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熱性けいれん

乳幼児が急に高熱を出すときに起こす全身のけいれんで、日本では小児人口の約5%前後(20人に1人)で起こる頻度の高い病気です。多くは治療を必要としない予後の良好な病気で、後遺症などは残りません。熱性けいれんが起こりやすい年齢は6カ月~5歳までで、もっとも起こりやすい年齢は1歳代です。6歳過ぎには発熱してもほとんどみられなくなります。
熱性けいれんの原因と症状
乳幼児は、大人の10倍以上もの頻度でけいれんを起こしやすいといわれます。それは、乳児期の脳の細胞が未発達で、わずかな刺激にも脳の細胞が興奮してけいれん性の電波を発すること、またそれを抑制するはたらきも未発達なために、脳の興奮がそのままけいれんとなって現れるためと考えられています。また、熱性けいれんを起こしやすい体質があり、両親、兄弟姉妹、祖父母、叔父叔母、いとこの中に、かつて熱性けいれんにかかったことのある人がいる場合が多いようです。
■発作は短時間で治まる
けいれんは急激に熱が高くなったときには起こりやすく、多くは発熱してから24時間以内に起こります。時には高熱がつづいているときにも起こることもあります。けいれんのタイプは強直性(からだ、手足をかたく突っ張る)のことも、間代性(かたく突っ張った状態と力が抜けた状態がくり返されるので、ピクピクあるいはガクガクと手足が動く)のこともあります。また力が抜けたように手足がだらりとなること(脱力)もあります。発作の持続時間は普通1~3分で、長くても10分以内で治まり、後はすっきりと元に戻ります。普通はひとつの病気で高熱を出している間には1回のみの発作で終わります。
初めての熱性けいれんは必ず受診を
発熱に伴ってけいれんを引き起こす病気には、てんかん、脳炎、髄膜炎、急性脳症(インフルエンザ脳症、その他のウイルス感染を伴うもの)、ライ症候群、脳血管障害、その他の重要な病気が含まれていることがあります。熱性けいれんの診断にはこれらの病気をきちんと否定することが重要です。次の項目のどれかひとつでも当てはまる場合は、すぐ救急車で病院へ行ってください。
(1)初めてのけいれん
(2)2度目以降でも、今までの発作とは様子が違う
(3)10~20分以上もつづく
(4)何回も反復して起こったり、発作と発作の間に意識が戻らない
熱性けいれんのけいれん発作の場合、発作が終わった後は比較的すみやかに子どもの意識は元に戻ることが多いですが、なかなか意識が戻らない場合や、ふだんでは考えられないような言動、行動などがみられるような場合では脳炎や脳症などの可能性がありますので、すみやかに病院を受診してください。また、生後6カ月未満の子どもの場合、乳児期に発症する重篤なてんかん(重症乳児ミオクローヌスてんかん)やヘルペス脳炎などの脳炎、脳症、また髄膜炎なども考えられますので、すみやかに病院を受診する必要があります。
医師の行う検査と診断の手順
先述のように熱性けいれんの診断は、発熱に伴ってけいれんが起こる熱性けいれん以外の病気をきちんと鑑別する必要があります。したがって、特に初回の熱性けいれんの場合は神経学的に詳しく診察するほか、髄液検査、血液検査(血液の中の糖、電解質、特にカルシウム、ナトリウム、マグネシウム、リン)、ウイルス検査、頭部の画像検査などを行います。脳炎が疑われれば脳波をとりますが、その他の場合はてんかんとの鑑別の意味もあり、1週間以上たった後に脳波をとります。
けいれんが起こったときの対処法
■まず、周囲の危険物を取り除く
大部分のけいれんは自然に治まるので、呼吸が一時的に止まっても、そのままになることはなく、元に戻ります。不要な刺激は避け、落ちついて次のような処置をします。
(1)身のまわりの危険なもの、ストーブや刃物、熱湯の入ったポットなどを取り除きます。あめ玉などを口の中に入れていると、のどに詰まらせることもあるので、取り除きます。また、子どもが身につけている眼鏡やヘアピン、手に持っているかたいものなども取りはずします。
(2)嘔吐を伴うことが多いので、顔とからだを横に向けて吐物が気道に入らないようにします。
(3)上着のボタンをはずし、ズボンやベルトをゆるめてからだを楽にします。
(4)(1)~(3)の処置以外には、刺激を与えず静かにしておくことが大切で、からだを揺すったり、手足を押さえつけたりしてはいけません。
(5)舌をかむという理由でスプーンや割りばしをかませることはやめます。口をぎゅっとかみしめることはけいれんが始まるときに多く、周囲の人が気づいたときにはすでにかみしめた後なので、何か物を口の中に入れても役に立たず、かえって口の中を傷つけたり、指をかまれたり、これらがのどの奥に入り込んでとれなくなるなど危険です。
様子を詳しく正確に把握することが重要で、けいれんが治まるのを静かに待ちながら、けいれん(てんかん)発作時の観察ポイントに沿って、子どもの状態を観察し、医師の診察を受けるときに伝えましょう(表17-3)。
表17-3
熱性けいれんの再発予防
熱性けいれんの予後は良好であり、半数の人は生涯1回きりのことが多いので、予防を含めた治療は必要としないことが多いです。しかしながら、日本の熱性けいれんの指導ガイドラインでは下記の3項目のいずれかに該当する場合には、すみやかに発熱時にけいれん止めの坐剤(ジアゼパム)を用いることが望ましいとされています。
(1)15~20分以上持続する発作が過去に1回でもあった場合
(2)要注意因子(てんかん因子および熱性けいれん因子)の中で、2項目またはそれ以上が重複陽性で、過去に2回以上発作を起こしている場合(表17-4
(3)半日で2回や、半年で3回以上、1年で4回以上の熱性けいれんが起こるような短時間、短期間で発作が頻回に起こるような場合
熱性けいれんの予防については、かかりつけの医師とよく相談して、発熱時の対応を決めておくことが必要です。
また、発熱に関して、解熱薬の使用は熱性けいれんの再発予防にはなりません。やたらに解熱薬を使用するのではなく、毛布や厚い布団などで熱が子どものからだにこもるような「うつ熱」を避けたり、冷たいタオルや氷枕で頭や額、時には「わきの下」「ももの付け根」を冷やすことによって環境をととのえたり、吐き気がなければ水、麦茶、番茶、ジュースなどの水分をできるだけ飲ませ、脱水症状を予防することも大切です。解熱薬の使い方などもかかりつけの医師によく相談しておくことが大切でしょう。
表17-4
■予防接種は医師とよく相談して
予防接種のなかでも、百日咳、麻疹(はしか)、日本脳炎、インフルエンザでは、子どもによっては接種後に熱が出て、熱性けいれんを起こすことがあります。とはいえ、本物の麻疹に感染すれば、高熱を出しけいれんを起こす可能性があるのですから、医師とよく相談して、これらの予防接種を受けるかどうかを決めましょう。あらかじめけいれん止めの坐薬をもらっておくと安心です。この4つ以外の予防接種ではほとんど熱は出ません。
※神経学的診察
神経学的診察は、患者さんの年齢によって具体的な方法は異なりますが、まず意識状態のチェック、ふだんと同じか、ふだんより反応は鈍いか、異常かを診ます。会話が可能ならば、ふだんと発音のしかたなどが同じか、また、視線が合うか、追視が可能か、眼球の動きに異常はないか、瞳孔の大きさ、対光反射(光をあてたときの瞳孔の反応)の状態など脳神経の状態を診ます。大泉門の開いている年齢では膨隆の有無、項部強直の有無(乳児ではおむつを替えるときの下肢の曲げ伸ばしでふきげんになるか否か)、四肢(うでや脚)の動かし方、他動的に動かされたときの四肢の緊張状態、深部腱反射の有無、病的反射の有無、失調の有無などを診ます。
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