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治療最前線の名医に聞く! 不妊治療Q&A

タイミング・ステップアップ

2018.03.293カ月から半年タイミングをとっても妊娠しなければ、早めに受診を

答えてくださった先生は・・・
中川浩次 先生
杉山産婦人科 新宿 院長/医学博士/ なかがわ・こうじ 自治医科大学卒業。徳島大医学部産婦人科で体外受精の診療・研究に従事。2002年に設立された国立成育医療研究センターの不妊診療科の立ち上げに携わり、6年間勤務する。2008年から杉山産婦人科生殖医療科(東京都世田谷区)に勤務。患者さんの思いに寄り添う診療と、最先端の治療技術で信頼を集める。2018年1月より、杉山産婦人科新宿の院長に就任。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産婦人科内視鏡技術認定医。
漠然と、“生理がある間は妊娠できるのでは”、“芸能人も40代前半で産む人がいるから大丈夫”と考えている人は多いかもしれません。しかし30代半ばを過ぎると、タイミングをとっていたとしてもなかなか妊娠しない現実に突き当たります。子どもを授かりたいと思ったら、まずどうしたらいいのか。中川浩次先生に詳しくお話を伺いました。

性交渉の回数を増やすことも、妊娠には大切なこと

健康な男女がタイミングをとった場合、20代なら半年でおよそ4割、35歳ぐらいならおよそ2割が妊娠する

妊娠を望む健康な男女が避妊をせずタイミングをとった場合、女性が20代の場合、半年でおよそ4割、35歳だとおよそ2割の人が妊娠するとされています。40歳前後になると、タイミングをとっても妊娠できるのは100人のうち1〜5人くらいだとされています。しかしこの数値は、適切な時期にタイミングをとった場合です。

患者さんに「どのように妊活していますか?タイミングはどのようにとっていますか?」とお聞きすると、「妊活アプリなどで排卵する時期を知って、その週のどこかでタイミングをとっています」と答える方がたくさんいらっしゃいます。つまりタイミングを取る時間が正しくないし、その週に1度だけ性交渉をしているのではなかなか妊娠には至りません。

ちなみに日本産科婦人科学会では、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交渉をしているのにもかかわらず、1年間(一定期間)妊娠しない場合を不妊だと定義しています。

しかし妊娠できる時間には限りがありますから、特に35歳を超えている場合には、1年間も自己流のタイミングをとってから受診するのでは貴重な時間を無駄にしているかもしれません。20代なら半年間、30〜34歳なら4カ月程度、35歳以上なら3カ月程度、タイミングをとっても妊娠しなければ不妊治療を行っている専門の医療機関で相談してほしいですね。

もし月に10回以上、避妊をせずに性交渉を持っているのに妊娠しない場合には、3カ月程度で受診してください。3カ月で30回以上性交渉をしているのに妊娠しない場合には、男性の精子(運動率や数)か、女性の卵管(つまり等)などに問題があることが考えられます。

妊娠するためにできることは、性交渉の回数を増やす、男性は禁欲期間を短くする、男女とも禁煙する、女性は体脂肪率を落とすなど

前で述べた期間、タイミングをとってみても妊娠しない場合には、専門の医療機関を受診してほしいと思います。同時に、いくつか取り組んでいただきたいことがあります。

①性交渉の回数を増やす
排卵日前後に1回のみ性交渉を行う人が多いですが、排卵日以外でも、できるだけたくさん性交渉の機会を持ってください。理由としては、男性の禁欲期間があまりに長いと、受精やその後の発育に適さない古くなった精子が射出されてしまうということがあります。可能なら毎日、少なくとも3日に1回は射精をしてください。(もし性交渉が持てない場合は、男性が自分で射精をしても構いません)排卵日検査薬を使う場合には、朝、検査をして陽性が出た場合には、その日の夜と、翌日の夜には必ず性交渉をもってください。妊活アプリを使う場合なら、“排卵期”とされている週は、なるべく複数の日に性交渉を持ってください。

②男女とも禁煙をする
タバコは妊娠の妨げになることが分かっていますので、男女とも禁煙してほしいですね。

③体脂肪を減らす
女性の体脂肪率が15〜25%程度だと、薬の効きが良いことが多く、治療成績も良好だという印象があります。体脂肪率が高めの方はぜひダイエットをしてください。

なお、受診時には基礎体温表は、あればありがたいですが、無くても大丈夫です。過去半年分くらいの月経開始日と、タイミングをとった日のメモを持参ください。この2つのデータがあれば、タイミングをとった日が適切かどうか判断することができます。
また可能であれば、乳がんや子宮頸がんなどの検診を受けておいていただけると助かります。

治療は患者さんの“イヤなこと”を避け、ベストな方法を提案

妊娠しづらい要因には、性交渉の少なさ、精子の状態、卵管因子、子宮筋腫などがある

なかなか妊娠しない要因には次のようなものが考えられます。

まず1つめは、性交渉の回数の少なさです。月に1度程度の性交渉では妊娠まで至るのはなかなか難しいかもしれません。
2つめは、精子の状態がよくない場合です。数が少ない、運動率がよくないなどのほかに、禁欲期間が長すぎることも精子所見が悪化する要因になります。
3つめは、卵管につまりなどの問題がある場合です。クラミジアに感染している(感染したことがある)と、卵管がつまる要因になります。
4つめは、排卵障害です。無理なダイエットによる体重の減少、心因性のメンタルストレスなどが視床下部性の排卵障害の要因になります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)も排卵障害のひとつです。
5つめは、子宮筋腫などの腫瘍です。着床を妨げる原因になることがあります。(腫瘍ではありませんが、子宮内膜症は不妊の原因になる場合と、ならない場合があります。内膜症を持っていても妊娠する方は大勢いますので、内膜症=不妊とはなりません)

おもな治療方法には、タイミング療法、人工授精、体外受精がある。これに、排卵(誘発)の方法を選んで組み合わせる

治療方法には、3種類あります。

「タイミング療法」は、超音波検査により卵胞の様子を診察して排卵日を予測。医師の指導のもと指示された日に性交渉を持ちます。
「人工授精」は、人工授精を行う当日に男性に精液を採取してもらい、女性が医療機関に持参します(医療機関の採精室で採取する場合もあります)。採取した精液を洗浄・濃縮して、注入器を使用して子宮内に入れます。
「体外受精」は、排卵前に体内から取り出した卵子を、採取した精子を加えて体外で受精させます。受精した受精卵(胚)を培養器で育て、良好な胚を子宮内に移植します。

これらの治療方法に、排卵誘発または卵巣刺激の方法を組み合わせていきます。
排卵(誘発)の方法には、薬は使わない「自然排卵」、薬を使う方法には「低刺激法」と「高刺激法」があります。低刺激法は主に飲み薬を服用し排卵誘発をします。高刺激法は、主に注射により排卵誘発または卵巣刺激を行います。たとえば人工授精を行う場合、自然排卵でいくのか、低刺激法か、高刺激法でいくかをそれぞれ選びます。タイミング療法、体外受精も同様に排卵誘発または卵巣刺激の方法を選択します。

どの治療方法&排卵誘発または卵巣刺激を選ぶかは、患者さんの意志が尊重されます。私の診察ではいつも患者さんに、“何がイヤですか?”と尋ねます。妊娠しないことがイヤなのか、お金がかかることがイヤなのか、痛いことがイヤなのか・・・などです。

治療は、回数を続けないと累積の妊娠率が上がっていきません。たとえば体外受精は1回の妊娠率が20〜30%程度とされていますが、1回治療を行うと患者さんの子宮内膜の様子や卵の状況などの有用な情報を得ることができます。それによって、2回目、3回目の妊娠率は1回目より高くなることが予想されます。治療を継続するためには患者さんにとっての“イヤなこと”を避けないと治療を中断することになりかねません。患者さんの望む方法で、かつ最善の治療方法をご提案するようにしています。

年代によって推奨される治療方法は違う。時間のない40歳前後は、できれば最初から体外受精にトライしたい

年代によっても、推奨される治療方法は異なります。
20代は、卵管がつまっていたり、精子所見が良くないケースを除いては、基本的にタイミング療法で治療を進めていきます。性交渉の回数が増えるほど妊娠率が上がりますから、「たくさんセックスをしてください」といつもお話しています。また、高温期に性交渉をすると、着床率を高めるという研究結果があります。排卵日が過ぎても性交渉をしてくださいと、患者さんにはお伝えしています。
35歳前後では、「たくさん性交渉を持てますか?」とお聞きして、難しそうなら人工授精を行います。
40歳前後では、残された時間があまりありませんから、最初から体外受精をご提案することが多くなっています。40歳前後の体外受精による妊娠率は15%程度です。厳しい言い方になりますが、「半年後にはこの数字は保証できないかもしれません」とお話しすることもあります。

40歳前後で「この人の子どもがほしい!」と思ったら、結婚前でも構いませんからまずは受診をしてほしいですね。当院では、婚姻や同居の有無にかかわらず、検査や治療を行うことができます。

そしてこれは全世代の女性に対してのメッセージですが、子どもがほしいと思ったらパートナーに対して、「自分は妊娠がしたい。赤ちゃんがほしい」ということを、はっきり伝えてください。女性が主導で決めていいのです。決断した女性のみなさんに対しては、私たちが全力でバックアップします。お子さんがほしい!と思ったら、どうぞ早めにご相談にいらしてください。一緒にがんばっていきましょう。


取材・文/渡邉由希

施設名 杉山産婦人科 新宿
URL https://www.sugiyama.or.jp

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