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はしか(麻疹)

■感染するとほとんどが発病する
はしかは、はしかウイルスに感染することによって起こる急性伝染病です。患者のせき、鼻水、くしゃみなどからうつります。大多数が生後6カ月から9歳までの時期にかかります。特に発病する子どものほぼ半数が2歳以下です。一度かかると一生免疫ができるために二度とかかることはありません。近年では2001年に全国的流行があり、また2007年には、10~20歳での流行がありました。2006年から弱毒生麻疹風疹混合ワクチンの接種が始まり、2009年より年間450~750人前後に減少しています。
生後6カ月未満までの赤ちゃんは、はしかにかかったことのあるお母さんから胎盤を通して“抗体”という抵抗力をもらうのであまりかかりませんが、生後6カ月から2~3歳までの乳幼児がかかると、症状は重くなります。はしかのワクチンが定期予防接種として行われるようになって、はしかにかかる子どもは減少しましたが、その一方で、ワクチンを受けていなかった年長児や、ワクチンの効果が減弱した大人のはしかが増えることが問題となっています。
患者さんの数は減っても病気そのものの症状が軽くなったわけではありません。
以前は、春から初夏にかけて流行しましたが、ワクチンの普及により季節性はなくなり、1年を通してみられます。
潜伏期間は10~12日です。はしかウイルスに感染するとほとんどの子どもが発病します。
典型的なはしかの経過
食欲がなくなり、きげんが悪くなり、同時にせき、くしゃみ、鼻水、頭痛、目やに、目の結膜充血などがみられ、38℃前後の熱が出てきます。乳児では、嘔吐や下痢をすることがあります。この時期をカタル期といいます。
2~3日すると、口の中の両方の頬の内側粘膜に、1mmぐらいの針で刺したような、ケシ粒大の白い斑点が、パラパラと現れてきます。この斑点は“コプリック斑”と呼ばれ、はしかだけにみられるものです。両頬の内側粘膜は赤くなっています。歯ぐきや唇の内側にこのコプリック斑ができることもあります。
カタル期の終わるころ、コプリック斑出現前後に、熱は、いったん37℃前後まで下がり気味になった後、半日から1日過ぎてから再び39℃以上に上昇します。同時に顔や胸に発疹が出てきます。
発疹は、はじめ小さく鮮やかな紅色をしていますが、しだいに少し盛り上がった形(丘疹)となります。色も徐々に暗赤色になり、いくつかは隣どうしがくっついて、不規則な斑状の発疹となります。翌日には背中、腹部、腰と全身に出てきます。発疹と発疹の間に健康な皮膚が残っているのが特徴です。3~4日で手足の先まで広がり、そのころから熱は下がり始め、回復期に入っていきます。
回復期になれば徐々に食欲も出てきて、元気になっていきますが、せきや鼻水はその後数日つづきます。発疹の色は出てきた順から落ちついていってしみ(色素沈着)となり、数週間で消えていきます(図17-6)。
図17-6
はしかの早期発見法
子どもが熱を出し、せき、鼻水、目やになどの症状があるときは、近所ではしかが流行していないか、2週間前に会った人で、はしかになった人がいないかを調べ、もしあればはしかを疑います。はしかの疑いがあるならば、口の中を毎日注意深く見てみましょう。
口の中にコプリック斑があれば、まずはしかと考えてよいと思います。
コプリック斑と間違えやすい両頬の内側のブツブツには、ミルクかす、アフタ性口内炎、鵞口瘡(カンジダというカビで起こる)などがあります。
ミルクかすならぬぐえばとれ、発熱もありません。アフタ性口内炎はその部分に強い痛みがあり、何よりも触られるのをいやがります。
鵞口瘡はコプリック斑とは違い、舌や上あごなどにもでき、比較的大きいこと、発熱がないことなどから区別することもできます。
はしかの手当て
もっとも大切なことは、保温と安静です。発疹が出たら安静にします。
発熱に対しては、いやがらなければ頭を氷枕や冷却ジェルで冷やしてあげましょう。この場合でも肩や背中は冷やさないようにしてください。
また、からだが熱くて手足が冷たいときは薄手で長そでのパジャマを着せ、靴下や手袋などで手足の先が冷えないようにしましょう。
部屋は、できれば暑からず寒からずの20~25℃とし、時々換気も忘れないようにして蒸気をたてて加湿しましょう。
発熱があるときは、きげんも悪く食欲も出ないと思いますが、下痢や嘔吐がなければ、十分に飲み物を与えましょう。ビタミンや塩分、カリウムの欠乏に対しては、果汁ジュース、紅茶や麦茶、乳児用イオン飲料などを適宜与えます。食べ物は、下痢や嘔吐がなければ、消化がよくてエネルギーの高いものや、のどごしのよいアイスクリームなどを少しずつ与えるようにしましょう。
発熱のあるときは入浴はできません。症状が落ちついてきたら、まず蒸しタオルで顔やからだを清潔にしてあげましょう。合併症がなく、せきなどの症状が落ちついたら、体力の回復をみながら入浴させましょう。
はしかは体力の消耗の激しい病気ですから、体力が弱ったときに細菌感染などの合併症を起こすこともあります。細菌による二次感染に対しては抗菌薬が、せきや鼻水に対しては症状に応じて薬が出されるので、医師の指示に従い、きちんと最後まで服薬しましょう。はしかウイルスそのものに有効な薬はまだありません。
■合併症は多くないが、起こすと重症
はしかの後は、しばらくの間、全身の抵抗力が一時的に低下するので、細菌に感染して中耳炎(約7%)や肺炎(約6%)、下痢(約8%)を起こすことがあります。特に3歳以下の子どもでは、のどの奥の炎症である急性喉頭炎もまれに起こします。
また、はしかウイルスの直接侵襲による肺炎は、巨細胞肺炎と呼ばれます。これらの合併症は多くはありませんが、起こすとかなり重症となります。発疹が出てから4日以上発熱がつづいたり、一度下がった熱が再び上がってきたとき、顔色が悪くなったり呼吸が苦しく荒くなったりしたときなどは、十分に警戒して、かかりつけの医師に受診しましょう。
そのほか非常にまれですが、脳炎(1000~2000人に1人)や、はしかにかかって数年後に発病する亜急性硬化性全脳炎(5万~10万人に1人)という神経の合併症もあります。
はしかの伝染力と予防
はしかの伝染力のもっとも強い時期は、発疹が出る前(カタル期)の2~4日間です。この時期は、鼻水、くしゃみ、発熱、せきなどの症状をみるだけでは、かぜ症候群やほかのウイルス感染症と区別がつきません。患者さんのせきやくしゃみによる唾液などから飛沫感染します。発疹が出始めると伝染力は弱くなり、発疹が出てから5日程度で伝染力はなくなります。身近にいる子どもがはしかとわかったときは、感染してから4日たっていると考えましょう。
はしかは学校保健法で、通園や登校は、解熱してから3日たつまでは禁止となります。もしも、この期間を過ぎてもせきがひどかったり、食欲が出てこないなど全身状態がまだ悪ければ、通園や登校を見合わせたほうがよいと思います。かかりつけの医師と相談して決めましょう。
■予防
はしかの予防は、はしかの子どもに接触しないことが大切ですが、もっとも伝染力の強いカタル期は、発疹が出てくる前ですから、まだ「はしか」と診断されていないことが普通です。
はしかの子どもに接触したとわかってからの予防としては、ガンマグロブリンの注射があります。ガンマグロブリンは、人の血液から抗体の成分だけを取り出してつくったもので、ヒト免疫グロブリンともいいます。はしかの子どもと接触した後6日以内に注射すれば発病を防げるとされていますが、効果は数週間しかなく、永続的な予防はできません。接種可能な年齢であれば、ガンマグロブリン接種3カ月以降で、健康なときに高度弱毒生ワクチンの注射を受けて免疫をつけましょう。
高度弱毒生ワクチンは、毒性を非常に弱くしたもので、接種により95%以上の人が免疫を得られます。弱毒生麻疹風疹混合ワクチンとして、1~2歳未満の幼児と、5~7歳未満でかつ就学前1年以内の小児に2回接種されます。ワクチン接種後3週間を過ぎたころから抗体ができ上がり、4~6週間で最高値に達します。
※ガンマグロブリン
人の血液から抗体の成分だけを取り出してつくったもので、ヒト免疫グロブリンともいいます。
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投稿日時:2014年06月23日 13:59
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