまでちゃんと見守っていけるか、幸せな人生を送らせてあげることができるかまで考えて、治療を受けてほしいですね。

 

そして治療を始めると、どうしても治療に集中・熱中しすぎてしまう方が大勢いらっしゃいます。

他のことを犠牲にしすぎると、かえってストレスで治療がうまくいかなくなるケースもありますから、ご自身の生活を大切にして、リラックスしながら治療をしてほしいと思います。

不安なことや心配なことがあれば、どんな小さなことでも、ご相談ください。

一緒に手を携えてがんばっていきましょう。

 

取材・文/渡邉優希

施設名 レディスクリニックコスモス 病院の詳細はこちら
URL http://www.lccosmos.jp/index.html

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