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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

心のケア

2015.11.12治療に専念したほうがいいの?仕事を続ける場合、職場ではどう上司に伝える?

答えてくださった先生は・・・
箕浦博之先生
みのうらレディースクリニック院長
みのうら・ひろゆき 1986年、三重大学医学部卒業。三重大学医学部産婦人科入局。1987年、松阪市民病院産婦人科・研修医。1988年、済生会松阪総合病院産婦人科・医員。1990年、三重大学医学部産婦人科・医員。1991年、同大学不妊症診療チームに入る。1992年、三重大学医学部産婦人科・助手。1994年、三重大学医学部産婦人科と回生病院産婦人科との混成チームが結成されチームリーダーとなる(精巣内精子を用いた顕微授精の三重県初の成功例)。1998年、プリンスヘンリー医学研究所に留学、着床の生理学につき研究。2000年、三重大学医学部産婦人科・講師(体外成熟卵子を用いた成功例)。2002年、鈴鹿回生病院・高度生殖医療センター長。2005年4月、不妊症・不育症診療の専門診療機関「みのうらレディースクリニック」を開設。家庭や職場の事情に配慮した臨機応変な対応で患者さんからの信頼も厚い。
仕事と治療は、うまく割り切りながらしたたかに両立を!

なかなか赤ちゃんが授からない場合、仕事をしている女性なら一度は「仕事を辞めて治療に専念したほうがいいのでは・・・」と揺れるのではないでしょうか。
不妊治療を続ける場合、治療に専念したほうがいいのか、それとも両立は可能なのか。それぞれのメリット、デメリットに加え、職場ではどのように振るまったほうがいいのかなどについて、箕浦院長にお話を伺いました。

妊娠前から、少しずつ働き方の見直しを

仕事を辞めてしまうと、家計を圧迫するケースも。うまく割り切りながら、仕事と治療は両立してほしい

不妊治療をしながら仕事を続けるか否かは、人によるとしかいえません。しかし不妊治療は大半が自費診療ですから、お金がかかります。女性が仕事を辞めてしまうと、家計を圧迫してしまい、治療自体が続けられなくなるケースも。
経済的なことを考えれば、現実的に辞められない人が多いのが事実かもしれません。

また仕事を辞めることで “社会から取り残されてしまう”という強迫観念に陥り、治療自体がうまくいかないこともあります。仕事と治療は、双方ともうまく割り切りながら、両立させるのがベストといえそうです。

100の仕事を、100ないしは120の力でやらないと気が済まない人は、妊娠前から仕事スタイルの改善を!

一方で、100の仕事を100ないしは120の力で取り組まないと気の済まない人は、両立は難しいかもしれません。なぜなら不妊治療と仕事を両立できない人は、たとえ妊娠しても、体力と制度の問題で仕事と両立できない可能性が高いからです。

うちのクリニックは、夜は19時半まで受付をしています。しかし「仕事が忙しくて受診できないから、22時くらいまで診療をしてほしい」と言われることがあります。たしかに夜間でも診療しているクリニックはあるでしょう。しかしこんな仕事の仕方をしていては、妊娠してからの検診や体調管理などはどうするのか心配になります。妊娠してからも、夜の21時過ぎまで働くつもりなのでしょうか。

普通に仕事をしている人なら、働きながら不妊治療は続けられますし、19時半までに受診することも十分可能です。19時頃までに会社を出られない人は、おそらく責任は重いがポジション(地位)が高くないケースや、自分のみに知識や経験が溜まってしまい、他の人にはその業務ができないケースなどがあり、周囲もその人の仕事ぶりを“そういうもの”だと思い込んで仕事を任せてしまっていることが多いのかもしれません。

「仕事のことは、妊娠したら考えます」とおっしゃるかたが多いですが、急に“妊娠バージョン”に変われるわけではないのです。少しずつ周囲の人に業務を覚えてもらったりして仕事を振っておかないと、妊娠中、急に体調が悪くなったりして休まなくてはならないとき、周囲に迷惑をかけてしまいます。

今のうちから仕事スタイルを見直し、妊娠しても仕事と無理なく両立できるように、環境を整えていきましょう。

不妊治療をしていることは、同僚や上司には、伝えておいた方がいい。ホルモン療法は忙しくない時期に

不妊治療を仕事と両立するコツは、仕事が10の時期と、治療が10の時期をうまく分けることです。うまく仕事と治療のバランスをとるためにも、同僚や上司には不妊治療を伝えておいたほうがいいでしょうね。言っておくことで、配慮してもらえますし、体調が良くないときも正直に相談することができます。

不妊治療の中でも、特に体調が不安定になりやすいのはホルモン療法です。体がだるくなることが多く、みんさん「カラダが本調子じゃない感じがする」とおっしゃいます。ホルモン療法をうまく乗り切るためには、仕事が谷の時期(忙しくない時期)に行うことをお勧めします。仕事をフルスロットルでこなさなければいけない時期は、避けた方が無難かもしれません。

一方で、「上司や同僚に治療のことを知られたくない」とおっしゃるかたもいらっしゃいますが、私の経験では、治療をしていることを隠している人は、仕事か治療かどちらかをやめてしまうことが多いですね。不妊治療をしていると、仕事を休まざるを得ない場合も多く、隠し通せるものではありません。
もし周囲から根掘り葉掘り聞かれたら、適当にかわしておけばいいんです。治療と仕事を両立するために、女性にはもっと強くしたたかになってほしいと思います。
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時には、仕事より治療を優先することも大切

不妊治療は、予定が立たないことが多い。上司に、“採卵はいつ?”と聞かれたら「卵胞の成育次第なので・・・」と回答を

患者さんからよく、「採卵はいつ?と上司に聞かれるんです」という話を聞きます。不妊治療は性周期にあわせて行う治療ですから、「○日に有給をいただきます」など正確な日にちは言えません。特に採卵は、卵胞の成育具合を見ながら日にちを決めますから、あらかじめ予定が立つものではありません。

特に体外受精においては、仕事より採卵を優先していただくことがあります。不妊治療に長年携わっていると、ある種の“勘”が働きます。採卵は、勘どおりに実施したほうがその後の妊娠率が高いことが多いので、たとえば火曜日に採卵する予定だったものを、仕事だからと水曜日にずらしてはいけないのです。

私も職業人ですから、仕事が待ってくれないことはよく分かります。しかし、不妊治療をされている患者さんには、「そこまで仕事に忠誠を誓わなくてもいいのでは?」とお話ししていますよ。

妊娠を機に会社での立場が変わっても、給料がほとんど変わらないならラッキー!と捉えよう

仕事への忠誠心でいえば、40歳前後まで仕事を続けてきた方には “自分だけしかできない・分からない”業務がたくさんあり、どうしても治療より目の前の仕事を優先しがちかもしれません。高いポジションを目指していたり、高い専門性を得たいと考えるキャリア志向の女性ではその傾向が強いと感じます。

仕事に重きを置いて生きてきた女性では、妊娠したあと、言葉は悪いですが“捨てなければいけないもの”がたくさん出てきます。培ってきたキャリアであったり、仕事に全力投球する時間であったり、です。時には、配慮という名目で配置転換や役割変更がなされる場合もあるでしょう。それを“マタハラ”と呼んでしまえばそうかもしれませんが、やはり妊娠中は無理が効きませんし、不測の事態もありえますから、配置転換などはやむを得ないのではないかと医師の立場では思います。

不妊治療は妊娠がゴールではなく、人生は妊娠後も続きます。妊娠や出産による配置転換があったとしても、「給料がほとんど変わらないならラッキー!」くらいに開き直れる、良い意味での“したたかさ”を養ってほしいですね。

不妊治療は夫婦でよく話し合って。妻と夫双方が“治療をしたい!”という場合のみスタートを

不妊治療は夫婦を対象とした治療ですから、奥さんがやる気まんまんでも、ご主人にやる気がない場合には適用外です。医療者が夫を説得するケースもあるようですが、その場合、夫にものすごく心理的負荷がかかりますので、あくまで夫婦で話し合って合意がなされた場合のみ、治療を行うべきだと考えています。

夫婦を対象とした治療でいうと、当クリニックでは、採卵のときは必ずご主人には連絡のとれる場所(国内)にいていただきます。海外の長期出張に出ておられる場合でも、必ず日本に戻ってきてもらいます。なぜなら、採卵は手術だと捉えており、奥様が、麻酔や合併症など一定のリスクを負っているときに、ご主人が海外などにいるのはおかしいという考えからです。

不妊治療は、仕事をしていてもある一定の時間をさかないとできない治療ですし、ご夫婦の協力が不可欠です。私たちスタッフも、できる限り患者さんのご事情に配慮し、臨機応変な対応をしていきたいと考えています。かわいい赤ちゃんをお迎えできるよう、一緒にがんばっていきましょう。
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取材・文/渡邉優希

施設名 みのうらレディースクリニック
URL http://www.minouralc.com/

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