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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

治療の痛み

2015.04.08採卵の痛みと人工授精や胚移植時の痛み、どう軽減するの?

答えてくださった先生は・・・
小塙清先生
医療法人 小塙医院 理事長/医学博士
こばなわ・きよし
北里大学医学部卒業、同医学部産婦人科教室に入局。慶應大学医学部産婦人科教室、芳賀赤十字病院、東京歯科大学の勤務を経て、1982年オーストラリア・モナッシュ大学で不妊症を研究。1985年に、慶應大学医学部産婦人科教室・飯塚理八教授のもとで人工受精、体外受精のための精子調整法、パーコール法などについて研究。現在は、不妊症治療、新「酸・アルカリ法」による男女産み分け治療のほか、ホルモン補充治療法(HRT)や漢方を用いた更年期障害の治療でも評価を得ている。
痛みのない採卵や人工授精は可能!不安がらずなんでも医師に相談を

採卵や人工授精、胚移植などは、女性のデリケートな部分に注射針やチューブなどを刺す治療だけに、「なんだか痛そう」と不安になりがちです。
しかし実際には、チクッとした一瞬の痛みだけで済んでしまったり、痛みを緩和するための点滴や鎮痛剤なども使われたりしているので、ほとんど痛みを感じることなく治療が受けられるようになっています。
排卵や人工授精、胚移植時の痛みのコントロールについて、不妊治療の最前線で診療にあたってこられた小塙理事長にお話を伺いました。

ゆったりとした状態で精子や胚を子宮が受け入れると、妊娠率がアップ!

子宮がゆったりした状態だと、人工授精や胚移植での着床率が2割近く高くなる

精子や胚(受精卵)を子宮に迎えるときは、血流が豊かでゆったり弛緩した状態だと着床率が高くなることが分かっています。

女性は性交渉のとき、交感神経(緊張・興奮時に活発になる)が高まり、最後はその反動で副交感神経(リラックス・睡眠時に活発)が優位になり、体が脱力してぐったりします。

これはゆったり弛緩した状態になることで、精子を受け入れやすくするためだと考えられます。

反対に、子宮が緊張した状態だと、せっかく精子や胚を子宮の中に送り込んでも、収縮して排出しようとしてしまいます。

 

そこで人工授精や胚移植で、精子や胚を子宮に戻す際には、みなさんどうしても力が入ってしまい緊張することが多いので、心身ともリラックスした状態で行えるように、さまざまな方法で“痛みのコントロール”を行っています。

ゆったりリラックスした状態で人工授精や胚移植を行うことで、当院のデータでは、妊娠率が20%近く高くなりました。
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人工授精では、緊張している場合、点滴を使うことでお風呂に入っているときのようなリラックスした状態で行う

人工授精は、チューブのような器具を使って、あらかじめ採取しておいた精子を子宮の中に注入します。

精子は子宮に入れれば自然に上の方に向かって泳いでいきますが、緊張していると注入時に痛みがあることもありますし、精子を排出しようとしてしまいます。

そこで患者さんの緊張感が強い場合は、子宮弛緩剤を点滴することで“お風呂に入っているときのような、ゆったりとした状態”で行います。

点滴をする時間は45~50分ほどで、人工授精が終わったあとは、しばらくベッドで休んでいただき帰宅してもらいます。

胚移植はたいていの場合、痛みはなし!もし子宮腔の形がイレギュラーな場合は、超音波エコーで確認しながら移植チューブを入れることで痛みがなく行える

胚移植は、胚を子宮に戻す作業自体は数分で終わりますので、通常は痛みを感じないことがほとんどです。

 

しかし子宮腔の形によっては痛みを感じる場合がありますので、膣内を洗浄した後、超音波エコーを使って子宮腔内の状態(どのように子宮が傾いているか)を確認。

一度、試しで移植チューブを挿入して、スムーズに入るかどうかを検討します。

そして移植チューブの先端が子宮腔の最奧に到達しているかをチェックし、到達できていれば胚を移植チューブに入れて注入します。

 

もし移植チューブを入れた際に入りづらかった場合は、経膣超音波エコーで子宮腔の形を確認しながらチューブを差し込みます。

さらには、子宮の傾きにあわせて柔らかなチューブを使うことでも痛みがないようにします。

 

こうした手順を踏むことで、ほとんど痛みがなく胚を子宮に戻すことが可能です。

それでも痛みに不安がある場合は、喘息の方を除き、座薬の鎮痛剤を使用します。

そして、精子や胚が子宮の最適な場所に注入できたかどうか、患者さんと一緒に経膣超音波エコーのモニター画像で確認することも。

実際に自分の目で見ることで、精神的な満足も得ていただけるようです。

採卵の痛みは、麻酔や鎮痛剤、針の太さなどでコントロールできる

採卵は、膣と近い場所に卵胞があれば、無麻酔でも一瞬の痛みのみ。一方で複数の卵胞を採取する場合などは、麻酔などで痛みをコントロール

採卵は、膣壁に30センチほどある注射針を刺して、卵巣から卵胞液(卵子を含んだ液体)取り出す処置です。

採卵時の痛みは、採卵したい卵胞のある場所が膣より遠かったり、経膣超音波エコーで膣の奧を圧迫したり、採卵しやすい場所に卵巣がくるようにお腹を押ししたりする際に、感じることが多いようです。

卵胞のある場所が膣に近く、採取する箇所(針を刺す箇所)が1~2箇所の場合は、一瞬のチクッとした痛みで済むので無麻酔で行うことも可能です。

採卵自体も数秒で終わってしまいます。(患者さんからの希望があれば麻酔や鎮痛剤を用います)

 

しかし卵巣が膣から遠く離れていたり、卵胞がたくさん育っていて複数箇所からの採卵を行うケースでは、静脈麻酔や鎮痛剤(座薬)を用いて患者さんの負担を軽減するようにしています。

いずれにしても、少しでも心配なことがある場合は医師に相談し、ひとりで悩んだり、ガマンしないようにしてください。

採取できる卵胞の数や安全性、回収にかかるとき時間などを考え合わせ、注射針の太さを使い分け。麻酔の量との兼ね合いも大切

採卵用の注射針と一言で言っても、針の太さは17ゲージ(太い)から23ゲージ(細い)まであり、太いもの、細いものには、それぞれメリット・デメリットがあります。

針の太さによって、患者さんの感じる痛みの程度などに違いが生じます。

 

<太い針>

●メリット : 卵子を回収するスピードが速い。卵子が崩れにくく安全に吸い上げられる

●デメリット : 痛みが強い、技術が未熟な人が行うと、血管損傷などを起こしやすい

 

<細い針>

●メリット : 痛みを感じにくい。血管を傷つけても自然に止血してしまう

●デメリット : 卵子の回収にとき間がかかる。吸引の仕方によっては卵子が壊れる場合も

 

当院では、安全性と使いやすさのバランスを考えて19~20ゲージの太さの針を使うことが多いですね。

針はそれほど太くありませんから痛みも小さく、麻酔の増量を防ぐことができます。

さらには、出血も少なくて済みますし、卵子の回収スピードも遅くはなく、卵子も崩れることなく安全に回収できます。

 

いずれにしても、採卵というのは患者さんにとっては不安の伴う治療になりますから、できるかぎり痛みがなく行えるよう、患者さんとよく話し合って処置を行うようにしています。

採卵後は、麻酔から覚醒しても痛みがないことがほとんどです。

痛みがある場合は、超音波エコーで出血がおきていないか確認する必要があります。

採卵が安全に行われた場合は、痛みや出血はほとんどありませんから、“麻酔がきれたら痛いのでは?”という心配はする必要がありません。

生理不順や生理痛がある人は、必ず婦人科でチェックを!ブライダルチェックなどで、トラブルの有無も確認して

妊娠可能な年齢には限りがあり、不妊治療は時間との戦いです。

子どもを望んでいるのに、「仕事が安定していないから」とか「お金が貯まっていないから」と出産を後回しにする人がいますが、昔は若くてそれほど収入が高くない年齢でも、みなさんお子さんを持たれていました。

子どもを持つことと、お金や仕事はあまり関係ないのではないでしょうか。

子どもを望む場合は、早めに子作りのための性交渉をしてみてください。

妊娠できるかどうかを確かめてみることが大切です。

 

その上で「あれ?妊娠しないなあ・・・」となったら、時間を置かず早めに受診をしてほしいですね。

現在の年齢と相談して、1日でも早く不妊治療を始めてほしいと思います。

また生理不順や生理痛がある場合は、放っておかないことも大切です。

結婚前にブライダルチェックを受けると、疾患などトラブルの有無が分かるので、早めに治療などの手を打てます。

何かトラブルがある場合は、ちゃんと治療を受け、妊娠できるようにコンディションを整えておいてください。
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取材・文/渡邉優希

施設名 医療法人 小塙医院
URL http://www.ivf-ibaraki.or.jp/

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