兵庫教育大学大学院学校教育専攻(幼年教育)修了。ヤマハ音楽教室システム講師、家島町立(現在姫路市立)幼稚園教諭、神戸女子大学附属高倉台幼稚園副園長、幼保連携型認定こども園 姫路日ノ本短期大学付属幼稚園園長を経て現職。音楽を通した乳幼児教育を中心に教育研究活動を行う。
「認知能力は『字が書ける』『計算ができる』など、目に見える力のことです。これに対して、目には見えないけれど、人として生きていくために大切な力を非認知能力と呼びます。たとえば、『目標に向かって取り組む力』『忍耐力』『人に対する信頼感』『思いやり』『自分は自分でいいのだという自己肯定力』『想像力』などです」と國光先生。
ではなぜ、そのような力が子どもたちに求められているのでしょうか。目まぐるしい速さで変化していく社会では、今の子どもたちが大人になる20年後がどんな未来か、想像もつきません。大切なのは、どのような環境にも適応しながら、想像力を発揮して生きていくこと。そのための力が必要とされているのです。
「将来は、いろいろな仕事がコンピューターやAIに代わられていくでしょう。そんな中で、人にこそ必要で、AIでは触れることのできない領域が、非認知能力なのです。また、子どもが将来、人生のさまざまな問題を粘り強く解決しながら自信をもち豊かな人生を送るためにも、小さいうちからその根っこをはぐくむことが大切です」
では、非認知能力(学びや活動の基礎となる能力)はどのようにはぐくまれるのでしょうか。
日本の子どもたちの自己肯定感は、他国に比べると決して高いとはいえない、といった調査結果があるそうです。非認知能力のなかでも、自己肯定感はさまざまな力のベースとなる重要な力。「自分はありのままでいいのだ」という安心感や自信をはぐくむには、親やまわりの大人のかかわり方も大切です。
國光先生は、ハンガリーのコダーイ音楽小学校とハンガリー教育大学附属幼稚園を視察した経験を振り返って、自己肯定感をはぐくむには、音楽がとても有効だと考えるようになったと言います。
「コダーイ音楽小学校、ハンガリー教育大学附属幼稚園では母国語を大切にしたわらべ歌遊びが日常的に行われています。保育者が、子どもたち全員が必ず一度は主役になって歌えるように指導していました。集団の中で一人一人が大切に認められ、尊重される経験を重ねることで、音楽的な資質だけでなく、自己肯定感や自尊心がはぐくまれていくのではないかと感じました。そして、日常の遊びのなかでも、順番を待つことや、人の話が聞けるようになるといった成長につながっていくのです」
非認知能力のベースとなる「子どもの自己肯定感」を伸ばすために、子どもにはどんなふうに音楽に触れさせてあげるのがよいのでしょうか。
「日本にも素晴らしいわらべ歌がたくさんあり、近年とくに見直されてきています。家庭の中で歌われるわらべ歌には、子どもを遊びに誘う歌も多いので、話しかけるように歌いかけるのもいいですね。無伴奏で自分のペースで自由に歌ったり、カスタネットやタンブリンを音楽に合わせて鳴らしたりするなど、親子で一緒に楽しむのがおすすめです」
最初はできる、できないにこだわらず、音楽を楽しんでいることを認めてあげることが大切だと國光先生は言います。
「親から認められることで、『音楽は楽しい! 楽しいからもっと歌いたい、楽器を奏でてみたい!』と、子どもの自信、意欲、好奇心、頑張る力等につながります。笑顔がいい、声がいい、どんなことでもほめてあげましょう。たとえ表面的には興味がなさそうにしている子どもでも、心の中ではほめられてうれしくて、踊っているかもしれません」
仲間とともに音楽を楽しむことも、自己肯定感をはぐくむのによい経験になるそうです。
「友だちと一緒に歌ったり、楽器を奏でたりすることで、友だちの歌声や言葉を傾聴する力がはぐくまれます。音楽の楽しさを共有したり、同じ目標に向かって協働しながら認め合うことで、『社会性』や『協調性』『思いやり』も芽生えるでしょう。音楽を通じてお互いの表現を尊重し合うことで、多くのかけがえのない力がはぐくまれます」
音楽と触れ合える最適な環境を作るのもひとつの方法
子どものいいところをほめ、伸ばし、友だちと一緒に歌い、楽器を奏でる…。家庭ではなかなか叶えられないことも、音楽教室ではできることがあります。ヤマハ音楽教室はグループレッスン。友だちの歌声に耳を傾け、合わせることができます。子どもの可能性を伸ばすプロである講師はみんなとっても「ほめ上手」。非認知能力をはぐくむには、適した環境を用意するのもひとつの方法です。
「集中力」「創造性」「協調性」…ヤマハ音楽教室には非認知能力に
通じる力を子どもたちに芽生えさせるメソッドがあります。