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女性に多い“甲状腺の病気”。
どんな症状があれば疑った方がいいの?(1)

監修:杉野 公則 先生

杉野 公則 先生

すぎの・きみのり 伊藤病院(東京都・渋谷区)副院長。1983年、横浜市立大学医学部卒。1983~85年、同大学臨床研修。1985年、横浜市立大学第1外科入局。1989年より伊藤病院に勤務。1998年、伊藤病院外科部長。2003年より現職。治療の方針を患者さんとともに考えていき、必要性が明確に説明できない検査や治療は行わないことをモットーとしている。

※参考文献・・・伊藤公一監修『甲状腺の病気 バセドウ病・橋本病・甲状腺腫瘍ほか』(主婦の友社)

患者さんのおよそ9割が女性という甲状腺疾患ですが、更年期や肝臓機能の低下、うつ病など他の疾患だと思い込み、正しい診断を受けていない方もたくさん見受けられます。そもそも甲状腺とはどんな臓器なのか、ここが障害されるとどのような症状が現れるのか、早期発見の仕方や専門医の見つけ方などを専門の先生に伺います。

“甲状腺”ってよく聞くけど、どんな臓器なの?

のどぼとけの下にあって、蝶が羽を広げた形に気管の前面にはりついている

甲状腺

甲状腺という臓器は、首の前側、のどぼとけの下に位置します。まるで蝶が羽を広げたような形をしており、気管を抱き込むようにはりついています。大きさは親指を2本並べたくらい、重さは18グラム前後、厚さは薄いところでは数ミリです。

新陳代謝を活発にする “甲状腺ホルモン”を分泌し、成長・発育を促進&エネルギーを生み出す

甲状腺はとても小さな臓器ですが、血液中に甲状腺ホルモンを分泌し、体中の新陳代謝を正常に保つ働きをしています。
また甲状腺ホルモンは、たんぱく質や脂質、炭水化物、ビタミンなどの栄養素からエネルギーを生み出し、体の中でうまく利用されるようコントロールする役割も担っています。
そして子どもの場合は、成長・発育になくてはならないホルモンです。
甲状腺は、必要に応じてホルモンを分泌したり、使われないホルモンを貯蔵したりという機能も備えています。

“甲状腺ホルモン”の材料はヨウ素。体に取り込まれたヨウ素は甲状腺に集まる

甲状腺ホルモンは、ヨウ素(ヨード)を材料に作られます。身近なものでは、昆布などの海藻類や昆布茶、ヨードを使ったうがい薬などに含まれています。体内に入ったヨウ素は甲状腺に集まる性質があります。海洋国の日本では、普段からヨウ素を含んだ海藻類などをよく食べているので、ヨウ素が不足している人は少ないとされています。

甲状腺の病気って、女性に多いって聞くけど…

国内にはおよそ500万人の患者が。女性は毎年、人口の0.3%が発症

国内ではおよそ500万人がなんらかの甲状腺疾患にかかっているとされています。これは糖尿病の患者数とほぼ同じです。米国甲状腺財団の調査によると、甲状腺機能亢進症は、女性が人口の0.3%、男性は0.03%が毎年発症しているとしています。この割合を日本に当てはめると、女性では19万人、男性では2万人が毎年新たに甲状腺疾患を発症していることになります。

どうして女性に多いかはわかっていないが、自己免疫疾患は女性に多い

甲状腺の病気のなかには自己免疫疾患とされるものもあります。膠原病の特集でもご紹介したとおり、自己免疫疾患は圧倒的に女性に多く、その発症には女性ホルモンや遺伝子などが関係しているのではといわれていますが、現在もその理由はわかっていません。

自己免疫疾患と膠原病について詳しくはこちら

どんなきっかけで発症することが多いの?

家族に甲状腺疾患の人がいると発症することが多い

どういうきっかけで発症することが多いかは、はっきりとはわかっていません。しかし女系のつながり、たとえば母—娘のように遺伝することが多いのでは?と考えられています。しかし、橋本病などは症状が現れないことが多く、病気をもっていたとしても知らないまま過ごす方が大勢います。そのため、遺伝率などはわかっていません。

甲状腺の病気って、どんなタイプのものがあるの?

「機能の異常」「炎症」「腫瘍」の3種類に分けられる

甲状腺の病気には3つの種類があります。

(1) 甲状腺の機能異常をきたすもの

甲状腺の機能が亢進する(高ぶる)場合と、低下する場合があります。
甲状腺機能が亢進する代表的な病気が「バセドウ病」で、日本人の場合、亢進症の9割以上をバセドウ病が占めます。
一方、機能が低下してホルモン分泌が不足するのが“甲状腺機能低下症”で、最も多いのが「橋本病」です。通常、どちらの疾患もびまん性甲状腺腫 (甲状腺が全体に腫れる)を伴うことが多いです。

(2) 甲状腺に炎症がおこるもの

亜急性甲状腺炎、急性化膿性甲状腺炎などの疾患がこのタイプの疾患です。橋本病も“慢性甲状腺炎“ともいわれ、病気の主体は炎症です。前2者は甲状腺に一致した部位に疼痛や発熱など炎症所見を伴いますが、橋本病では痛み、発熱などは伴わないことがほとんどです。

(3) 甲状腺に結節、腫瘍ができるもの

甲状腺に結節や腫瘍ができるものには良性と悪性の2種類がありますが、大部分の甲状腺腫瘍は良性のもので「結節性甲状腺腫」といいます。万が一、悪性腫瘍(がん)の場合でも、他部位のがんに比べて比較的なおりやすいといわれます。

バセドウ病と橋本病について、もう少し教えて!

甲状腺機能亢進症の中でもっとも多いのが「バセドウ病」。
比較的若い年代で発症する

血液の中にある甲状腺ホルモンが過剰になり、代謝が異常に高まるのがバセドウ病です。亢進症の9割がこの疾患です。

  • 20~30代に多く、次に多いのが40代
  • 男女比は、1:4
  • 男性がバセドウ病になると、女性より症状が重いことが多い
  • 親族にバセドウ病の人がいる率は17%前後とされている

甲状腺に慢性の炎症が起きるのが「橋本病」。
炎症が続くとホルモンが分泌されにくくなる

別名を慢性甲状腺炎と呼び、免疫の異常によって甲状腺に炎症が生じます。炎症が続くと、脳(下垂体)が指令をだしても甲状腺ホルモンが分泌されなくなり、ホルモン不足が体全体に影響を及ぼします。

  • 20~50代に多い
  • 男女比は、1:20~30
  • 患者全体の7割は橋本病の自覚がないまま過ごしている(症状がない)
  • 橋本病は比較的年齢が高くなってから起こるので、血のつながった親族に橋本病の人がいる場合は50歳を過ぎたら検査を受けておくと安心

次のページでは、現れやすい症状や日常生活の中で気をつけること、妊娠・出産との関係などについて詳しくご紹介します。

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