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健康カレンダー

毎日が忙しく健康に気が回らない方に役立つ簡単な健康維持の情報や、いつも健康に気を使っている方でも知らなかった健康のコツなど、生活の中で役立つ健康情報をご紹介します!

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いつまでも治らないその病気。
実は“ホルモンのトラブル”かも…(1)

監修:出雲 博子 先生

出雲 博子 先生

いずも・ひろこ 順天堂大学医学部附属順天堂医院・客員教授。順天堂大学附属病院内科研修医、ミシガン大学一般内科臨床研修終了、ハーバード大学内分泌内科臨床研修終了、前ハーバード大学内分泌内科臨床講師、聖路加国際病院内分泌代謝科部長を経て、現職。順天堂医院の予約診察室および“こころとからだの元気プラザ”外来にて診療にあたっている。著書に『ホルモンの病気がわかる本』(法研)など。

“ホルモン”と聞くと真っ先に女性ホルモンを思い浮かべる人が多いのですが、他にも甲状腺ホルモンや成長ホルモン、インシュリンなど、とても多くのホルモンが存在します。なかなか治らない病気の陰にはホルモン(内分泌)のトラブルが隠れている場合が多く、「こういう症状があれば、このホルモンのトラブルを疑ったほうがいい」など、専門の先生に伺います。

ホルモンって何種類くらいあるの?

現在一般に測定できるものだけで30種類くらい。さらに発見されつつあるホルモンもある

ホルモンというと、エストロゲンやプロゲステロンのような女性ホルモンを思い浮かべがちですが、糖尿病に関係の深いインスリンや、甲状腺の病気を引き起こす甲状腺ホルモンも、れっきとしたホルモンの仲間です。
血液検査により測定できるホルモンの数は、およそ35種類とされています。しかし、実はもっとたくさんのホルモンが存在しており、筋肉や脂肪(肥満細胞)、消化管などから出されているホルモンもあります。また、発見されてないものもあります。

そもそも、ホルモンってなんですか?

ホルモン=内分泌のこと。ある場所で作られたホルモンが
血液にのってさまざまな臓器などに運ばれ、いろいろな臓器の働きを調整する

身体の機能を調整するシステムには、「神経系」と「内分泌系」があり、神経系は文字通り、体への指示を神経繊維のネットワーク経由で行います。一方の内分泌系とは、それぞれのホルモン分泌臓器から分泌された微量の指示物質(ホルモン)を血液を介して種々の臓器へ送り、体への指示を出しています。

ホルモンの機能には、どんなものがあるの?

大きく分けて3種類の機能に分類される。
1つのホルモンが、さまざまな機能をかねあわせていることも

いろいろなホルモンのもつ機能を3つに大きく分けてご紹介します。

(1) 体温など、体の恒常性を維持する

たとえばブドウ糖は、血液にのって全身に運ばれますが、血液中のブドウ糖は多すぎても、少なすぎてもダメで、これを調整するのに、インスリンやグルカゴンなど、いくつかのホルモンが働いています。
また体温調節にもホルモンが関わっています。真冬の寒さにさらされたときには、副腎や交感神経からアドレナリンというホルモンが分泌され、血管を収縮させて体から熱が逃げないようにします。
また体の新陳代謝を維持するためには、甲状腺ホルモンが関わっています。

(2) ストレスから身を守る

寒さや暑さなどの環境の変化や、突然の不幸や驚き、哀しみなどの精神的なもの、細菌やウイルスによる感染など、こうしたストレスに適応するためにもホルモンが働いています。
突然の危機に直面すると、副腎髄質からアドレナリンが大量に分泌され、心臓がドキドキし、手のひらに汗をかき、脈が速くなります。こうして危機を察知し、次にとるべき行動を促します。
また細菌感染などによるストレスにさらされると、副腎皮質からコルチゾール(糖質コルチカイド)が分泌されます。細菌と闘う作用のある白血球を増やしたりしてからだの抵抗性を高めます。

成長ホルモン

(3) 成長・生殖をコントロールする

実は、人のからだが成長するためにもさまざまなホルモンが関わっています。なかでも重要なものに、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンがあります。成長期に成長ホルモンが足りないと身長が十分に伸びませんし、逆に多すぎると異常に背の高い巨人症になります。
また甲状腺ホルモンも、骨や歯の成長に関わっています。成長期に甲状腺ホルモンが足りないと頭脳の発達に遅れがでることがあります。

他の病気かと思ったら、実はホルモンの病気かもっていう事例を教えて!

(事例1)
生理不順の原因、実は摂食障害による中枢性の卵巣不全だった

ある日、大学生の女の子が「生理が来なくなった」と受診しました。生理不順というと、婦人科系になにか問題があるのかな?とまず考えがちです。
しかしこの患者さんの場合は、摂食障害により低体重に陥っており、脳の中枢(視床下部や下垂体)から分泌される性腺刺激ホルモン(FSHやLH)が作られずに生理不順を招いていました。
卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)は、脳の中枢から分泌される性腺刺激ホルモンの指令を受けて分泌されるのです。脳の中枢は、精神的なショックや栄養障害、運動のしすぎなどの影響を受けやすいとされています。

(事例2)
イライラや生理不順は、実は甲状腺ホルモンの異常が原因だった

無性にイライラしたり、集中力がなくなったり、痩せてしまったり、生理が不順になったり……。こういう症状が続くと、「更年期かしら」「なにか精神的なものかしら」と考えがちです。
しかし、女性ホルモンの値にも異常がなく、特に理由もなくイライラが続くようなときには、別のホルモンの病気を疑ってみる必要があります。
イライラ、集中力の低下、生理不順、脈がドキドキする、下痢をするなどの症状が現れるものに、甲状腺ホルモンが亢進する(過剰になる)バセドウ病という病気があります。甲状腺ホルモンは、全身のいろいろな臓器の活動性を高める作用のあるホルモンなので、脳の活動性も高まるため、非常にイライラしたり、アクティブになったりして、結果として集中力が低下します。
この病気は、何歳でも発症することがありますから、症状に心当たりのある場合は、甲状腺ホルモンの値を調べてもらうようにしましょう。

(事例3)
繰り返す尿路結石と骨折は、実は副甲状腺の病気が原因だった

尿路結石を繰り返し、泌尿器科での治療を受けています。おまけに骨折もたびたび起こり、整形外科で骨粗しょう症と診断されました。しかし骨粗しょう症の薬を飲んでも一向に良くならず、その後も骨折を繰り返します。
女性は閉経後、女性ホルモンの急激な減少とともに骨密度が低下します。しかしそれほどの年齢でもないのに些細なことで骨折したり、骨密度が低い場合には、副甲状腺の病気を伺ってみる必要があります。
実はこの人は、副甲状腺ホルモンが上昇していることが原因で、上記のような症状が起きていました。副甲状腺の機能が高まりすぎると、骨からカルシウムがどんどん溶け出すため、血液中にカルシウムがあふれる「高カルシウム血症」が起こります。それなのに普通の骨粗しょう症だと診断されてカルシウムを補給すると、尿路結石や高血圧などの症状も招いてしまいます。
若い年齢での骨粗しょう症や、繰り返す尿路結石、骨折は、整形外科ではなく、内分泌の専門医を受診する必要があります。

骨粗しょう症 骨折 尿路結石 思い当たる私って…副甲状腺の病気とか!?

次のページでは、ホルモンについての素朴な疑問Q&Aや専門医の探し方などをご紹介します。

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