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大事なことだから、今から考えておきたい!考えよう!親とのこと

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2017.02.15

がんの親が毎日無気力に見える

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「根治ができない『がん』だと診断された同居親が、1日中無気力で心配」そんな時、どう接すれば良いのでしょうか?症状は安定しているように見えると、もっと生きがいを見つけたり、イキイキと過ごして欲しいと感じるケースもあると思います。このような際、どのような点に注意しどう対処すれば良いのか、緩和ケア認定看護師/訪問看護師の落合 実先生にアドバイスしていただきました。
活動を促すのでなく、休息の支援の方が良いことも
がん患者さんは、検査などでがんと疑われた時から、告知、病状説明、治療など目まぐるしく状況が変わる中で大きなストレスにさらされます。ストレスによって「なにもする気がおきない」という無気力な状況や、なぜかイライラしたりや、憂鬱な気分になるなどの心の症状などが現れることもあります。また、頭が痛くなったり、眠れなくなったり、食欲がなくなるなどの身体的な症状が現れることもあります。

しかし人にはストレスにさらされても状況に適応していく力が元来備わっています。なかには上手く適応できず、適応障害やうつ病と診断される場合もありますが、通常であれば2週間程度で徐々に回復していきます。
がん患者さんがもし強いストレスを受けたばかりの場合は、活動を促すのではなく、落ち着いてゆっくり休息できるための支援をした方が良いのかもしれません。
がん関連倦怠感が原因の可能性
ストレスとは関係なく無気力に見える場合も、ただダラダラと過ごしているのではなく、がんの症状である場合があります。「倦怠感」という言葉をご存知でしょうか。倦怠感は疲れやだるさとも表現されます。がんの症状として、痛みなどのイメージを持つ方も多いですが、この倦怠感が出現することも多くあります。

がん関連倦怠感は「最近の活動に合致しない、日常生活機能の妨げとなるほどの、がんまたはがん治療に関連した、つらく持続する主観的な感覚で、身体的、感情的かつまたは認知的倦怠感または消耗感」と定義されています(NCCN:National Comprehensive Cancer Network)。この倦怠感はがんの診断前から存在することがあり、積極的な治療中や治療後にも持続することがあります。進行がんや終末期がんの患者さんだけではなく、がんサバイバーの方など治療終了から数か月経過しても倦怠感が出現し、悩んでいる方が多くいるのです。私たち健康な人の疲れと、がん関連倦怠感の違いは、その症状が活動との関係性が弱く休息によっても改善しない点にあります。無症状に見えて、ダラダラと無気力になっている方も、実はがん関連倦怠感が出現しているのかもしれません。
つらいこと・したいことを聴きましょう
倦怠感の治療としては薬物療法などがあり、私たち看護師が提案できるものとしては運動療法、カウンセリング、エネルギー温存・活動療法などがあります。それぞれ協力して軽減を図りますが、なかなか直接的な解決にはならないことも多いです。大したことでないように見えても、かかりつけの医師や看護師に早めに相談をしてみることをおススメします。倦怠感との良い付き合い方や、関わり方の参考になる助言などももらえるかもしれません。倦怠感はその方の主観的な感覚であるため、「治しようがないもの」「だるさがあって当たり前」と思い込んでいる事も多く、訴えがないことも多くあります。是非ご家族からも「何がつらいのか」「何がしたいのか」を積極的に聴いてみてはいかがでしょうか。

ある女性の訪問看護利用者の方でから、がん関連倦怠感を抱えながら家事をこなしていたのですが、だるくて家事が出来なくなり困っている、と相談されたことがあります。話しを聴いていく過程で、ご本人は手料理を家族みんなで食べる時間を大切にしたい事が分かりました。そこで、買い物や洗濯など他の家事を夫や両親に手伝ってもらい、比較的調子のいい時間の目星をつけて、その時間になるべく料理を下準備しておくようにすることで、大切にしたい事に注力できるようになりました。

がん関連倦怠感はなかなか治すことは難しいかもしれませんが、「つらいこと」はご家族が代わったり、方法を変えたりすることが出来るかもしれません。そうすることで、「したいこと」のために体力を残しておき、優先して取り組むことが出来る場合もあります。是非、積極的にご家族と話し合うことを心掛けてみて下さい。
ochiai
落合 実 先生
WyL株式会社取締役
緩和ケア認定看護師/訪問看護師。訪問看護師として勤務する傍ら、看護師の転職やキャリア支援、看護介護系事業の自社採用コンサルティング、医療系記事のライターやウェブサイトの管理などを行う。

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