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夫はアスペルガー?私はひょっとしてADHD?
大人の発達障害、どう対処したらいいの?<特徴編>(1)

監修:渡部芳徳 先生

渡部芳徳 先生

わたなべ・よしのり 医学博士・精神保健指定医・日本精神神経学会精神科専門医、東邦大学客員教授、東京有明医療大学客員教授。山梨医科大学医学部(現山梨大学医学部)卒業。福島県立医科大学附属病院神経精神科に入局後、アメリカのデューク大学医学部神経科学研究センターに留学。てんかんモデルであるキンドリングを研究。帰国後、精神科医療を専門に診療・研究を行う。患者さんの訴えにきちんと耳を傾け、薬物の処方は最小限に抑えるという治療方針で、患者さんからの信頼も厚い。

※アスペルガーは、現在ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)と呼ばれていますが、タイトルでは分かりやすく表現するため、アスペルガーという表現を用いています。

ひょっとしたら夫は発達障害?でも実際は妻も…

近年、製薬メーカーなどの積極的な啓発活動もあり、発達障害という概念が多くの人に知られるようになりました。発達障害の方自体は昔からいたのですが、一般の人にも広く認知されるようになったことから、身近な同僚や家族に対して“この人、ひょっとして発達障害?”と思われるケースが増えたのかもしれません。

こうした近年の傾向にあって、女性から「うちの人(夫)、発達障害じゃないですか?」という相談を受けることがよくあります。「外面は良いけど家の中ではなにもしない」「一から十まで指示をしないと何もしてくれないので疲れてしまう」「神経質で突然怒鳴り出す」などです。思いつめて相談にいらっしゃる方も多いです。

こうした訴えでは、おおまかに分けて3つのケースが考えられます。

1つめは、ご主人に受診してもらって検査などをした結果、たしかにASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)だというケース。この場合は、家でペットを飼う(アニマルセラピー)などご主人の精神的・情緒的成長を支援し、ペットを介したコミュニケーションを促すような方策をおすすめしています。海外では獣医学部の分野でASDとペットの関係について研究がなされています。

2つめは、ご主人に受診していただくと、特に問題なく、診断上もASDではないというケースです。最近は「発達障害」という言葉が浸透していて、コミュニケーションに問題があるとすぐ「発達障害」と思い込んでしまうからかもしれません。奥さんのお話を聞いているとASDの傾向は見受けられますが、医学的には発達障害ではないというケースは多いです。もちろん性格などには問題がある可能性がありますので、双方がカウンセリングを受けるなどの対策が有効かもしれません。

3つめは、妻のほうが実はADHDというケース。奥さんの言い分のみを聞いていると、たしかにご主人はASDのように見受けられるけれど、診断結果では発達障害ではなく、実は女性の側がADHDということがあります。夫のことを批判していた妻のほうが、実はものの見方が偏っていたのです。この場合は、女性が薬物療法やカウンセリングなどで治療を受けることが必要な場合もあります。
(後編のお悩み解決で詳しくご紹介します)

発達障害の診断では、ご夫婦片方からの訴えのみを聞いて判断をすると誤ることが多々あります。片方が不在の欠席裁判ではなく、双方の言い分を公平にお聞きすることが大切になります。

発達障害(ASDとADHD)の定義や症状について詳しくはこちら

結婚前に気づくことは難しい!?人のために動けるかが大切

結婚前に、なぜ相手が発達障害だと気付けないか

配偶者が発達障害かもしれないとき、周囲の人は「どうして結婚する前に分からなかったの?」と疑問に思いがちです。

たとえば、ご主人がASDかもしれないとき、おつきあいしている段階では、純粋で優しく、なにか問題があるようには見えないことが多々あります。そう、“普通を装っていた”のです(プリテンド・ノーマルといいます)。また対外的には態度が良いことが多いため、まだ家族(夫婦)になっていない時には、気を遣っているというのもあります。

しかし結婚して、特にお子さんができると自分の思い通りに行かないシーンが増えるため、本来の特性が顔を出すことが多くなります。また母となった妻を女性として意識しなくなり、本来の性格が前面に出るということがありそうです。

ASDの人は、高学歴であったり、ある分野の能力に長けている人も多いため、会社など社会の中では、その人の才能と会社の求める能力が合致すると、とても高い評価を受けることがあります。そのため、職場環境に適応できていれば、周りから問題視されることもなく、結婚前に彼の会社の同僚と会っていても、気付くことは難しいかもしれません。
(ADHDの場合は、遅刻や忘れ物、ダブルブッキングなどがよく見られるので、同僚からはミスが多い人と思われているかもしれません)

“人のために動ける人”人であれば大丈夫かも

発達障害には遺伝的背景があるといわれています。ご両親など家族に発達障害がある場合、本人も傾向を引き継いでいる可能性もあります。
好きになったら一緒になりたいというのは、人として自然なことです。最終的には、人間の芯の部分で“人のために動ける人か”を見極めることが大切です。発達障害の傾向があったとしても、人のことを考えられる面があれば、夫婦となってもやっていけるのではないでしょうか。

次のページでは、ASDとADHDの人が伴侶に選ぶ相手の傾向とは…などをご紹介します。

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