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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

治療に使う薬のこと

2015.07.08副作用を抑えつつも、妊娠率を上げるための 排卵誘発の仕方はどう選ぶの?

答えてくださった先生は・・・
両角和人先生
両角レディースクリニック院長
もろずみ・かずと
1998年3月、福島県立医科大学医学部卒業。2005年3月、福島県立医科大学医学部大学院卒業。1998年4月、福島県立医科大学産婦人科学講座入局。同10月、板橋中央総合病院産婦人科医員。2001年10月、福島県立医科大学産婦人科学講座医員。2004年9月、ハワイ大学医学部生殖生物学研究所留学(2004年から2年半ハワイ大学の柳町教授のもとに留学。顕微授精に関する研究を行う)。2007年1月、福島県立医科大学産婦人科学講座助教。2008年6月、山王病院リプロダクションセンター。同年6月、国際医療福祉大学大学院講師。2012年7月、両角レディースクリニックを開院。徹底したプライバシーの保護や高い技術力、熱心な診療姿勢などで患者さんからの信頼は厚い。日本産婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。
排卵誘発法は、その方にとってもっとも妊娠率が上がる方法を選ぶ

排卵誘発の方法は数々ありますが、どの方法が自分にあっているのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
また、薬を使うのか、なるべく自然に任せるのかでも判断は異なってくるかもしれません。
卵巣の評価や年齢などから、どのように排卵誘発の方法を選択したらいいのか。
高い妊娠率で日本全国、さらには海外からも患者さんが訪れる両角院長に詳しくお話を伺いました。

薬を安全に使い、できるだけ早く結果を出すことが大切

自然周期法か、薬を使うかは、“妊娠まで時間がかかるほうがつらいか”“薬を使うのがつらいか”という選択の問題だが、治療がつらくなる前に結果を出してほしい

患者さんのなかには「なるべく自然に妊娠したい」とおっしゃるかたがいますが、完全自然周期法の場合、一度に採れる卵の数は1~2個ですから、どうしても妊娠までに時間がかかり、治療が長期間に及びます。

結果がなかなか出ないと、治療自体に嫌気がさしてしまうことにもなりかねません。

自然でいくか、薬を使うかは難しい問題ですが、要は “妊娠まで時間がかかるほうがつらいか” “薬を使うことがつらいか”の選択なのではないでしょうか。

 

データ(エビデンス)では、明らかに薬を使った方が妊娠までの期間は短くなることが分かっています。

なかなか結果がでないと、費用もかさみますし、採卵などつらい治療を繰り返すことになります。

さらには、身内からのプレッシャーや周囲の目なども気になるようになるかもしれません。

そのため私自身は、不妊治療はつらくなる前に、早く結果を出すことが最も重要だと考えています。

注射薬(リコンビナントFSH製剤)による卵巣刺激法なら、通院回数も抑えられほとんどデメリットはなし。短期間に結果を出すことができる

自然周期法/低刺激法でいく場合と、FSH製剤などの注射薬を使う場合のメリット、デメリットを表にまとめてみました。
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当クリニックでは、3カ月程度で卒業する方が多くなっています。

ペン型の自己注射薬「リコンビナントFSH製剤」(ホルモンの薬)を使うことで、通院回数も抑えられ、自宅で簡単に痛みもなく薬の投与を行えます。

患者さんの中には「注射がスタンプみたいで楽しかったです」とか、「治療自体が良い思い出になりました」とおっしゃってくださる方もいます。

卒業までの時間が短いことで、治療のつらさよりも、“がんばってよかった!”という良い記憶のほうが大きいのでしょうね。

繰り返しになりますが、排卵誘発法は、薬を安全に使い、副作用が出ない範囲で、その方にとって妊娠率ができるだけ上がる方法を選ぶことが大切だと考えます。
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副作用が出ない範囲で、たくさんの卵が採れる方法を選ぶ

年齢、生理周期、各種ホルモン値、AMH、AF(前胞状卵胞数)などから卵巣を毎月評価。その方にとって、いちばん適した排卵誘発方法をその都度見極める

年齢や生理周期、過去の治療結果、ホルモンの値(FSH、E2、LH、P4、PRL)、AMH、AF(前胞状卵胞数)をもとに、最適な排卵誘発方法をその都度決めていきます。

 

「年齢」については、一般的に若い方が卵はたくさん採れ、高齢になると採れにくくなります。

「生理周期」は長い方が採れる方が多く、短いと採れない方が多くなります。

「過去の治療結果」は、過去の刺激量(薬の量)を参考にして、最適な薬の量を計算します。

「FSH値およびE2値」は、生理3日目の数値がFSHは12.5mIU/ml以上、E2が100pg/ml以上の場合は妊娠率の低下が認められます。

 

ホルモン値はストレスなどの影響でかなり変動をします。

強いストレスを受けている時期に妊娠をすると赤ちゃんや母胎に良くないので、身体自体が自分でホルモン値を上げて調整しているのでしょうね。

FSHの数値が15mIU/mlくらいある場合には、7~9mIU/mlくらいまで数値が下がるまで待って採卵をします。

またピル(プラノバール)やエストラーナテープを使うことで数値を下げる場合もあります。

 

そして、よく耳にする方も多いと思いますが「AMH」(抗ミュラー菅ホルモン)の値も重要なファクターになります。

あとどのくらい卵巣内に卵胞が残っているかが分かり、血液検査で簡単に調べることができます。

AMHの値は年齢とともに低下していきますが、AMHの数値が高い人は生理周期も長い人が多く、残っている卵胞数も多い傾向があります。

反対に、生理周期が24日前後だとAMHの値が0.2~0.3ng/ml程度の方が多いですね。

 

AMHの数値が低い場合は、卵巣刺激をしても反応しない症例だということを事前に把握できるため、過剰な刺激を避けることができます。

反対に数値が高い場合(15ng/ml程度)には、注射をすることで高反応が予測できますので、薬の量などに気をつけることで、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の発症を事前に防ぐことが可能です。

AMHの数値が低くても妊娠されている方はたくさんいますので、落ち込まなくても大丈夫です。

一緒に最善の方法を考えていきましょう。

 

「AF」は、聞き慣れない人が多いかもしれませんが、前胞状卵胞といい、生理中に見える大きさが3~6mm程度の卵胞のことです。

この前胞状卵胞が多いと、その周期はたくさんの卵が採れることが予測できます。

35歳前後なら6~12個程度見えることが多く、42歳以上だと2~6個程度になります。

前胞状卵胞は、全員に対して、毎月必ず生理中に超音波エコーをすることで確認をします。

35歳前後で卵が比較的採れる場合は、アンタゴニスト法、40歳を超えていてAMHが低い場合は低刺激法など、その都度、その方にとって最適な方法を選択する

では実際に、どのように排卵誘発法を選択しているのかを具体例をもとにご紹介します。

 

■A子さん(35歳)

AMH:3~5ng/ml AF:7~10個

FSH:7~8mIU/ml

この方の場合は、「アンタゴニスト法」を用います。

アンタゴニスト法はマニュアル車にたとえられ、薬の量などを細かく微調整していきます。

卵胞のサイズ、エストロゲン値、LH値を見ながらアンタゴニスト薬の投与開始時期を決めるのですが、卵胞のサイズが15~17mm以上になった時点から投与を開始します。

アンタゴニスト薬の注射は、できれば1回、半減期も計算して最大2回までの使用に抑えたいと考えています。

またアンタゴニスト法があわない場合は、アゴニストの「ロング法」「ショート法」を使い分けることもあります。

(卵が採れる方でも、前周期に結果が出なかった場合は、排卵誘発法を変えていきます)

 

■B子さん(43歳)

AMH:0.1~0.3ng/ml AF:1~2個

FSH:12〜17mIU/ml

この方の場合は、「クロミッドの服用」か「クロミッドの服用+注射薬」を用います。

クロミッドを服用することで卵は3個くらい育ちますし、排卵の抑制もできます。

一方で凍結胚移植が合わない場合は、「フェマーラ」を用いて新鮮胚移植をすることもあります。

この薬はクロミッドと違い子宮内膜が薄くなるなどの影響が出づらいため、着床させやすくなるという特性があります。

 

そもそも、AMHが低い場合に排卵誘発をする意味はあるのか?という根本的な問いもありますが、AMHと違い、AFには月ごとにばらつきがあります。

たくさん前胞状卵胞が見える場合は、刺激をすると高い確率で卵が採れますので、治療が可能になります。

*フェマーラを用いる場合は、事前に使用同意書をいただいています。

30代後半になると、残された時間は少ない。1日でも早く検査を受け、夫婦の価値観を揃えて適した治療を受けることが大切に

30代も後半になると、残された時間はわずかですから、一刻も早く、カップルで基礎的な検査を受けることが求められます。

検査結果をもとに、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精などの不妊治療をするのか、疾患を治すための治療を受けるのかという選択をしていきます。

 

たとえばピックアップ障害が疑われる場合には、腹腔鏡手術で治療をするのか、体外受精をするかという2つのオプションをご提案し、患者さんに選んでいただきます。

治療法を選択する際にもっとも大切なのは、カップルで話し合って価値観を揃えることです。

話し合いの場をもって、悩みながらもさまざまな選択肢のなかから選ぶことが大切です。

 

もし、男性が不妊治療に及び腰の場合は、ぜひクリニックに連れていらしてください。

男性は、論理的に話すと理解してくださることが多いので、客観的なデータをもとにご説明をいたします。

何度も言いますが、“不妊治療は短期決戦でいくべき”です。

そのために私たちも、1カ月でも早く結果を出していただけるように、最大限の努力をしていきます。

治療がつらくなる前に、結果を出していきましょう!
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取材・文/渡邉優希

施設名 両角レディースクリニック(モロズミレディースクリニック)
URL http://morozumi-lc.com/index.php

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