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閉経後では遅い!?
30~40代から“血管の若さ”をたもつ方法を教えて!(1)

監修:河野 宏明 先生

河野 宏明 先生

かわの・ひろあき 熊本大学大学院生命科学研究部環境社会医学部門教授、医学博士。1990年、熊本大学医学部卒業。熊本大学医学部附属病院研修医1993年、熊本大学医学部循環器内科医員。1998年、熊本大学医学部附属病院助手(循環器内科) 。2003年、熊本大学医学部附属病院講師(集中治療部副部長) 。2013年、熊本大学大学院生命科学研究部環境社会医学部門教授。日本循環器学会専門医、日本内科学会指導医、日本骨粗鬆症学会認定医。女性の心血管疾患や性差医療などにおける国内トップクラスの専門家。

人間は血管とともに老化するといわれていますが、特に閉経する前後からエストロゲンの減少により血管の老化が進み、血管や心臓など循環器の疾患が一気に増えるとされています。将来的に女性はどのようなリスクがあるのか、30代後半頃からどのような対策をとれば心血管系の病気を防げるのかを特集します。

血管のアンチエイジングって、どうして大切なの?

“人は血管とともに老いる”。
いつまでも肌や髪も若くありたいなら血管のアンチエイジングがカギ!

意外に感じるかもしれませんが、血管も重要臓器のひとつです。実は、“人は血管とともに老いる”といわれ、酸素や栄養を各臓器に届ける血管が老化すると、さまざまな器官にうまく酸素や栄養が届けられなくなり、トラブルが発生するようになります。

 “最近、髪が抜けやすくて”“肌が乾燥しがちで、血色もよくない”などの症状がある場合は、背景に血管の老化が隠れているかもしれません。

40代頃から徐々に、動脈の血管壁にプラークとよばれるコレステロールを原因とした “こぶ”ができます。すると次第に、血管壁が厚く、硬くなり、その結果血管が狭くなり、ます。これを、動脈硬化といいます。
そして、このプラークが破れると血栓(血のかたまり)が生じ、血管をふさぐと、血液の流れが途絶えてしまい、心筋梗塞などの心臓病や、脳梗塞などの脳卒中といった命にかかわる事態になりかねません。

いつまでも美しい身体を保ち、健康に過ごすためにも、血管のアンチエイジングを考えた生活をすることがとても大切なのです。

血管が老化すると、どんな症状が出やすいの?

もの忘れや疲れやすさ、顔色が悪いなどは血管の老化が進んでいる証拠かも

  • もの忘れしやすい
  • 疲れやすい
  • 顔色が悪い
  • 肌荒れしやすい
  • 髪にハリやつやがない
  • 体が冷えている感じがする

などの症状がありませんか? こうした症状の陰には、血管の老化が隠れているかもしれません。
もしこうした症状にあてはまった場合は、次のページでご紹介する対策を積極的に取り入れて生活をしてほしいですね。

血管の若さには、エストロゲン(女性ホルモン)が関係しているの?

生活習慣病や動脈硬化は、エストロゲンの保護がなくなる閉経後に一気に進む

女性ホルモンの「エストロゲン」の多くは卵巣から分泌されています。エストロゲンには、血管をしなやかに保ち、動脈硬化の予防をする働きがあります。そのため毎月の生理(月経)がある間は、血管の老化がある程度抑えられています。しかし、閉経以降はエストロゲンによる保護が得られなくなるため、血管のしなやかさが徐々に低下し、動脈硬化が少しずつ進んでいきます。脂質異常症も閉経ともに現れ、動脈硬化の進行を後押しすることになります。動脈硬化の進行とともに、高血圧などの生活習慣病が進むとされています。

最近の研究では、血管の内側にある「内皮細胞」がしっかり働いていると、血管がしなやかに保たれることが分かっています。この内皮細胞に作用して働きを高めているのがエストロゲンで、内皮細胞では一酸化窒素が産生されます。この一酸化窒素には“抗動脈硬化作用”があり、女性は閉経までは心臓や血管系の疾患が非常に少なくなっています。しかし閉経してエストロゲンが減少すると、内皮細胞で産生される一酸化窒素も減少するため、男性なみに動脈硬化が進んでいきます。

閉経後になって慌てて対策をとっても、血管を若返らせることはできません。エストロゲンに護られている30~40代のうちから、血管を老化させないことが重要です。

閉経すると男性なみに動脈硬化が進むんだ・・・

血管を老化させる要因には、どんなものがあるの?

「喫煙」と「肥満」が血管の老化を招く2大リスク要因

血管を老化させる最大のリスク要因として、喫煙と肥満があるとされています。
タバコに含まれるニコチンと酸化ストレス(フリーラジカル)は、内皮細胞を傷つけ、コレステロールの蓄積を促すので動脈硬化を促進します。またタバコを吸うと酸化ストレス(フリーラジカル)が血管内皮の血管拡張作用を抑えてしまうため、血管が収縮し、血流障害が生じます。
さらには、タバコを吸っていると酸化ストレス(フリーラジカル)がインスリンを分泌する膵臓の細胞に悪影響を与え、糖尿病にもなりやすいとされています。糖尿病自体が動脈硬化を促すリスク要因です。

そして肥満(特に内臓脂肪が多くなるタイプ)は、血液中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が増えるので、動脈硬化を促進することになります。内臓脂肪が蓄積していると指摘されたら、医師の指導のもと減らす努力をすることが大切です。

血管年齢って測定することができるの?

5分程度の簡単な検査で、血管の硬さや詰まりを測定

検査

血管年齢を測る検査には、動脈の硬さを測定する「CAVI検査」というものと、動脈の詰まり具合を測定する「ABI検査」というものがあります。
あおむけに寝た状態で、両腕と両足首に血圧計のようなベルトを巻いて、血圧と脈波を測定します。時間は5分程度。硬さ、詰まり具合、血管年齢の3つがわかります。
血管年齢は、同じ性別、同じ年齢の人の「CAVI」の平均値と比べることで、自分の血管年齢が分かります。

この検査では、上肢の血圧が下肢の血圧よりも高いのが正常です。もし、下肢の血圧が上肢より低い場合、下肢の血管が狭くなっている可能性があります。

もし、右手と左手の血圧に20mmHg以上差があった場合、女性に多い高安病の可能性も

血管年齢を測定すると、まれに左右で血圧が異なっていることがあります。この場合、15〜35歳ぐらいまでの若い女性に発症しやすい、血管炎である高安病(たかやすびょう;高安動脈炎、大動脈炎症候群ともいう)という自己免疫疾患の可能性があります。

高安病になると、大動脈に炎症が起きることで、発熱や全身の倦怠感、食欲不振、体重減少といった風邪のような症状が生じます。ひどくなると、立ちくらみやめまいなども起こってきます。

もしこのような症状があっても原因が分からない場合、あるいは血管年齢を測定したら左右で数値が異なっていた場合は、循環器内科か膠原病科(こうげんびょうか)で相談することをおすすめします。

次のページでは、症状を和らげるための医学的な対処法(ホルモン補充療法など)について詳しくご紹介します。

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