トップページ  >  女性と子どもの健康コーナー ここからげんき  >  赤ちゃんを迎えたいあなたに!妊活・不妊対策を始めよう  >  治療最前線の名医に聞く!不妊治療 Q&A  >  治療がうまく進まない  >  35歳以上の患者さんでは、妊娠した方の6~8割が体外受精で妊娠

治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

治療がうまく進まない

2018.01.1035歳以上の患者さんでは、妊娠した方の6~8割が体外受精で妊娠

答えてくださった先生は・・・
後藤 栄 先生
後藤レディースクリニック院長/ごとう・さかえ 1988年、滋賀医科大学卒業。滋賀医科大学付属病院産婦人科にて臨床研修。1990年、滋賀医科大学大学院医学研究科生体代謝調節系専攻。1997年、滋賀医科大学産婦人科助手。研究題目「マウスin vitro発生停止胚におけるミトコンドリアの挙動・構造とATP量」により医学博士授与。 近畿産婦人科学会学術奨励賞受賞。1999年、大学病院にて不妊治療チームのチーフとして勤務。二段階胚移植を考案・開発した。2003年、英ウィメンズクリニック不妊センター副所長。2005年、英ウィメンズクリニック不妊センター所長。2006年、SEET法(子宮内膜刺激胚移植法:シート法)を考案・開発した。SEET法に関する論文にて2008年兵庫県産科婦人科学会学会賞受賞。2011年より現職。約30年間にわたる経験と知識・技術に加え、患者さんに寄り添う診療で信頼も厚い。
“赤ちゃんを早く授かりたい!”という思いはあっても、“自分はどの治療方法がいいのだろうか・・・”“できれば自然な方法で授かりたいけど、年齢的にどうなのだろう”など、悩む人はたくさんいます。また治療で使うお薬をどのように選択したらいいのか、迷うシーンがあるかもしれません。自分にあった治療方法や薬剤をどのように選んだらいいのか、後藤栄院長に詳しくお話を伺いました。

30代後半からは、体外受精など積極的な治療が必要に

20代から35歳くらいまでは比較的負担の少ない治療プラン、35歳を過ぎたら年齢を意識して治療方法を選択していく

治療方法をどのように選択するかには、大きく2つの要素が関係してきます。一つは年齢、もう一つは不妊原因です。この2つを勘案しながらお一人おひとりにあった治療プランを立てていくことになります。

これは当院のデータになるのですが、“最終的に妊娠に至った治療方法は何か”を見ていくと、29歳以下ではタイミング療法が6割弱で、体外受精が3割ほどとなります。30〜34歳では、タイミング療法と体外受精がそれぞれ4割と拮抗します。そして35〜39歳では、体外受精が6割に増えます。40〜42歳では、体外受精の割合が8割を占めるようになります。

このデータからわかることは、特に30代後半からは、妊娠に至るには体外受精のような積極的な治療が必要になる人が多いということです。以下が、年代別の標準的な治療プランとなります。

◇大きな不妊原因がない場合の年代別治療プラン (あくまで一例です)

夫婦間で治療への温度差がある場合には、ぜひご主人と一緒に受診を。医師からの説明で納得することが多い

35歳以降は1年という時間の重みがどんどん増していきます。もちろん、どの治療方法を選択するかはご夫婦に任されますが、“体外受精はなんだか怖い”“自然じゃないのはイヤ”というようなイメージだけで決めつけてしまうのはもったいないかもしれません。前述のような年代別のデータも参考にしつつ、医師と相談しながら納得できる治療方法を選んでほしいですね。

ご夫婦によっては、妻と夫との間に治療への温度差がある場合があります。奥様は、体外受精に進みたいけれど、ご主人は“もう少し自然に任せてみようよ”と反対するケースです。奥様は、毎回の診察で情報や知識が積み重なっていくけれど、ご主人は現在置かれている状況についていけていないのですよね。こういうケースでは、できるだけご主人も一緒に受診されてください。医師から現在の状況や臨床データなどをご説明することで、男性は“論理的に”理解されることが多いですから。まずは夫を土俵にあげることが大切ですよ。

1回目の採卵で多く採れると、妊娠率が有意に高くなる

お薬(排卵誘発剤)の選択は、タイミング療法や人工授精では自然排卵か内服薬から開始し、体外受精では注射薬を基本としている

お薬(排卵誘発剤)の選択は、タイミング療法と人工授精は、内服薬低刺激での誘発が基本になり、通常内服薬から開始し、状況を見て注射薬にステップアップします。(お薬を使わずに自然排卵で行う場合もあります)

また体外受精では、基本的に注射薬(高刺激)での卵巣刺激を行っています。体外受精で注射薬による卵巣刺激を行う理由には2つあります。

①採卵回数をできるだけ少なくするため
感染や出血のリスクを下げるために採卵回数をできるだけ少なくしたいと考えています。1回に採れる卵の数が多いほど、採卵回数が少なくて済む可能性が高くなるので、注射薬による刺激を行うことになります。
②1回目の採卵で多く採れた場合は妊娠率が高くなるため
これは当院のデータなのですが、どの年代でも、1回目の採卵で4個以上採れた場合のほうが、2〜3個しか採れなかった場合に比べて採卵あたりの妊娠率が30%ほど高くなっています。また残った受精卵は凍結保存することにより、第二子・第三子を望む際に使うことができます。若いときに保存した凍結受精卵は年をとりませんので、必然的に妊娠率は高くなり、流産率は低くなります。

AMHの値(抗ミュラー菅ホルモン;卵巣予備能の数値)が良い場合は、注射薬による刺激(高刺激)のほうが有利になります。反対にAMH値が1を切っているようなときには、採れる卵の数は2〜3個になりますので、内服薬飲み薬(低刺激)による卵巣刺激を行っていきます。

注射薬には、自宅で自分で打つタイプと、病院で打つタイプがあります。体外受精のための卵巣刺激は、基本的に自己注射タイプを使用します。

20〜30代前半の人は1年、30代後半〜40代の人は、3〜6カ月経っても妊娠しなければ専門の医療機関で相談を!

結婚後になかなか妊娠しなくても、「そのうち妊娠するだろう」とか、「まだ30代だから大丈夫」と考えて受診しない方がたくさんいます。診察をしていると「あと少し早くアクションを起こしてくれていたら、結果は違っていたのかも・・・」と悔しさを感じることが多々あります。仕事や受験勉強などは努力や苦労をすればある程度成果を出すことができますが、不妊治療は努力したからといって必ずしも成果が出るとはかぎりません。体外受精でも、1回の治療で妊娠できる割合は、年齢とともに低下していきます。

最新の医療技術では、受精(卵子と精子の出会い)まではサポートできるようになりました。しかし、着床に関しては、まだ難しい壁がある(受精卵の染色体異常など加齢による要因が大きくかかわっている)のが現状です。

この問題を解決するには、少しでも早く医療機関を受診するなどのアクションを起こしていただくしかありません。20〜30代前半の方の場合、避妊をせずにタイミングをとっても1年間妊娠しなければ、時間を置かずに専門の医療機関を受診してほしいですね。30代後半から40代の場合には、3〜6カ月妊娠しなければすぐに受診してほしいと思います。赤ちゃんを授かれるよう、一緒に最善の方法を考えていきましょう。

取材・文/渡邉由希

施設名 後藤レディースクリニック
URL http://goto-ladies.com

治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

  • 原因のさぐり方
  • タイミング・ステップアップ
  • パートナーのこと
  • 治療に使う薬のこと
  • かけるお金のこと
  • 心のケア
  • 治療の痛み
  • 治療がうまく進まない
  • 最新治療

不妊治療Q&A一覧へ

妊活・不妊対策を始めようへ

ご利用にあたっての注意・お願い

本コーナーに掲載する情報は、健康をテーマに、日々の暮らしのヒントとなる情報の提供を目的としているものであり、治療・診療行為を意図するものではありません。また、内容の正確性や、何らかの医療効果が得られることを保証するものではありません。
このことを充分ご認識の上、あくまで参考情報として本コーナーをご利用いただき、必要に応じ適切な医療機関の診察を受けるようお願いします。
本コーナーに掲載された情報、それに基づく行為により、何らかの不都合、不利益が発生し、また、損害を被った場合でも株式会社ベネッセコーポレーションは責任を負いかねますので予めご了承ください。