トップページ  >  女性と子どもの健康コーナー ここからげんき  >  赤ちゃんを迎えたいあなたに!妊活・不妊対策を始めよう  >  治療最前線の名医に聞く!不妊治療 Q&A  >  タイミング・ステップアップ  >  何歳まで妊娠が可能なの?検査によりどこまで分かるの?

治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

タイミング・ステップアップ

2015.05.11何歳まで妊娠が可能なの?検査によりどこまで分かるの?

答えてくださった先生は・・・
奥裕嗣先生
レディースクリニック北浜 院長/医学博士
おく・ひろつぐ
1987年、愛知医科大学卒業。同年、愛知医科大学産婦人科学教室入局。1988年、愛知医科大学大学院に入学し、女性ホルモンの動脈硬化抑制についての研究を行う。1992年、同大学院卒業。エラジン酸の抗酸化作用(アンチエージング作用)の研究にて博士号修得。総合大雄会病院勤務。1995年、蒲郡市民病院勤務。1998年、最先端の生殖医療技術を3年間研修。2001年、IVF大阪クリニック勤務。2004年、IVFなんばクリニック勤務、2005年より副院長。2010年、レディースクリニック北浜開設。治療では、患者さんの心理的・精神的なサポートも心がけており、全国平均より高い妊娠率を達成している。
医学的には45歳くらいまで可能だが、38歳までには治療スタートを!

子どもを望んでいる場合、“何歳まで妊娠することは可能なのか”はとても気になる情報です。
芸能界では40代での出産報告が多くなっていますが、非常に特殊なケースなのでは?あるいは40代でも希望が持てるの?など、気になります。
実際のところ医学的にはどうなのでしょうか。
検査でどこまで分かるのか、卵子の凍結保存をすることで妊娠可能年齢は上がるのかなどについて、不妊治療の妊娠率で高い実績を上げる奧院長に、シビアな現実も含め詳しくお話を伺いました。

40代に入ると受精卵の9割に染色体異常が・・・

自然妊娠、高度生殖医療とも45歳くらいまでは妊娠が可能。
ただし、40代になると卵子の染色体異常は9割にものぼる

妊娠可能年齢は自然妊娠でも高度生殖医療(ART)でも差がなく、おおむね45歳くらいまでだと考えられています。

しかし受精卵の染色体異常は年齢が上がるに従い増えていき、20代では4割程度なのが、30代前半では5~6割、30代後半では7~8割、40代以上はおよそ9割にもなります。

染色体異常は現在の医療では治すことができませんから、受精卵に染色体異常があれば、着床しない、あるいは流産の原因となったり、21トリソミーはダウン症として出産する場合があります。

今後は受精卵の着床前診断が、条件付きながら始まりますが※、体外受精をするために受精卵(胚)を作っても、女性が高齢の場合、すべての受精卵(胚)に染色体異常があるというケースもありえます。

 

そしてあまり知られてないのですが、年齢が上がるにつれて、流産率も上昇していきます。

たとえ妊娠できたとしても、40歳では4割、45歳では5割以上もの確率で流産してしまいます。

つらくなるような現実を述べてきましたが、私の今までの治療経験では、46歳で出産されたかたが8人いらっしゃいます。

医学的な現実を直視しつつも、希望を失わず、前向きに頑張るというのが正しい姿勢かもしれません。

※2014年11月に日本産科婦人科学会が、当面は、流産を2回以上繰り返した女性や、体外受精に3回連続して不成功の女性を対象として、3年間かけて臨床研究を行う案を承認した。

「卵巣の中にどのくらい卵子が残っているか」(卵巣予備能)はとても個人差が大きい。
しかしこの指標は、自然妊娠ではあまり関係が無く体外受精をする際には差が出てくる

女性の原始卵胞(卵子のもと)は、母親の胎内にいるときに200万個ほど作られ、生まれてから月経のはじまる思春期頃には約180万個が自然に消滅。

さらに生殖年齢に達する頃には、残っている原始卵胞は約20~30万個にまで減少します。

その後も、月経周期ごとにおよそ1000個が減少。1日にすると30~40個が姿を消していきます。

 

卵巣にどのくらい原始卵胞(卵子のもと)が残っているかを「卵巣予備能」と呼びますが、自然妊娠では、一つの卵子があれば妊娠が可能ですので、予備能が低くてもあまり関係がありません。

しかし体外受精(IVF)で妊娠を望む場合には、たくさんの卵子が採れたほうが妊娠の確率は高まりますので、卵巣予備能が大きく関係します。

卵巣予備能はAMH検査で分かるが、その人が何歳まで妊娠可能か?はAMHの値では分からない

最近は、AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査がテレビ番組や雑誌などでもよく取り上げられます。

この検査は、先ほどお話しした卵子のもとが卵巣にどのくらい残っているかという「卵巣予備能」を調べる検査です。

 

しかしAMHの数値が0.1だったとしても自然妊娠は可能ですし、妊娠できないということではありません。

なぜなら、「たくさん残っている=卵子の質が高い」ではないのです。卵子の質が落ちていれば、なかなか受精・着床しませんから、AMHの値で一喜一憂するのはおすすめできません。

とはいえ、AMHの数値が低い場合には、治療をステップアップするスピードを上げる必要があります。

体外受精では、その方の卵巣状態にあった排卵誘発の方法を選択し、その患者にとって最適な“テーラーメードの治療”を進めていきます。

二人目も考えているなら、一人目の治療のタイミングで、余剰胚を凍結保存しておくこともできますし、ステップアップのスピードなどを医師とよく相談することが大切ですね。
培養室

治療のやめ時は、ベストな治療を受けたと納得できたとき

まだ卵子の凍結技術は発展途上で、凍結した卵子での妊娠率は10%程度。卵子の生存率も5〜8割程度なので過度な期待をもつのは禁物かも

最近は卵子の凍結保存に助成金を出す自治体もあるなど、卵子の凍結保存への注目が高まっています。

キャリア上の理由などで出産を先延ばしにする人が多い中、卵子の凍結保存は、高齢になっても妊娠をするための最後の切り札として考えている女性が多いようです。

しかし実は卵子の凍結保存は、始まってからまだ10年ほどしか経過しておらず、受精卵の保存に比べて、凍結技術がまだ確立されていません。

そのため融解した際の卵子の生存率は7〜8割程度で、人によっては5割以下というケースもあります(受精卵の生存率は9割以上です)。

 

また融解した卵子をつかっての妊娠率は10%程度にとどまっているのが現状です。

さらには、何年ぐらい凍結保存ができるのかもよくわかっていません。

最新のデータでは8年前の凍結卵子で妊娠した例があるのみです。

20~30歳ごろに卵子の凍結保存をしておくことで、妊娠の可能性が広がることは確かですが、これから技術革新が進むと予想されるとはいえ、現状では、卵子の凍結保存に過度な期待を持つのは禁物かもしれません。

体外受精をすることで“なにが妊娠の妨げになっていたのか?”という原因がはっきり分かるので、その後の治療につながる

不妊治療での妊娠可能な割合は、タイミング法と人工授精までの治療で妊娠できる方が2~3割程度、体外受精で5割程度です。

そして妊娠できなかった方が2~3割となっています。

体外受精に進むメリットのひとつは、その妊娠率の高さで、人工授精では8~10%程度だったのが、一気に4~5割にはね上がります。

 

しかしそれだけでなく、体外受精をすることで初めて、何が不妊の原因だったのかはっきり分かるということがあります。

たとえば体外受精をすることで妊娠したら「卵巣のピックアップ障害だったのだな」とか、顕微授精で妊娠することができたら「受精障害だったね」などと診断がつく場合が多いのです。

卵管の中で起こっていることが体外受精をすることで目に見えるようになるとも言い換えられます。

したがって受精卵の質も診断できます。

診断ができれば手が打つことができますから、なかなか妊娠しない場合は、早めに体外受精にステップアップすることを考えてみてほしいと思いますね。

いつ治療をやめるかは、難しい問題。体外受精では5~6回がひとつの目安で、ベストな治療が受けられたと実感が持て、納得して卒業できるかどうかがすべて

いつ治療をやめるかはとても難しい問題ですが、体外受精(胚移植)では5~6回程度が目安とされています。

体外受精での着床率は1回目がいちばん高く6~7割で、2~6回目までで妊娠された方の9割が着床されています。

7回以上治療を繰り返しても、成果は変わらないとされています。

 

“もう治療をやめよう”と決断するためには、それまでに納得できる治療が受けられたかどうかにかかっているという側面があります。

やり残し感があるのに、治療をやめる決断はできませんから、医師である私も、患者さんに納得していただけるベストな治療を提供できるよう、日々努力を続けています。

その上でご主人としっかり相談していただき、必要ならカウンセリングシステムも利用してほしいと思います。

 

“何歳まで妊娠は可能なのか?”についてお話ししてきましたが、月経異常などがあれば早めに治療を受けていただくことも大切です。

そして赤ちゃんができないと感じたら、1日でも早くクリニックを受診してほしいと思います。

38歳くらいまでなら、ほとんどの方が妊娠できるのではないでしょうか。

不妊治療に踏み出すのは勇気がいると思いますが、いまは小学校の1クラスのうち、1人か2人は体外受精により授かったお子さんがいる時代です。

決して特別な治療ではありません。

時期を逃さず、早めに一度ご相談いただければと思います。
受付
取材・文/渡邉優希

施設名 レディースクリニック北浜
URL http://www.lc-kitahama.jp/

治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

  • 原因のさぐり方
  • タイミング・ステップアップ
  • パートナーのこと
  • 治療に使う薬のこと
  • かけるお金のこと
  • 心のケア
  • 治療の痛み
  • 治療がうまく進まない
  • 最新治療

コーナー協力:メルクセローノ株式会社

不妊治療Q&A一覧へ

妊活・不妊対策を始めようへ

ご利用にあたっての注意・お願い

本コーナーに掲載する情報は、健康をテーマに、日々の暮らしのヒントとなる情報の提供を目的としているものであり、治療・診療行為を意図するものではありません。また、内容の正確性や、何らかの医療効果が得られることを保証するものではありません。
このことを充分ご認識の上、あくまで参考情報として本コーナーをご利用いただき、必要に応じ適切な医療機関の診察を受けるようお願いします。
本コーナーに掲載された情報、それに基づく行為により、何らかの不都合、不利益が発生し、また、損害を被った場合でも株式会社ベネッセコーポレーションは責任を負いかねますので予めご了承ください。