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子宮頸がん

■子宮頸がんの約85%が子宮頸部扁平上皮がん
子宮頸部の表面は、腟に近い部分は皮膚と同じ、扁平上皮でおおわれており、さらに、奥の子宮体部側は、粘液を分泌する腺上皮でできています。一般にいう子宮頸がんは、約85%が扁平上皮の細胞から発生する子宮頸部扁平上皮がんです。
腺上皮の細胞から発生する子宮頸部腺がんは、比較的検診で発見されにくく、進行してから発見される場合もあり、放射線治療や化学療法が効きにくいなど、扁平上皮がんと比べると予後が悪い傾向があります。
子宮頸がんの原因
■ヒト乳頭腫ウイルスの感染が誘因
子宮頸がんの発症には、性行為による、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染が誘因になっていることが明らかにされています。ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス)は、いぼをつくるウイルスの一種で、DNAの構造により100種類以上のタイプがあります。約40種類のものが外陰部、腟、子宮頸部などの生殖器に感染し、子宮頸がんの発生に関与しています。子宮頸部の細胞に異常がない女性のうち、10~20%程度の人がヒトパピローマウイルス(HPV)に感染していると報告されています。また、海外では性行為を行う女性の50~80%が、生涯で一度はHPVに感染すると報告されています。
■ヒトパピローマウイルスに感染しても、90%以上自然に治癒。
しかし、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しても、約90%は、2年以内にウイルスが自然に排出され、治癒します。
しかし、ウイルスが自然に排出されず、数年から数十年にわたって持続的に感染した場合には、がんになることがあると報告されています。
約10%に感染所見や前がん病変の異形成ができますが、このなかの多くは、子宮頸がんにまでならずに消失するといわれています。治療が必要となるCINIII(高度異形成と上皮内がんを含めた分類)以上の病変になるのは、軽度の病変ができたうちのさらに約10%という見解がなされています。
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のタイプは、低リスクHPVと高リスクHPVに分類されます。低リスクHPVは良性のコンジローマやパピローマウイルス、前がん病変の軽度異形成までの病変に多く検出されます。軽度異形成の場合は経過観察しているうちに、約70%は自然に消失することも知られています。
高リスクHPVは、高度異形成、上皮内がん、浸潤がんなどの多くに検出され、特に持続的な感染があると、CINIII(高度異形成や上皮内がん)以上になるものと考えられています。高リスクHPVが陽性の人から約7~10%に高度異形成以上の病変が生じたという報告があります。
子宮頸がんは、性交との関連が強く、高リスクHPVの要因として、妊娠・出産回数が多い人、初めての性交年齢の若い人、性行為の相手が複数いる人、喫煙歴のある人などがあげられています。いずれにせよ、高リスクHPVに持続的な感染がある場合の一部が、子宮頸がんに進行することがわかっています。ただし、すべての人が該当するわけではありません。特に、腺がんの場合、性交経験のない人にも発症した例があります。
これら高リスク型HPVは性行為によって感染しますが、子宮頸がん以外に、中咽頭がん、肛門がん、腟がん、外陰がん、陰茎がんなどにも関わっていると考えられています。
■死亡者数は激減した
子宮頸がんでは、前がん病変での早期発見・早期治療の症例が増加し、がんになる前に治療がされるようになりました。がんになったとしても、子宮頸がんの約65%が早期がんである0期~Ia期のうちに発見され、そのほとんどが治癒するため、子宮頸がんの死亡者数は激減しました。しかしながら、発生率は決して少なくなっていないことを忘れてはいけません。
子宮頸がんの患者さんは、年間10,000人程度(2008年)と報告されています。年代別にみた患者さんの数は、20代後半から増えていき、40代以降は概ね横ばいになります。しかし、最近では、性交開始年齢が若年化するとともに、特に若い年齢層(20~39歳)の発症が増えています。子宮頸がんで亡くなる方は、年間3,000人程度(2011年)と報告されています。年代別に見ると、30代後半から増えていく傾向にあります。
2004年4月の厚生労働省の通達では、子宮頸がん検診の開始年齢を20歳に引き下げることになりました。
子宮頸がんの検査と診断
■初期は無症状なので検診が不可欠
性行為の経験のある人は、年齢にかかわらずHPVに感染する可能性があるわけですから、子宮頸がんの検診を受ける必要があります。
子宮頸がんは、検診によって早期発見が容易ながんのひとつです。がんになる前の、前がん病変の異形成から診断がつきます。
仮にがんになっても、検診を受けている人のほとんどは、早期がんの0期からIa期のうちに見つかりますので、保存的な治療が可能で、治療後の妊娠・分娩も可能です。子宮の保存的治療ができなくなるIb期以上に進行した段階で見つかる場合は、腺がんなど特殊な組織型を除くほとんどの人が、何年も検診を受けていなかった場合です。
ここで重要なことは、早期がんは、通常の場合、何も症状がないということです。Ib期でさえも診断されるまで本人は何も気づかずに無症状の場合もあります。確かに進行がんになると、性交後の出血、不正出血、おりものなどの症状がみられますが、このような症状は、子宮頸部のポリープ、びらん、排卵時の中間期出血などでも少量の出血が起こり得るわけで、症状からではどちらかはわかりません。子宮頸がんのために出血した場合は、大きな手術が必要な進行がんである可能性を考えなくてはなりません。
進行した場合には、足腰の痛みや血の混じった尿がみられることもあります。このような症状がみられた際には、ためらわずに医療機関を受診してください。
毎年検診をして異常が認められない人が、いきなり進行がんになっている頻度は、特別な場合を除ききわめて低いと思われます。
ただし、せっかく検診を受けても、生理の多いときの検査やビデなどで腟洗浄をしたばかりなどでは、十分に細胞が採取されないこともあり、腟炎のひどいときなどに検査をした場合には、炎症の変化によって、診断上、疑陽性や疑陰性になったりすることがありますので、このようなときは、医師の指示で時期を変えて、腟炎の治療後などに再検査をする必要があります。子宮頸がんの予防法としては、子宮頸がん予防ワクチンを接種することで、ヒトパピローマウイルスの感染を予防することが挙げられます。また、子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見し、経過観察や負担の少ない治療につなげることができます。
■痛みもなく、短時間ですむ検診
子宮頸がん検診は、特に痛みもなく短時間ですみます。20歳以上の女性は、2年に1回の頻度で子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。一般的に、子宮頸部の細胞を採取して、細胞に何らかの異常がないか検査する「子宮頸部細胞診」が行われています。
すなわち、子宮頸部の細胞を細胞採取器具でこすりとって、採取した細胞をスライドガラスにぬりつけて、アルコールで固定したのち、パパニコロー染色という細胞診用の染色をして、顕微鏡で観察し診断します。異常な細胞が出ているかどうか、出現した細胞の状態を細胞診の判定をする専門の資格をもつ細胞検査士および、細胞診専門医がチェックすることで、ほぼ正確に診断できます。
近年、細胞診とともに、がんを起こしやすいとされるハイリスク型HPV-DNAの検索を同時に行うことが重要であり、欧米では、細胞診とHPV-DNA検査がどちらも陰性の人は3年、国によっては6年も子宮がん検診が不要と考えられるようになってきています。
また検診時に、子宮の入り口の状態を立体顕微鏡のような器具(腟拡大鏡=コルポスコープ)を使って外側から見るコルポスコピー診(コルポ診)によって、病変が子宮の入り口のどこにあるかを、熟達した専門医が診れば、病変の病理診断の予測も可能です。
さらに、もし異常所見が見つかった場合、コルポスコピー下で、いちばん強い所見のある部位をねらい、組織診をすると、よりいっそう正確な診断ができます。
細胞診の結果は、長い間クラス分類が使われてきましたが、平成25年度よりベセスダ分類を使用することになりました。
クラス分類は表9-17のようにクラスIからVの段階に分類されます。
また、がんの臨床期(進行期)分類と治療法、生存率を表9-18にあげました。
がんの進行期分類は細胞診のクラス分類とは異なります。
子宮頸がんは、早期に発見されれば、治療により比較的治癒しやすいがんとされています。ただし、他のがんと同様、少しずつ進行していくものですから、発見される時期が遅くなると治療が難しくなります。検診を受けられる場所など詳細については、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
表9-17
表9-18
子宮頸がんの予防ワクチン
■子宮頸がんは予防することができます
子宮頸がん予防ワクチンは、発がん性の高リスクHPVの中でも、子宮頸がんの原因として最も多く報告されているHPV16型と18型の感染を予防するワクチンで、海外ではすでに100カ国以上で使用されています。日本では2009年10月に承認され、2009年12月より一般の医療機関で接種することが可能となりました。
通常、6か月間に3回のワクチン接種で、ウイルスに対する抗体ができて、発がん性HPVの感染から長期にわたって予防することができます。しかし、すでに感染しているウイルスを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。なお、このワクチンには遺伝子は含まれていないので、接種しても感染することはありません。
ワクチンの効果がどのくらい続くのか、追加接種が必要かどうかについては、まだはっきりとわかっていません。臨床試験データとしては2010年7月現在、接種後8.4年までのデータが存在するため、この期間に関してはHPV16型/18型ともに高い抗体価が維持されることが確認されています。一方、これらのデータから推計した研究では、少なくとも20年以上にわたり効果が期待されると推測されています。
子宮頸がん予防ワクチンを接種することでHPV16型とHPV18型の感染を防ぐことができますが、全ての発がん性HPVの感染を防ぐことができるわけではありません。そのため、ワクチンを接種しなかった場合と比べれば可能性はかなり低いものの、ワクチンを接種していても子宮頸がんにかかる可能性がまったくないわけではありません。
子宮頸がんを完全に防ぐためには、子宮頸がんワクチンの接種だけではなく、定期的に子宮頸がん検診を受けて前がん病変のうちに見つけることが大切です。ワクチン接種後も、定期的に子宮頸がん検診を受けるようにしましょう。
■子宮頸がん予防ワクチンは、3回の接種が必要です
子宮頸がん予防ワクチンは、肩に近い腕の筋肉に注射します。1~2回の接種では十分な抗体ができないため、半年の間に3回の接種が必要です。ワクチンの種類によって2回目の接種時期が異なります。サーバリックスについては、1回目の接種を行った1か月後に2回目を、6か月後に3回目の接種を行います。
ガーダシルについては、1回目の接種を行った2か月後に2回目を、6か月後に3回目の接種を行います。
接種期間の途中で妊娠した際には、その後の接種は見合わせることとされています。
ワクチンを接種した後には、注射した部分が痛むことがあります。注射した部分の痛みや腫れは、体内でウイルス感染に対して防御する仕組みが働くために起こります。通常、数日間程度で治ります。
なお重い副反応として、ごくまれにショックまたはアナフィラキシー様症状を含むアレルギー反応、血管浮腫、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、ギラン・バレー症候群などの報告がありますが子宮頸がんワクチンに限らずほかのワクチン等の注射時にも起こることでその頻度は極めてまれであります。
子宮頸がん予防ワクチン接種後にみられる主な副反応として、発熱や接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖、興奮などがきっかけとなって起きる失神などが挙げられます(表9-26)。
また、ワクチン接種後にみられる副反応については、接種との因果関係を問わず報告を収集しており、定期的に専門家が分析・評価しています。その中には、まれに重い副反応(表9-27)の報告もありますが、子宮頸がんワクチン以外のワクチンでも同様な頻度であり、極めてまれであります。
表9-26
表9-27
■子宮頸がん予防ワクチンの安全性に関する報道
子宮頸がん予防ワクチン接種後に、複合性局所疼痛症候群(CRPS)などの慢性の痛みや関節痛が現れた事例の1例がテレビで報道され、また新聞や週刊誌などで死亡例があると報道され、緊急に専門家による検討を行いました。
複合性局所疼痛症候群は、骨折・捻挫などの外傷をきっかけとして生じる、原因不明の慢性の疼痛症候群です。イギリスでは注射や輸血等での針刺しや外傷、骨折時などでも生じ、ワクチンそのものによるものではないとされています。
ワクチン接種後、一定の期間内に生じた有害事象や因果関係がわからない事例は、すべて登録されており、入院が必要となる場合には、重篤な有害事象と登録されています。すなわち、ワクチンが原因とは考えにくい場合でも、因果関係が明確でなければ、例えばインフルエンザで入院が必要になれば、重篤な有害事象と登録されるのです。
死亡例に関しても、偶然、合併した心疾患、脳血管障害、悪性腫瘍などによる病死のほか、自殺、交通事故、薬物中毒、銃殺などの事例も含まれています。
インドでは宗教的な理由での殺害も多いとのことであります。本邦での死亡例の一つは自殺であり、もう1例は不整脈を伴う心疾患の症例です。ワクチンの副反応ではないと考えられますが、有害事象として登録しています。有害事象とされている多くは因果関係が明確でない以上登録されますが、その多くは副反応ではない可能性が高いと考えられます。
本来の副反応は、緊張と疼痛などによって起こる失神が問題になりますが、そのほとんどが小学生や中学生に多くみられています。成人、特に自分からワクチンを受けようとした人にはほとんどみられていません。
主として若年者には、予防接種直後に注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神が現れることがあります。失神し、倒れて怪我をする例や、安静のために入院が必要になれば、重篤な副反応として登録されます。
緊張しやすい人は、横になって注射を受けるようにし、接種後の移動の際には、保護者の方が腕を持つなどして付き添うようにし、接種後30分ほどは体重を預けられるような場所で、なるべく立ち上がることを避けて待機して様子を見るようにしてください。
子宮頸がん予防ワクチンの副反応の発生状況については、ワクチン接種の有効性との比較において、定期接種の実施を中止するほどリスクが高いとは評価されませんでした。
厚労省、産婦人科医会は、こうした副反応の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとしました。
今回の措置は、あくまで一時的な措置であり、より安心して接種を受けて頂くためのものです。厚生労働省では、早急に調査すべきとされた副反応等について可能な限り調査を実施し、速やかに専門家による評価を実施する予定としています(2013年12月現在)。
法に基づくワクチンの接種は、地域の実情に合わせて各市区町村が実施しています。実施方法や、接種の詳細などについては、お住まいの市区町村の予防接種担当課にお問い合わせください。
法に基づくワクチンの接種は強制ではありませんが、予防接種を受ける際は、予防接種の必要性、リスク、有用性について十分な説明を受け、ワクチンの有効性とリスクをよく理解した上で、接種を受けてください。
また、ワクチン接種1カ月以内に何らかの予防接種を受けた人は、いつ、どのようなワクチンを接種したかを担当の医師に伝えてください。
ワクチンの安全性については、その他の医薬品と同様に、製品化までに安全性に関する承認審査を行っているほか、その後も製品(ロット)ごとに国による検定を行っています。
また、予防接種後に健康状況の変化が見られた事例を、予防接種との因果関係の有無に関わらず収集し、随時モニタリングしています。さらに、収集したこれらの情報について、定期的に専門家による評価を実施して安全性の評価を行っています。
定期の予防接種によって引き起こされた副反応により、医療機関での治療が必要になったり、生活に支障が出るような障害を残すなどの健康被害が生じたりした場合には、法に基づく補償を受けることができます。給付申請を検討する場合には、診察した医師、保健所、お住まいの市区町村の予防接種担当課へご相談ください。
子宮頸がんの治療
子宮頸がんの治療は進行の度合いで異なります。
■子宮温存療法
異形成(特に高度異形成)や0期の場合、またIa期の浸潤の深さが3mm以内の場合は、子宮を温存する治療が可能です(表9-19)。以前は完全治癒を目的に子宮を摘出する手術が多く行われていましたが、近年では、妊孕性(妊娠の可能性)を残すことを希望する年代の患者さんが増加して、保存的手術が多くなりました。
表9-19
【円錐切除術】
妊孕性の温存を希望する人には、通常、子宮頸部を円錐状に切りとる円錐切除術を行います。円錐切除術には、従来からのメスによる外科的円錐切除術とCO2やYAGレーザーなどの高出力レーザーや、ループ電極(LEEP)を用いる、いうなれば焼き切るような切除術などがあります。
これらの円錐切除術は、いずれの方法も、術中術後に思わぬ出血をきたすこともあり、子宮頸部を切りとることにより、頸管部の頸管腺の消失、頸管部が癒着したり、狭くなったりすることに起因する流・早産頻度の増加、帝王切開率の増加、分娩時の頸管裂傷、破水などの頻度も高くなる傾向があります。
【光線力学療法】
光線力学療法(PDT)は、子宮頸部をほぼ原形のまま残し、手術中まったく出血することなく痛みもないので無麻酔下で行える利点(好きな音楽を聴きながら治療ができます)があり、治療成績も良好です。PDT後に妊娠し正常分娩する人が多くなり、注目されています。
光線力学療法は、まず、腫瘍組織に集まる性質の腫瘍親和性光感受性物質であるフォトフリン(R)(PHE)を静脈注射します。この薬剤は、赤血球の中の血色素(ヘモグロビン)に類似する物質ですが、静脈投与されると腫瘍組織には正常組織の10倍取り込まれ、48~72時間たつと、正常組織のPHE濃度は低下してくるのに対し、腫瘍組織では排泄されにくく高濃度で残存しています。
静脈注射後48時間たった時点で、PHEが蓄積した腫瘍組織に低出力でパルスレーザーの一種であるエキシマ・ダイ・レーザー(EDL)を用いて波長630nmのレーザー光線を照射すると、腫瘍細胞に活性酸素(特に一重項酸素)が生じます。
一重項酸素は強い酸化作用があり、腫瘍細胞の細胞内小器官、特に酸素の供給が豊富なミトコンドリアを酸化・変性壊死させ、殺細胞効果を発揮します。
また、腫瘍組織には通常、多数の新生血管(腫瘍血管)が生じています。これらの血管内皮細胞にもPHEが高濃度で取り込まれます。レーザー照射することにより、血管内皮細胞が壊れ、腫瘍新生血管が消滅することも抗腫瘍効果として重要な作用のひとつです。さらに、アポトーシスも関与していることが証明されています。
こうした早期子宮頸がんに対する光線力学療法(PDT)は、食道がん、胃がん、早期肺がんとともに、世界に先駆けて、1994年10月に旧厚生省の認可を受け、1995年4月より薬価収載され、保険の適用になっています。著者らは、1989年10月より370例以上の症例において、1回のPDTを施した結果96%以上の患者さんが治癒し、1回目で遺残があった場合でも2回目のPDTで98%以上が治癒したという実績を得ました。
PDTの最大の欠点は、皮膚に残った薬がしばらく光に反応して日焼けなどの日光過敏症を起こす副作用があるため、遮光管理が必要になることです。しかし、遮光管理を十分に行えば、ほとんど問題はありません。
また、治療前に自然に日焼けをしておくと、日光過敏症状の副作用の予防になります。
しかしながら、入院日数が長くなることが時代にそぐわず、レーザー機器の値段が高く、保険の点数も高くないので、病院側の収益につながらないため、一部の施設のみが採用しただけで、レーザーのメイカーの採算も合わず、撤退することになり、治療ができなくなっているのが現状であります。
新しい光感受性物質のレザフィリンとパナソニック製の小型のレーザーによる新しいPDTは、初期肺がんの治療のみで臨床試験が行われ、厚労省の認可を得ています。
婦人科や、消化器などの治療では、臨床試験が行われなかったため、まだ治療ができないのが現状です。(表9-20)。
表9-20
【単純子宮全摘出術、拡大単純子宮全摘出術】
0期からIa期(浸潤の深さが3mm以内のIa1期)までの患者さんの場合は、リンパ節への転移はほとんどありませんので保存的治療も可能ですが、円錐切除ができない患者さんや、妊娠を望まない患者さんは、通常、完全治癒を目的として、単純子宮全摘出術または、拡大単純子宮全摘出術を行います。いずれも閉経前の人は、卵巣は残しますので、ホルモン的には問題なく後遺症はありません。子宮体がんの心配もなくなります。
【準広汎性子宮全摘出術、広汎性子宮全摘出術】
微小浸潤がんのIa期のなかでも、特にIa2期が疑われる場合などでは、準広汎性子宮全摘出術が行われます。骨盤部のリンパ節の郭清(除去すること)も加え、腟もやや多めにとります。卵巣は浸潤の状態や年齢を考慮して、残す場合と切除する場合があります。
また、特殊な場合として、Ia2期および低リスクとされる腫瘍径の小さいIb1期の症例で患者さんが妊孕性の温存を強く希望する場合、広汎子宮頸部摘出術を行うことがあります。骨盤リンパ節郭清と子宮頸部を基靱帯の一部を含めて切除し、子宮体部を温存する術式ですが、フランスやカナダで報告され、わが国でもごく一部の施設で行われるようになりました。ただし、術中迅速病理検査によって、リンパ節転移が認められた場合や内頸部側断端部にがんが残っている場合は、温存術の適応外になります。
さらに明らかな浸潤がんのIb2期や子宮の周囲にがんが広がるII期になると、子宮だけでなく、子宮のまわりの組織や腟を広い範囲で切除する広汎性子宮全摘出術を行います。通常は、卵巣も切除します。また、骨盤の深いところまでリンパ節の郭清を行い、直腸の周囲や膀胱周囲のほか、尿管の剥離も十分にするため、骨盤の神経を切断すると、術後に膀胱や直腸障害として、尿が出にくくなる排尿障害やお通じがうまくいかなくなる排便障害などの後遺症が出ることがあります。術中の出血も多くなる場合があり、しばしば輸血も必要になります。術後も、リンパ液の流れが悪くなり、リンパ液がたまるリンパ嚢腫ができたり、下肢や外陰部のむくみが生じたり、内臓の癒着なども起こりやすくなります。
放射線療法と化学療法
【化学・放射線同時併用療法】
放射線療法は、従来、単独で行う場合が多かったのですが、近年欧米では、IIb期~IVa期の進行がんは、放射線療法と化学療法を併用する方法の化学・放射線同時併用療法が標準治療とされています。欧米の治療成績では、併用するほうが良好との意見が強くなっています。ただし、副作用はやや強くなる傾向もあります。
がんの浸潤が深く、広い範囲に及んで手術ができないIII~IV期の進行がんの患者さんの場合や高齢、肥満、手術に問題のある合併症がある患者さんの場合には、放射線療法単独または、化学・放射線同時併用療法が行われます。併用する化学療法の抗がん薬の種類や量は、がんの進行状況や病理組織や患者さんの体重などに応じて選ばれ、施設によってもさまざまな療法を用いるのが現状です。
また、放射線療法は、Ib期以上の術後の追加治療として、再発予防の目的でも行われます。さらには、放射線療法と化学療法は、再発病巣や転移病巣などにも行われます。
【主治療前補助化学療法】
化学療法は、近年、新しく有効な抗がん薬の開発が進み、主治療の手術や放射線療法を行う前に、原発病巣の縮小と遠隔転移の制御を目的に行われる主治療前補助化学療法(NAC)も行われるようになりました。投与法には、点滴で薬を投与するのが一般的ですが、子宮動脈へ動注する方法もあります。
IIb期やIIIa期でも、先に化学療法を行ってがんを小さくしてから手術することもあります。IIIb~IVa期などの本来は手術ができない進行期のがんも、主治療前補助化学療法を行った後に手術ができる場合もあります。こうした症例は、放射線療法単独の症例と比べて予後がよいとされています。
■子宮頸部腺がんの治療
子宮頸部腺がんは、0期やIa期で発見されれば予後は悪くないのですが、ほとんどがIb期以上になってから見つかることが多く、Ib期以上は子宮頸部扁平上皮がんと比較して予後が悪い傾向があります。
0期の場合は、円錐切除術で病変の遺残がなければ子宮温存も可能です。Ia期の子宮頸部腺がんは、通常は、準広汎性子宮全摘出術を行います。放射線感受性のよくない子宮頸部腺がんや混合型がんは第1に手術が必要ですが、子宮頸部腺がんのIb期以上の症例に主治療前補助化学療法(NAC)を行い、可及的に手術ができる状態にすることは、予後の改善につながる可能性があると思われます。一方、抗がん薬の効果がなかった場合には、手術の時期を遅らせることにもなりかねないため、手術ができる場合は、手術を優先させたほうがよいとの意見もあります。
近年では、以上のほかに主治療前補助化学療法(NAC)を行ってから、手術する場合もあります。
■子宮頸がん治療後は定期的に診察を
子宮頸がん治療後は、ほかの悪性腫瘍と同様に再発や転移を起こすことがあります。再発や転移も早めの診断・治療で治すことができますので、最短で5年、できれば10年は定期的に経過観察が必要です。
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