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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

治療がうまく進まない

2017.02.27男性不妊について教えて!

答えてくださった先生は・・・
粟田 松一郎 先生
あわた・しょういちろう  ひらかたARTクリニック院長/医学博士 1983年、京都大学医学部卒業。2年以上にわたりタイ国のUNHCR管轄下ベトナム人難民キャンプ(ボートピープル、約5,000人)にて医師、メディカルコーディネーターとして活動。帰国後は1987年~1991年、帝京大学大学院 博士課程修了。大蔵省印刷局東京病院勤務。1992~2011年、セントマザー産婦人科病院勤務(北九州市)。2011~2016年、医療法人仁知会竹内レディースクリニック勤務(鹿児島県)。2016年4月、医療法人成育会なりもとレディースホスピタル勤務を経て、7月より同法人ひらかたARTクリニック院長に就任。セントマザー産婦人科医院にて20年近くにわたり高度生殖医療技術による不妊治療の最前線で活躍(年間採卵数6,000件以上)。同時に、男性不妊においても自ら無精子症に対する精子採取手術を2,000例以上施術するなど、男性不妊に対しても高い治療実績をもつ。5人(2男3女)の父親でもあり、出産はすべて自らが取り上げる。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本受精着床学会評議員、母体保護法指定医。
不妊原因の半数は男性に! 男性不妊に詳しい医師に早めに相談を

不妊症のカップルの約半数において、男性側に不妊原因が存在しているということがようやく一般の人々にも知られるようになってきました。ひとことで男性不妊といっても、さまざまな原因があり、治療法も日進月歩で進化しています。婦人科医でありながら男性不妊にも造詣が深く、無精子症の男性に対する精子採取手術を2000例以上手がけてきた粟田院長に、男性不妊の原因と治療法について詳しくお話しを伺いました。

FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体化ホルモン)は、男性不妊にも関係

■男性不妊の原因編

<質問1>どのような症状(あるいは状態)があれば、結婚後1年を待たずに受診することが必要でしょうか

<お答え>睾丸が極端に小さい場合は、早めに泌尿器科や不妊治療クリニックなどで相談を!

結婚後、普通に性交渉をもっていても1年間妊娠に至らない場合は、早めにクリニックで相談してみる必要があります。

しかし、男性の睾丸が極端に小さい場合(たとえば人差し指の第一関節くらいの大きさしかない場合など)は、1年を待たずに早めに泌尿器科や男性不妊を扱っているクリニックなどで精液検査をしてもらうことをおすすめします。

睾丸の役割は2つあり、1つは男性ホルモンであるテストステロンを作ること、そしてもう1つは精子を作ることです。たとえ精液を出すことはできていても、その中に精子が全く存在していないこともあるのです。精子濃度や運動率が低いことはしばしばあります。他の人と睾丸の大きさを比較する機会はほどんどないと思いますが、3.5×2.5くらいのサイズはほしいものです。

ご主人の睾丸が極端に小さい場合は、異常がないか一度診てもらうよう勧めてください。

 

<質問2>男性不妊の原因には、どのようなものがありますか?

<お答え>特に多いものを挙げると、①無精子症、②乏精子症&精子無力症、③性交障害&射出障害です

 

①無精子症

精液の中に精子が見当たらない状態を指します。精子が見当たらない原因には2つあり、精子は作られているのに精管がふさがっている「閉塞性」と、精子自体が作られてない「非閉塞性」です。たとえて言えば、工場(睾丸)は正常に稼働しているのに、作った製品を販売店舗へ運ぶための道路に問題があるのが「閉塞性」で、工場の倉庫(副睾丸)にも商品の在庫がたまってしまいます。工場自体が何らかの原因でほとんど稼働しておらず倉庫にもほとんど在庫がないというのが「非閉塞性」です。無精子症のおよそ8割が「非閉塞性」だとも言われています。

 

「非閉塞性」の原因には、「高ゴナドトロピン性性腺機能低下症」と「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症」というものが知られています。

FSHやLHという単語を聞いたことがあるかもしれません。女性の場合にはこの2つのホルモンが協調して、卵巣において卵子を発育・排卵させる作用を担っていますが、更年期や閉経状態になるとすべての女性でその血中濃度がかなり高くなります。

 

男性も女性と同じように、脳の視床下部からGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)が分泌され、その命令を受けて脳下垂体からFSHやLH(あわせて性腺刺激ホルモンと呼びます)が分泌されます。FSHは精巣内のセルトリ細胞を刺激。LHは精巣内のライディヒ細胞を刺激し、テストステロン(男性ホルモン)の産生を促し、テストステロンがFSHとともにセルトリ細胞を刺激。睾丸の中にぎゅうぎゅうに詰まっている「精細管」という細く長い管の壁のところに存在する「精細胞」の精子形成を促します。新たに生まれた精子はその管の中へ放出され、副睾丸の方へ運ばれていきます。

このようにホルモンのバランスがうまくとれていないと、精子は作られないのです。

視床下部や脳下垂体の異常によって、このFSHとLHが低値のものを「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症」と呼び、そのために2次的に睾丸での造精機能(精子を作る機能)が低下する障害が起きます。

 

反対に、FSHとLHが高値のものを「高ゴナドトロピン性性腺機能低下症」と呼びます。

もっとも多い原因は「クラインフェルター症候群」と呼ばれる染色体の異常で、500〜1000人に1人の割合で起こるとされています。正常男性の場合性染色体は「XY」なのですが、それが「XXY」となっており、染色体の総数は47個と、本来の46個よりも1個多くなっています。

その他、思春期以降に罹ったおたふく風邪による「精巣炎」や、停留睾丸(あるいはその術後)などが無精子症の原因になることもあります。

 

しかし原因不明のものもかなり多く、今後の研究が待たれます。

また、遺伝的な原因もあり、「AZF」という検査がおこなわれています。

 

一方の「閉塞性」の原因は、精管に塞がった箇所があったり先天的に欠失したりしていることが原因で、FSHやLHは正常値を示します。子どもの頃に「鼠径ヘルニア(脱腸)」の手術を受けたことがあると、子どもの精管は非常に細いため気づかずに傷つけてしまっている可能性があります。無精子症のうち15〜20%を「閉塞性無精子症」が占めるとされています。避妊目的のパイプカットの手術後の場合もこれに含まれます。また人種による遺伝的な原因の場合もあります。

 

 

②乏精子症&精子無力症

精液中の精子の数が極端に少なかったり(乏精子症)、元気な精子の数が少なかったりする(精子無力症)ものをいいます。

1mlの精液中に精子の数が4000万匹以上を正常としています。精子濃度が明らかにそれを下回っている場合には、「乏精子症」とみなしています。

また動いている精子の割合が2000万/ml以上かつ50%以上、もしくは活発な前進運動をしている精子(直進率)が60%以上あれば正常としていますが、明らかにそれもりも少ない場合には「精子無力症」が疑われます。

 

「乏精子症」や「精子無力症」の原因としては精索静脈瘤や尿道を通しての感染症などもありますが、原因不明の場合が大半です。

また禁欲期間が長すぎると精子の運動率が低下することが知られています。1週間以上の禁欲を続けると射出精液中には古い精子の比率が上昇するため運動率が低くなることがあります。コンスタントに週に1回くらいは何らかの形で精液を出しておく(射精) ことも適度な刺激になり良いことかもしれません。

 

 

③性交障害&射出障害

勃起障害などによる性交障害、膣内での射精ができない射出障害、射精をしても膀胱のほうへ逆流してしまう「逆行性射精」などが挙げられます。脊髄損傷や糖尿病、直腸がんや前立腺がんなどの骨盤内手術後などの疾患で二次的に起こる場合があります。

 

勃起障害では、“今日は排卵日だから・・・”と妻から言われたり、自分が過剰に意識することによる精神的プレッシャーから性交渉ができなくなってしまうケースも多く見られます。義務的になり、性欲が消失してしまうということもあります。

またマスターベーションでの射精はできるけれど腟内では射精ができない、あるいは性交の途中で男性器が萎縮してしまうというケースもあります。帰宅が遅い、就労時間が不定期、出張が多い、仕事の過労による影響なども、排卵時期の性交渉がうまくいかない原因になります。

「逆行性射精」は、射精したと思っても多くの精液が膀胱のほうへ流れてしまい、死滅した精子が尿と一緒に排出されるという症状が見られます。およそ半数が原因不明で、4割程度が糖尿病により生じるとされています。

 

<質問3>受診をするとどのような検査が行われますか?

<お答え>精液検査と問診で、必要な場合は視診と触診、超音波エコーも行います

男性不妊の検査の中でも、精液検査は最も重要なものです。精液量や精子濃度、精子運動率、精子奇形率、白血球数を調べます。

 

精液量が1ml以下の場合は逆行性射精や射精管の閉塞、精液の産生障害が疑われます。逆行性射精が疑われる場合は、射精後に尿の採取をして、尿中に精子が混在していないかを調べます。

精子濃度や精子運動率については、質問2でお答えした通りです。精子奇形率は、奇形精子が70%を超えると「奇形精子症」が疑われます。また白血球数が増えると、精子の運動率が低下し、精子無力症の症状が現れることがあります。白血球数が100万/ml以上の場合は「膿精子症」が疑われ、精嚢や前立腺、精巣上体などに炎症が生じているかもしれません。

 

問診では、過去の病歴(既往症)や手術歴、性交渉などについてお聞きします。夫婦生活はスムーズに行えているか、勃起不全(ED)ではないか、腟に入れて射精ができるか、次回の性交が可能になるまでの日数(排卵日前後に連日でも可能か)などを尋ねます。

視診では、外性器の形態異常などを確認します。陰嚢表面に精索静脈瘤が(特に左側)ないかも診察します。また下腹部に、本人も認識していない小児期の手術創(鼠径ヘルニア)がないかもチェックします。触診では、陰嚢を触って確認します。両側の精巣(睾丸)や精巣上体(副睾丸)の大きさや硬さを診ます。精管の欠失、停留睾丸や腫瘍性の疾患の有無もみます。

 

次は、男性不妊の検査と治療法について詳しく見ていきます。

無精子症でも、マイクロTESEやMESAで精子を回収

■男性不妊の治療編

<質問4>無精子症だった場合、どのような治療が行われますか?

<お答え>閉塞性と非閉塞性で異なり、精路再建術や、精巣および精巣上体から精子を回収する手術、ホルモン療法などが選択肢です

「閉塞性無精子症」は、精巣の機能には問題がないが、精子の通り道(精巣上体管や精管)が詰まって精子が通過できない状態です。

 

精管の詰まっている箇所をバイパスしてつなぐ“精路再建術”を行います。精路再建がうまくいって、精液中の精子所見が良好になれば自然妊娠の可能性がありますが、必ず成功することを保証できるものではありません。パイプカット後の場合、成功率は比較的高いのですが、先天的な原因や小児時のヘルニア手術によるものでは再建手術自体が困難です。

しかしこの精路再建術を行っている医師は国内でも少数しかいません。保険適応の手術ではありますが、パイプカットの場合には保険は使えません。保険点数がかなり低く、手術時間や顕微鏡下手術、高額な縫合糸などの理由で採算が合わず、ほとんどの民間の施設では全額自費負担で行われてきました。片側だけでも数十万はかかります。

 

また精巣上体や精巣から直接精子を回収するという方法もあります。採取した精巣上体精子、あるいは精巣精子を用いて顕微授精を行います。

閉塞性無精子症の場合、MESAやPESAと呼ばれる精子回収術の適応になります。 泌尿器科の先生はTESEで精子を採取することがしばしばあります。

 

■MESA(精巣上体精子採取術)

局所麻酔(あるいは全身麻酔)をしてから陰嚢皮膚を切開し、精巣上体を陰嚢の外へ取り出します。精巣上体管に特注のガラス製の針(内径100µm)を刺し、精巣上体液を吸引。精子を回収します。閉塞性無精子症ならほぼ100%精子を回収できます。精巣内精子よりも運動良好精子が多量に採取、凍結保存できます。胚培養士たちにとってもTESEに比べて作業の負担がかなり軽減されます。

外来の診察や検査では一見「閉塞性」と思われた症例でも、手術をしてみると「非閉塞性」と判明し、マイクロTESEを行っても精子を採取できないことがあるので注意が必要です。

 

PESA経皮的精巣上体精子採取法

局所麻酔をし、陰嚢の皮膚を切開せず、皮膚の上から精巣上体に直接針を刺して精子を回収する方法です。なかなか見つからない場合は複数回針を刺したり、もう片方の精巣上体に針を刺したりして精子を回収します。MESAに比べて身体的負担は軽いものの、良好精子の回収率は落ちます。

 

閉塞性無精子症の場合には精巣上体が腫脹していても、大半の部分は死滅精子やデブリス(壊死組織片)のみのことも多く、そのような部位ほど容易に大量の液が採取できます。ごく一部の部位からごく少量のみしか比較的新鮮な運動精子が得られないこともあります。

何度も盲目的に穿刺を繰り返すことによって精巣上体に血腫を形成することもしばしばあり、最初から直視下にピンポイントに採取すれば良好運動精子が得られたはずの症例が、望まぬ結果になってしまうことが懸念されます。

当院ではMESAを最優先しており、PESAはおすすめしておりません。

 

一方、なんらかの理由で精子が作られていない「非閉塞性無精子症」の治療法についてみていきます。FSHとLHが低値のものを「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症」と呼びますが、FSH製剤やhCG製剤などを投与するホルモン療法を行うことで、精子形成ができるようになることがあります。保険適応ではありますが、治療中は長期間にわたる注射の継続が必要です。管理目的で男性不妊専門の泌尿器科医を紹介します。ホルモン療法を1年程度行っても、造精機能が回復しない場合には、精巣や精巣上体からの精子回収を試みます。

FSH値が高い場合には、現在のところ根本的な治療法はありません。基本的に、精巣からの精子回収を行います。

 

マイクロTESE(顕微鏡下精巣内精子採取法)

全身麻酔の状態で陰嚢の皮膚を切開(およそ3cm)し、顕微鏡下で精細管を観察。精巣の中から精子が作られていると推定される精細管(太く白濁して蛇行している管)を探し、精子を採取します。この手術は、精子のいそうな精細管のみ採取するため、普通のTESE(シンプルTESE)より体への負担が少なく、精子の回収率も高くなっています。

 

■MESA(精巣上体精子採取術)

睾丸がある程度大きく、ホルモン値が正常に近い場合でも1割くらいの症例で、実は「非閉塞性」だったということがあります。私の経験上、男性不妊専門の泌尿器科医の先生がマイクロTESEでも精子が採れなかった症例で、MESAによってごく少数ではありますが、精子が回収できたことが数例あります。

 

<質問5>乏精子症や精子無力症だった場合、どのような治療が行われますか?

<お答え>まず漢方薬やビタミン剤などを服用して1カ月後に再検査をします

乏精子症や精子無力症にも、軽度のものから重症度の高いものまでありますが、まずは漢方薬を試してみます。補中益気湯や八味地黄丸を2週間から1カ月ほど試してみて、再度精液検査を行います。これら漢方薬を用いることで精子の動きや濃度が改善するケースもあります。

 

またビタミンB12やビタミンC、亜鉛、コエンザイムなどのビタミンやミネラルあるいはマカなどを処方しているところもありますが、それによって精液所見が明らかに改善したという科学的なエビデンスは今のところ認められていません。

 

泌尿器科の先生は精索静脈瘤が乏精子症や精子無力症の原因になっていることが疑われる場合には、しばしば手術をすすめます。

手術後、3カ月から1年ほどで精子濃度や運動率が改善し、自然妊娠に至るケースも報告されていますが、人工授精や体外受精へのステップアップの時期の判断も重要です。

 

<質問6>射出障害や性交障害の場合、どのような治療が行われますか?

<お答え>逆行性射精の場合には、抗うつ剤の服用や人工・顕微授精を行います。性交障害の場合は、人工授精にトライを!

勃起不全にはバイアグラなどの薬を処方することができます。空腹状態でなくても内服でき、有効時間もさらに長くなった薬も出ています。保険適応ではないので1錠2,000円くらいかかります。(個人輸入の商品では偽造品が出回っていることがあるので、注意が必要です)

 

射精時に精液が膀胱に逆流してしまう「逆行性射精」は、治療には抗うつ剤を使用します。抗うつ剤の副作用を利用した治療ですが、こうした内服薬で改善するケースはおよそ半数とされています。少しでも射出精液が得られる場合は、その精子を使って人工授精や体外受精・顕微授精を行うことができます。

 

また、まったく精子が射精されない「完全型」の場合には、排尿で膀胱を空(から)にしてもらい、培養液を膀胱に注入。射精後すぐに尿を採取し、精子を回収します。回収した精子を使って、顕微授精を行います。膀胱内から回収した精子では顕微授精に使用できない場合には、精巣や精巣上体から精子を回収することもあります。

 

一方で、性交渉ができない、腟内で射精ができない、性行為の途中で勃起しなくなってしまうなどの場合には、心理的なものが影響していることもしばしばあります。そのようなケースでは奥さんの排卵予定日にクリニックでマスターベーションにより回収した精液で、人工授精にて不妊治療を行うことができます。

 

スケジュールの都合がつかない緊急時には、「100円ショップ」などで購入した「化粧液の詰め替え用のシリンジ(注射器)」を用いて、ご主人が自ら容器に採取した精液を奥様の膣の奥の方にゆっくり2mlくらい注入する方法もあります(10㎝近く挿入しても構いませんが、優しく行ってください)。多少抵抗感を感じる人もいるかもしれませんが、人工授精法とタイミング法の中間的なものと考えてください。もともとペニスを挿入する場所なのでさほど無菌にこだわる必要もありません。

 

<質問7>男性不妊を防ぐために、日常生活でできることはありますか?

<お答え>タバコやお酒の飲み過ぎ、睡眠不足、過労、膝上でのノートPCの使用などには気をつけて!

20〜40代の男性は、仕事が忙しくついつい体調管理がおざなりになりがちです。不妊につながるとされる生活習慣には、タバコ、アルコールの飲み過ぎ、睡眠不足、過労などがあります。あてはまる項目がある場合には、改善する必要があります。過労が続くと性行為や射精すること自体が億劫になりますし、働き方を見直すことも大切かもしれません。

 

タバコについてはほとんどの医師が禁煙をすすめています。今後奥様が妊娠したときにも、受動喫煙による胎児への影響も心配されます。

 

月に1回しか夫婦生活をもたないというご夫婦もいらっしゃいますが、排卵日ではなくても週に1回くらいは愛情確認として努力されてはいかがでしょうか。お仕事で疲れて帰られるご主人も多いとは思いますが、定期的に射精することが精巣内の造精機能を刺激する作用があるだろうと考えています。

 

またノートパソコンを、膝の上に置いて作業している姿をよく見かけますが、長時間使用すると精巣が温まってしまい、精子に良い影響を与えないと主張する説もあります。精巣の適温は32〜34度とされており、膝上でのPCの使用はなるべく控えるように心がけてください。同じ理由で、熱いお風呂やサウナへ長時間入る、自転車に長時間乗るなどの習慣があったりする場合には“ほどほど”にとどめるようにしましょう。

脊椎損傷後の長期にわたる車椅子生活によって精巣内の造精機能が低下するケースもときおり出合います。

 

結婚後、半年〜1年経っても妊娠しない場合、最低限のスクリーニング検査を!

結婚後、子どもを望んでいるのになかなか妊娠しない場合には、半年から1年を目処に、不妊治療を行っているクリニックで一般的な検査(スクリーニング検査)を受けてください。

 

女性の年齢(加齢)によって、35歳以降の妊娠率は急激に低下し、流産率は上昇していくということは、日本産科婦人科学会に全国の施設から毎年報告される体外受精の治療成績の統計からも疑いの余地がありません。年齢が気になるのであればさらに早めに受診することも望ましいことと思います。

 

不妊は、男女ともに原因がある場合がおよそ2〜3割、男性のみに原因がある場合が2〜3割です。男性に不妊原因があった場合でも治療の主体になるのは女性ですが、男性も早めに検査を受けることが大切です。ご夫婦で来院いただきたいですね。

スクリーニング検査で特に異常が見つからなければ、若いお二人の場合には引き続きタイミングをとっていくのでも構いません。一方で、もし何か根本的な原因が見つかった場合や、女性が35歳を過ぎている場合には早めに対処する必要があります。生理が規則的にきていても体は年々老化していますから、早めに治療を考えていただくことが大切です。

 

20年以上この分野で歩んできて感じることは、たとえ男性因子が不妊症の主な原因だったとしても、治療を継続する上での肉体的精神的負担は女性の方により重くのしかかっている、ということです。つらい思いをかかえながらも、ゴールの見えないマラソンのごとく足しげくクリニックに通われていらっしゃいます。

ご主人方はそのような事情をよく理解していただき、奥様によりそい、有形無形のサポートをお願いしたいと思います。診療内容に対する奥様自身の希望に対しても極力尊重していただければと思います。

 

不妊治療では、患者さんがどのようにされたいのか、どんなご希望をお持ちなのかをまずお聞きして、医師が現実的な選択肢(治療内容)をご提案するように心がけております。

ひらかたARTクリニックでは、一般不妊治療はもちろん、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療、男性不妊の患者さんへの検査と治療も行っています。無精子症の場合には、クリニック内で手術を受けていただくことも可能です。ご夫婦一緒に治療を受けていただけますので、男性の方おひとりでも、なにか気にかかることや心配なことがありましたら、気軽にご相談ください。

 

施設名 ひらかたARTクリニック 病院の詳細はこちら
URL http://hirakata-art.com/

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