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子宮筋腫

子宮筋腫は子宮の筋肉(平滑筋)にできる良性の腫瘍で、球形でこぶのようにかたい腫瘍です。その95%が子宮の体部に発生し、残りの約5%が頸部に発生するといわれています。また、子宮筋腫は、その発生部位、発育する方向により、図16-8のように分けることができます。
筋腫は産婦人科を訪れる女性の5~10%に認められ、生殖年齢女性の20%、35歳以上の女性では40~50%にみられることが知られています。年代的には40代がもっとも多く、ほとんどの場合30~50歳に発見されます。
子宮筋腫は思春期前の若い女性に発症することはほとんどありませんし、閉経後には退縮して小さくなります。これは筋腫の発育に女性ホルモンが強く関係しているからです。そのため、卵巣からの女性ホルモンの分泌の多い成熟期の女性は筋腫が大きくなることが多いのです。そして、卵巣からの女性ホルモンの分泌が止まる閉経後では、子宮の縮小に伴い筋腫も小さくなっていきます。
図16-8
■できる場所によって症状が異なる
筋腫のおもな症状は、月経の量が多くなる(過多月経)、月経期間の延長(過長月経)、頻発月経、月経痛(月経困難症)などの月経異常です。そのため貧血になることがあります。ほかに筋腫が周囲の臓器を圧迫するための症状が認められることもあります。しかし子宮筋腫があるからといって症状があるとはかぎりません。子宮がんの検診などの際に偶然発見されることもしばしばあります。
症状の種類や程度は、筋腫の大きさや発生部位、発育する方向などによって異なってきます(図16-8)。例えば、子宮内腔(内側)で発生する粘膜下筋腫では、筋腫の大きさが同程度であっても漿膜下筋腫や筋層内筋腫に比べて、出血が多く認められることが多く、粘膜下筋腫の分娩時(子宮内腔の筋腫が腟内に娩出される)には陣痛様の下腹部痛も出現します。また分娩してしまった粘膜下筋腫では、感染やうっ血も加わるため、さらに多量の出血を伴うことがしばしばあります。
筋腫が大きくなればなるほど周囲の臓器を圧迫し、骨盤内に充血を起こしたり、靱帯が引っ張られて腰痛や牽引痛を起こしやすくなります。特に筋腫が腹腔内ではなく靱帯内に発生した場合や、筋腫が周囲と癒着しているときなどでは、これらの症状が強く現れることが特徴です。
また、子宮頸部にできた筋腫では、子宮体部にできた筋腫と比べ膀胱や尿管、直腸などを圧迫しやすいため頻尿、排尿困難、便秘などの症状が出現することもあります。
■子宮卵管造影や子宮鏡検査を行う
子宮筋腫は子宮に発生する腫瘍の中でもっとも多いものです。内診をして、子宮が正常より大きく、かたい腫瘤(こぶ)に触れるときはまず筋腫が疑われます。内診だけでは筋腫の存在がわかりにくい粘膜下筋腫の診断には、画像診断以外に加えて子宮卵管造影や子宮鏡による検査を行う場合もあります。
■月経以外の不正出血に注意
注意したいのは、子宮が大きく月経時以外の不正出血(子宮出血)を伴うときには、悪性腫瘍である子宮体がんや子宮肉腫の場合もあることです。そのため、必ず子宮内膜の細胞や組織の検査を受けておくことが大切です。また、月経痛が認められる場合では、しばしば、子宮内膜症、子宮腺筋症が同時に存在することもあります。筋腫が周囲と癒着している場合などでは卵巣腫瘍などと区別がつきにくいものもあります。そのときは内診に加え超音波検査やCTスキャン、MRIなどの画像診断が行われます。
■手術は筋腫がこぶし大以上
筋腫があるからといって、すべてが手術を必要とするわけではありません。筋腫が比較的小さく、特別な症状がないものは定期的に検診を受けて様子をみます。
治療を要する子宮筋腫は、一般的には大きさがこぶし大以上のとき、周囲の臓器を圧迫して下腹部痛、そのほかの症状を引き起こしたとき、こぶし大より小さくても過多月経でしだいに貧血が重症となる場合や鎮痛薬が効かないような強い月経痛がある場合、また筋腫が不妊や習慣性流産、早産の原因になっていると考えられるときなどです。
子宮筋腫の治療法
【子宮全摘術と筋腫核出術】
治療法としては、まず手術がありますが、基本的な子宮筋腫の手術法は子宮全摘術です。しかし、筋腫が不妊の原因となっている場合や若い女性、妊娠・出産を希望する人では、筋腫核出術が適切な手術と考えられます。全身状態、筋腫の数や大きさ、発生部位などを考慮したうえで手術法が選択されます。したがって、本人が筋腫核出術を希望しても、子宮を摘出しなくてはならないこともあります。
筋腫核出術は、子宮を温存できることが長所ですが、子宮全摘術と比較して、手術後に手術創部と周囲臓器の癒着を起こしたり、筋腫が再発するなどの短所もあわせもっています。
子宮をとっても、腟は今までどおりあるので、性生活は以前と変わらずに営むことができます。
手術のための入院期間は糖尿病、高血圧、ぜんそくなどの合併症もなく手術後に併発症が起こらなければ、一般に手術前3~4日、手術後約1~2週間が必要とされますが、最近は早期離床・早期退院と、短縮傾向にあります。手術後の職場への復帰は人により差はありますが、手術をした日から数えて1カ月程度と考えられています。
近年、社会的要求によって、腹腔鏡下子宮全摘術や腹腔鏡併用腟式子宮全摘術も盛んに行われるようになってきています。また粘膜下筋腫の場合、開腹せずに子宮鏡下に切除することもあります。手術方法は、担当の先生とよく相談して決定しましょう。
【偽閉経療法】
現在では、偽閉経療法といって薬物を使って半年間ほど月経を止め、子宮筋腫を小さくする治療も行われています。治療中は月経時の症状で苦しむこともなく、筋腫も小さくなり、有効な方法ですが、長期間の外来通院、骨粗鬆症、更年期障害のような副作用、さらには薬剤を中止し、卵巣機能が再開すると、筋腫がまた大きくなってしまうという問題点もあります。したがって閉経間近な人や手術前の人(大きな筋腫を小さくし安全に手術する)には有効な方法と考えられます。
その他の治療
【収束超音波治療(FUS)】
MRI下に200個以上の発生源から出る超音波を一点に集中させ、その振動エネルギーを熱エネルギーに変換させることで子宮筋腫を縮小させる治療法です。
【子宮動脈塞栓法(UAE)】
子宮動脈を選択的に塞栓することによって子宮筋腫を縮小させる治療法です。
FUSやUAEを実施している施設はかぎられており、また適応とならない子宮筋腫もあるため、希望される方は担当の医師とよく相談してください。
子宮摘出後も「女性らしさ」は変わらない
子宮をとると、月経が起こらなくなり妊娠することもありません。このため「女でなくなるのではないか」と心配したり、手術をためらう人もいます。しかし子宮は女性ホルモンの分泌器官ではないので女性らしさが失われるということはまったくありませんし、性交も可能です。むしろ手術によって、貧血、筋腫の再発や子宮がんの心配がなくなるなど、プラスの面も多くあることを忘れないでください。
※子宮筋腫の手術法
子宮筋腫の手術法は、子宮を全部摘出してしまう子宮全摘術と、子宮から筋腫のみを摘出する筋腫核出術、子宮の体部だけを摘出する子宮腟上部切断術があります。子宮筋腫を腟のほうからとり出す手術は、腟が広がりやすい経産婦で、子宮および卵巣卵管が腹膜炎などでほかの臓器に癒着していないこと、さらに筋腫がこぶし大以上に大きくなっていない場合に行えますが、最近は腹腔鏡を併用し、癒着などがある症例でも腟からとり出すことが安全にできるようになってきました。
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