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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

最新治療

2018.02.13妊娠するための時間を短くするために、治療技術やテクノロジーはここまで進んでいる!

答えてくださった先生は・・・
林 博 先生
恵愛生殖医療医院 院長/医学博士/はやし・ひろし 1997年、東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学付属病院 生殖内分泌外来チーフを経て、2011年4月、恵愛病院生殖医療センターを開設。同年センター長就任。2018年1月、恵愛生殖医療医院開設、院長就任。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医。日本生殖医学会・生殖医療専門医。日本産科婦人科内視鏡学会・技術認定医。日本内視鏡外科学会・技術認定医。日本不妊カウンセリング学会・認定不妊カウンセラー。日本周産期・新生児医学会・周産期(母体・胎児)専門医。日本で唯ひとりの「生殖医療」「内視鏡」「周産期」すべての分野の専門医として、高度で複合的な不妊・不育治療を行っている。また自らが、体外受精・顕微授精の治療を経験している。
できるだけ早く妊娠するための治療技術や、それをサポートするためのテクノロジーは、日進月歩で進化を遂げています。たとえば、受精卵を育てるための培養器にアルゴリズムを用いた胚の評価技術が搭載されているものも登場しています。国内外の医療機関に先駆けて、先端テクノロジーを治療に取り入れている林博院長に、最新の治療技術について詳しくお話を伺いました。

アルゴリズムが受精卵の発達スピードを観察。すぐれた受精卵を判断する

アルゴリズムを用いた胚の評価技術を搭載した培養器は、受精卵の“発達過程”も評価する

■卵子の質は、年を重ねるごとに低下する。できるだけ若い年齢の受精卵を凍結保存しておくことで選択肢が広がる

体外受精の治療を受けると、1回の採卵でたくさんの卵子が採れることが多く、複数個の受精卵を凍結保存しておくことも可能です。

たとえば30歳前後で結婚したある患者さんは、卵管が詰まっていたため自然妊娠は困難であることがわかり、体外受精を決断。1度の採卵で、複数個の受精卵を凍結。第一子を30代前半で妊娠・出産されたあと、残った受精卵を使って、第二子、第三子を30代半ばから40歳ごろにかけて出産されました。

もしこの患者さんが受精卵を凍結していなければ、ひょっとしたら第二子以降のお子さんは授からなかったかもしれません。もちろん社会全体で、若いうちに妊娠・出産をできる体制を整えることも大切です。性交渉をせずに妊娠することに対して、違和感を持たれる方がいらっしゃることも承知しています。

しかし、若い頃の受精卵を凍結しておくことにより、年齢を重ねても、赤ちゃんを授かれる可能性が高くなるということも現実なのです。出産時の安全性を考えると、何歳でも妊娠出産が可能とはなりませんが、現在より年齢を重ねてからお子さんを望まれる方で体外受精治療を検討されている場合、受精卵の凍結保存も選択肢のひとつとして考えてみることは大切かもしれません。

■受精卵のグレード判断にとって重要とされる“分割スピード”を確認できるアルゴリズムを用いた胚の評価技術を搭載したタイムラプス培養器を導入

当院では、体外受精を受けるすべての患者さんに対して、「アルゴリズムを用いた胚の評価技術を搭載したタイムラプス・インキュベーター(培養器)」を導入しています。こういった機械を導入している医療機関はまだまだ多くはないですが、こういった培養器の最大の特徴は、①数分おきに受精卵(胚)の撮影をする、②アルゴリズムを用いて胚を評価するという2点にあります。

①については、自動で数分おきに撮影が行われるため、巻き戻せば発達過程を見ることができます。 ②については、胚培養士が受精卵のグレード判断を行った後、もし2つの受精卵が同グレードだった場合、培養器の評価システムを参考にします。評価システムは受精卵の分割タイミングを観察していますから、分割のタイミングが良い方を教えてくれます。

これまでは受精卵の最終形しかわかりませんでしたが、実は受精卵のグレード判断には育ってくる途中の動きが大切とされており、途中経過を見られることで受精卵のグレード判断の大きな助けになることが期待されます。
またこれらの培養器は、受精卵ごとに個別の培養環境を設けたものを使用します。

そして胚盤胞まで育った受精卵(胚)は、通常、培養士の手によりガラス化という方法で凍結保存されます。この分野においても、日々技術革新は進んでおり、当院ではより安全に凍結保存できる胚凍結機を導入しましたので、安心して大切な受精卵をお預けいただけます。また排卵誘発のお薬に関しても、FSHやhCGの注射では、より品質にばらつきの少ない薬剤を使用しています。

35歳を過ぎていたら、まずは早めに基本的な検査を受けて

■34歳までなら、避妊をせずに半年性交渉をしても妊娠しなければ受診を。35歳過ぎていたら、結婚と同時に検査を受けて

かなり知られるようになってきましたが、卵子は、女性が年齢を重ねるごとに一緒に歳をとっていきます。卵子の質がもっとも良いとされるのは18〜23歳ごろとされ、35歳を過ぎると急激に質・数とも低下していきます。

しかし、10代後半から20代前半といえば勉強や仕事に忙しく、妊娠・出産を考える人は少数派です。最近では30近くになって結婚を考え始め、30代後半になってようやく妊娠・出産を真剣に考える人も少なくありません。

卵子は1歳でも若い方が、妊娠する可能性が高いという現実があります。

35歳未満の方の場合は、避妊をせずに半年間性交渉をもっても妊娠しなければ、受診をしてください。血液検査によるAMH(抗ミュラー管ホルモン:残っている卵子の数に比例するとされる)測定や卵管の通りをみる子宮卵管造影検査、精子の運動率や数など、基本的な検査を受けてみて、それで問題がなければ、20代ならしばらく様子をみてもいいかもしれません。30〜34歳でしたら、タイミング療法をスタートしてもいいでしょう。

一方、結婚した時点ですでに35歳を過ぎていたら、結婚と同時に基本的な検査を受けることをオススメします。35歳を過ぎると急激に妊娠率が低下しますし、流産率は上昇します。前述のとおり血液検査で、残っている卵子の数をある程度推測することも可能ですので、あとどのくらい時間的な余裕が残されているのか知ることもできます。たとえ卵子の数が減っている可能性があったとしても急いで治療を行えば、間に合うケースも多いと考えます。
卵管に詰まりなどのトラブルがなければ、まずは人工授精を3回ほどトライしたのち、希望されれば体外受精による治療をスタートしていきます。

当院では、世界でも最先端のテクノロジーを積極的に採用することで、少しでも妊娠率を高めたいと考えています。しかし、どんなに治療技術やテクノロジーが進歩しても、現在の医学では卵子を若返らせることはできません。“赤ちゃんがほしいな”“あれ、なかなかできないな”と思ったら、なるべく早くご相談にいらしてほしいですね。9割の方は、受診から半年以内に妊娠されています。1日でも早く赤ちゃんを授かれるよう、一緒にベストな方法を考えていきましょう。


取材・文/渡邉由希

施設名 恵愛生殖医療医院
URL http://www.tenderlovingcare.jp/

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