トップページ > 女性と子どもの健康コーナー ここからげんき > 知っておきたい!アレルギーのこと > 子どものアレルギー最新の研究を活かして、ケア&予防をしよう!

子どものアレルギー 最新の研究を活かしてケア&予防しよう!

アレルギーの研究は日進月歩で、どんどん新たな事実が発見されています。最新の研究を活かしたケアと予防で、大切なお子さんをアレルギーの病気から守っていきましょう!

お話しをうかがったのは

斉藤博久先生

斎藤博久(さいとう・ひろひさ) 先生

独立行政法人国立成育医療研究センター・副研究所長。
医学博士。日本小児科学会専門医。日本でのアレルギー研究・治療の第一人者。
1977年、東京慈恵会医科大学卒業。米国Johns Hopkins大学Research Fellow、国立小児病院アレルギー科医員、国立相模原病院小児科医長、国立小児病院小児医療研究センター・免疫アレルギー研究部部長、国立成育医療センター研究所・免疫アレルギー研究部部長、東京慈恵会医科大学小児科客員教授(兼任)、東邦大学大森病院小児科客員教授(兼任)などを経て現職。
日本アレルギー学会理事長、日本小児アレルギー学会理事。

アレルギーの原因って?原因と発症の年齢について

どうして子どものアレルギーが増えているの?

りの環境が清潔になるとアレルギー性疾患が増える

生活環境の変化

ひと昔前の日本では、家畜の糞や砂埃など、さまざまな“汚れ物質”が生活環境のいたるところにありました。この汚れ物質と一緒にアレルゲン(アレルギーを引き起こすダニや花粉など)を吸い込むと、成長してもアレルギー症状を起こしにくくなくなることが最近の研究で分かってきました。

少し専門的に説明すると、アレルギーは、IgE抗体が体の中でたくさん作られて悪さをする病気です。1歳くらいまでに汚れ物質と一緒にダニや花粉を吸い込むことで、2〜3歳までにIgE抗体ができにくい免疫体質ができるのです。

「じゃあ、1歳くらいまでに汚れ物質と一緒にアレルゲンを吸い込めば予防できるの?」と考えがちですが、現代の清潔な環境では難しいかもしれません。昔の日本では、民家の周囲で家畜が飼われ、トイレはくみ取り式、道路は砂利道でした。今の日本では、昔のように汚れ物質を日常的に吸い込むことは不可能に近くなっています。

アレルギー性疾患は、生活環境が清潔になったことから増えている現代病なのです。

大人になってから花粉症を発症する人がいるけど!?

ひと昔前は、あまりスギ花粉が飛んでいなかったので免疫がない人が多い

子どものアレルギーとは少し話がそれますが、比較的年齢が高くなってから花粉症を発症する人がいます。
スギは植林されてから30年くらい経つと大量に花粉を飛ばし始めます。スギの植林は1957年頃から1965年ぐらいにかけて積極的に行われました。スギ花粉が問題になり始めたのは、1980年代に入ってからなのです。

40年以上前にはまだスギ花粉自体があまり飛んでいなかったので、40代後半より上の世代の人達は、スギ花粉に対する免疫を持たないまま成長した人が多いのです。
大人になってから大量の花粉を吸い込むことで、花粉症を発症する人が多いと考えられます。

子どものアレルギーは何歳くらいで発症するの?

トピーや食物アレルギーは生後6カ月前後で発症する

発症しやすい年齢

それぞれのアレルギー性疾患には、個人差はありますが、
発症しやすい年齢があります。

アトピー性皮膚炎
:生後2~3カ月ごろ
食物アレルギー
:生後4~5カ月ごろ
小児ぜんそく※
:2~3歳ぐらい
アレルギー性鼻炎・
結膜炎
:学童期
花粉症
:学童期以降が多い
(花粉の飛散は年に1度のため、吸い込む機会が少ないため)

アレルギー性疾患をいくつか併発する場合、上記の順に発症することが多いとされています。
※小児ぜんそくは、IgE抗体が関係しないタイプもあります。

親にアレルギーがあると、子どももアレルギー性疾患になりやすいの?

代はほとんど関係なし。親のせいかしら…と自分を責めないで!

IgE抗体と子ども

アレルギーをもっている人が少なかった20世紀前半までは、遺伝傾向があったのは確かです。

しかし現代は、冒頭でも説明した通り生活環境が清潔になったため、IgE抗体のできにくい免疫体質を持つことが難しくなっています。だから親御さんにアレルギーが有る無いは、ほとんど関係がないのです。
お子さんに何らかのアレルギー性疾患がある場合でも、「私のせいかしら」と自分を責めないようにしてください。

最近はどのアレルギー性疾患にも、良い治療法や良い薬の使い方が開発されています。適切なケアをすれば、だいたいの場合において普通に日常生活が送れます。

アレルギーになるのは文明社会の宿命だと捉え、前向きにお子さんと向き合ってあげてください。

各アレルギーの予防&ケアポイント

最新の研究結果から分かった、発症してからのケア方法と、発症を予防するためのポイントをご説明します。

アトピー性皮膚炎

予防

生後すぐから1日1〜3回保湿剤を塗ることで、
アトピー性皮膚炎の発症をかなり防げる
アトピー性皮膚炎の特徴は、皮膚の表面がガサガサになって乾燥し、赤くただれてかゆくなることです。
最新の研究では、生後すぐから毎日1~3回、全身にくまなく保湿剤を塗ることで、アトピー性皮膚炎の発症を3〜4割(イギリスの研究では4〜5割)防げることが分かっています。

治療
ケア

ステロイドの軟膏は1週間程度でやめてしまわずに、
ちゃんと塗り続ける!
アトピー性皮膚炎の治療は、主にステロイド軟膏の塗布になります。
塗り始めてから1週間ほどすると、皮膚表面がキレイになるので塗るのをやめてしまう人がいますが、肉眼では皮膚表面がきれいになったように見えるだけで、実は免疫細胞のギザギザした突起が出ています。
このギザギザした突起がきちんと治るまでには、通常1カ月以上かかります。見た目だけで判断せず、きちんとステロイド軟膏を塗り続けることが大切です。

塗る回数としては、1日2回が基本です。回復期に入ったら医師の指示で、1日1回、2日に1回と塗る回数を減らしていきます。その後は1週間に2日ほどの頻度で塗り続けることで、症状を安定させ、再燃を防ぐことができます。(この治療方法は、副作用の心配がないことが研究の結果分かっています)

ここがポイント!

ステロイド軟膏は、
人差し指の第一関節までの量を、手のひら2面分の範囲に塗り広げる

副作用を恐れて、ステロイド軟膏を少しだけだして、かなり広い範囲にザーッと塗り広げてしまう人がいますが、これではきちんと治療効果を発揮できません。

人差し指の第一関節までの量を、手のひら2面分の範囲に塗るのが基本です(この方法を、フィンガー・ティップ・ユニットと言います)

食物アレルギー

予防

離乳食を与える前に保湿剤を塗ることで、
食物アレルギーを予防できる!
乳児期にアトピー性皮膚炎を発症すると、その後、食物アレルギーになるリスクは3~8倍ということが分かっています(当センターで診断した食物アレルギーのある子どものうち、およそ9割でアトピー性皮膚炎の既往症があることがわかりました)。

前述の通り、新生児期からの保湿剤塗布はアトピー性皮膚炎の発症を3~5割ほど減少させます。アトピー性皮膚炎になってしまうと、食物アレルギーの発症にもつながってしまうため、食物アレルギーを予防するためにも保湿剤ケアをすることが大切です。
「えっ、なんで保湿剤を塗ると食物アレルギーの予防にもなるの?」と不思議に思うかもしれませんが、皮膚が乾燥して赤くなっている部分には、免疫細胞がギザギザの突起を伸ばしています。このギザギザの突起部分に食べかすが付着することで、アレルゲンが皮膚から浸入します。食物アレルギーのうち8割がこのしくみで発症することが分かりました。(2割の原因は不明です)。

アトピー性皮膚炎、および食物アレルギーの発症を防ぐために、離乳食を与える前には保湿剤を塗って皮膚表面にバリアを作ってあげることが大切です。

治療
ケア

「血液検査で陽性=除去」ではない!
食物経口負荷試験を受けて、どれくらい食べられるか調べよう
食物アレルギーが疑われる場合、クリニックで血液検査を受けることになります。
すると医師によっては、「陽性ですから、該当の食物を全部除去してください」と指導を受ける場合があります。
しかしその食物を除去する必要があるか否かは、食物経口負荷試験という検査を受けて、どのくらいの量なら食べられるか、完全に除去をしなければいけないかを調べる必要があります。
安易に除去を行ってしまうと、子どもの成長に必要な栄養までも奪いかねません。

かかりつけの先生に血液検査だけで「○○を除去してください」と言われた場合は、食物アレルギーの専門医に相談し、詳しい検査を受けるようにしてください。

食物アレルギーについて詳しくはこちら

小児ぜんそく

予防

卵アレルギーがあると、
2~3倍ダニアレルギーによるぜんそくになりやすいのでダニの除去を!
小児ぜんそくはほとんどの場合、ダニやカビ、花粉、動物の毛、食物などさまざまなアレルゲンに接触することによって、気管支などの気道にアレルギーが生じ、気道の粘膜に炎症が発生。気道が狭くなって発作が起こります。

最近の研究では、卵アレルギーのある1歳児は、3歳頃にダニアレルギーによるぜんそくを20倍くらい発症しやすいことが分かってきました。

1歳前後のお子さんに卵アレルギーがある場合は、布団などのダニ(およびフンと死骸)を吸い込まないよう、徹底的に減らすことがぜんそく発作の予防につながります。
週に2回は電気掃除機で布団などを吸引したり、ダニが布団の中に入ると外に出られなくなり死んでしまうシーツも市販されていますので利用すると良いですね。
特に秋は、空気が乾燥してダニのフンや死骸が舞い上がりやすいので、徹底した管理が重要です。

治療
ケア

吸入ステロイド薬は、
子どもが使っても副作用の心配はほとんどなし!
ぜんそくの治療には吸入ステロイド薬が使われます。
「ステロイドなんて吸わせて大丈夫なの?」と心配する保護者は多いですが、吸入ステロイド薬は肺に入って作用する薬で、大半が肺の中に留まります。
血管に入っても肝臓で大部分が不活化され体外に排出されるので、副作用の心配はありません。

また症状が軽い場合でも、吸入ステロイド薬を続けることで発作が起きにくくなり、症状が安定します。
自己判断でやめたりせず、使い続けることが大切です。

花粉症

症状の予防と
治療
ケア

第二世代のヒスタミン薬を1月頃から使用することで
症状をコントロール!
残念ながらまだ花粉症の発症を予防する方法は見つかっていません。
しかし、スギなどの花粉を浴びるのは年に1度(1シーズン)なので、発症時期は他のアレルギーより遅めで、学童期になってから発症する子が多くなっています。

花粉症を発症してしまった場合は、スギやヒノキ花粉が飛び始める前の1月頃から第二世代の抗ヒスタミン薬を服用。
鼻などの粘膜をきれいに整えておくことで、そんなにひどい症状を起こさずにすみます。

第二世代の抗ヒスタミン薬は、第一世代に比べて眠くなったり、頭がボーッとしたりといった症状がほとんどないという特徴があります。

取材・文/渡邉優希

知っておきたい!アレルギーのことへ

ご利用にあたっての注意・お願い

本コーナーに掲載する情報は、健康をテーマに、日々の暮らしのヒントとなる情報の提供を目的としているものであり、治療・診療行為を意図するものではありません。また、内容の正確性や、何らかの医療効果が得られることを保証するものではありません。
このことを充分ご認識の上、あくまで参考情報として本コーナーをご利用いただき、必要に応じ適切な医療機関の診察を受けるようお願いします。
本コーナーに掲載された情報、それに基づく行為により、何らかの不都合、不利益が発生し、また、損害を被った場合でも株式会社ベネッセコーポレーションは責任を負いかねますので予めご了承ください。