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大事なことだから、今から考えておきたい!考えよう!親とのこと

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2017.06.21

親を亡くした悲しみ、どう乗り越えればいい?

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大切な親を亡くした後、「もっと頻繁に会いに行っていれば…」「好きなものを食べさせてあげれば…」「もっと感謝を言葉にすれば…」「なぜうちだけこんなに不幸なことが…」と後悔されるお話はカウンセリングの中でもよく話される言葉です。

今回は、大切な親を亡くした後の、悲しみと後悔をどう乗り越えたら良いか、その方法について、べスリクリニックの田中先生と蓮見先生にアドバイスしていただきました。
逃げず、無理に受け入れず、あるがままに過ごす
このような体験をした際に最も重要なことは、きちんと悲しむことです。
きちんと悲しむというのは、何も早くその相手の死を受け入れようとしたり、無理に涙を流して悲しんだりということではありません。悲しみや後悔や怒りを感じて、それを誰かに聞いてもらったりそばにいてもらったり、時には眠れなくなったり体調を崩しながらも毎日を過ごしていくことです。

親など自分にとって大切な人や物を亡くす体験のことを「喪失体験」といい、喪失体験のあった時に、悲しみや後悔や怒りを感じるのは至極まっとうな反応といえます。この喪失体験の際に生じてくるさまざまな感情を総称してグリーフ(悲嘆:Grief)といいます。
悲しみを受け入れる段階に応じたこころの整理法
グリーフの大きさや表現の方法は人によって違いますが、そこから回復していくために必要な過程のことは「喪の作業」とよばれており、この過程を踏まないことで、グリーフが長期化したり、うつ病などの精神的な病気のきっかけとなってしまったりすることがあります。

「喪の作業」は4つの段階があります。

1.無感覚の段階
喪失体験が起きた直後の反応のことで、呆然とし無感覚になる段階です。数時間~1週間程度続くと言われています。
自分に起きている喪失が事実と受け入れられず、夢の中にいるような感覚になったり激しく混乱してパニック症状を起こしたりすることもあります。お亡くなりになると葬儀などの準備でアタフタとしますが、初七日の頃までがこの段階になります。

2.思慕と怒り・否認の段階
喪失体験を事実として受け入れ始め、故人とのことを思い返したりすることで思慕の感情が出てきます。しかし一方で死を受け入れることができずに、故人がまだ生きているように振る舞ったり食事を作ったりする否認という行動が出てくる場合もあります。
自分になぜこんな悲しい出来事が起こるのか、故人になぜ死んでしまったのか、という怒りの感情が出てくる時期でもあります。

3.断念・絶望の段階
喪失体験が事実として受け入れられ、故人がいることを前提に作られていた生活環境や人間関係が一変し、絶望し無気力になる段階です。
抑うつ気分が生じたり、人と会うのを避けて家にこもりがちになったりすることが多くみられます。
食欲が下がったり免疫力が下がったりして体調を崩しやすい時期でもあります。

4.離脱・再建の段階
だんだんとグリーフが穏やかなものに変化していき、喪失体験についても肯定的な見方に変化していく段階です。
新たな環境に適応していこうとする中で、新しい人間関係や希望を見出そうとしていきます。自分自身の社会的な地位や価値について考え、だんだんと立ち直っていきます。
「喪の作業」が長期化したり病的になる大きな要因は、グリーフを抑圧することだと言われています。
例えば、悲しんでいることを人に見せないように明るく振る舞ったり、悲しみを紛らわせようと仕事や家事に打ち込んで忘れようとしたりする行動がそれに当たります。
このようなことがあると、周囲の人からは元気になったと判断されて、社会的にもうまく適応できているように見えますが、命日や個人の関係する出来事があった際に突然体調を崩したり落ち込みがひどくなったりうつ病のような状態になってしまうことがあります。

「喪の作業」を進めていくうえで大切なことは、まずは目の前のことに1つ1つ淡々と取り組むことです。通夜・葬儀や四十九日の準備などは、故人のことを思い返して整理し、親戚や友人たちなど自分にとってサポートになる人の確認ができる良いきっかけになります。
無理に人と会ったり外出の予定を作ったりする必要はありません。適度に1人になれる時間や、会話がなくても人と過ごす時間を取るようにしましょう。怒りや悲しみが強い時に無理に連絡を取るよりも、必要最低限にとどめておき、落ち着いたころに詳しい状況の説明や感情的な部分について共有できるといいかもしれません。
besuri1018
田中智恵子 先生(写真左)
ベスリクリニック マネージングディレクター
保健師、看護師、心理相談員。経営コンサルタント、大学教員(MBA)の経験を活かし、クリニックの経営、マネジメントを実施している。
 
蓮見紋加 先生(写真右)
臨床心理士、ベスリクリニック
文京学院大学大学院卒業後、心療内科クリニックで心理士として勤務。臨床心理士資格を取得しBESLIに参画。大学では、臨床心理学を学び、大学院では、「気分の変化が、睡眠習慣に与える影響」について研究。

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