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大事なことだから、今から考えておきたい!考えよう!親とのこと

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介護 老いのコト

2016.08.17

孫セラピー、高齢親と子どもの触れ合い

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元気のない高齢の親には、何か元気になる手助けをしたくなるものです。
そんなときに助けになるのが、元気で活発な子どもたち。子どもと高齢になった親との関わりを増やせれば、体力の増進や認知症への予防も期待できます。

今回は、その1つの事例として、親たちと子どもたちとの触れ合いを通して、家族全員を元気にできる方法について、べスリクリニックの田中智恵子先生と関本文博先生にアドバイスしていただきました。
親の日常生活に変化をつけよう!
私たちの脳は、喜びを感じたり、幸福感、達成感を味わったりした時に ドーパミン(幸せホルモン)という物質を放出します。ドーパミンは脳の神経回路を強化し、神経細胞の繋がりを強めますが、同時に、意欲を高めたり快の感情を生み出したりします。ですから、普段あまり会ったり関わったりしていない子どもたちに会うと、それだけで親たちの脳はドーパミンを作り出し、やる気が出てきたりポジティブな気分になったりするのです。

年齢を重ねるにつれて、新しいことを始めたり新しい場所に自分から行ったりしづらくはありませんか? 高齢の親たちも同じようになっていることが多いものです。これは、新しいことというのは「時間の見通しが立たない」、「労力の見当がつかない」、「成功するか失敗するかが予測できない」などのネガティブな考えに繋がりがちだからです。これらを回避するには普段のパターン化した行動をとることになりますが、あまりにパターンに頼った生活をしていると、脳内のドーパミンが減少し、もの覚えが悪くなったり動作が鈍くなったりし、最悪の場合、パーキンソン病や認知症になってしまいます。

そこで、高齢の親たちへの手助けだと思って、積極的に親たちに子どもたちを会わせてみましょう。自分たちからはなかなか動かない親たちも、子どもたちに会うという「変化」を前にすれば、脳内のドーパミンが増加し、やる気を出すきっかけになります。ドーパミンはいわば、脳にとってはご褒美。まず脳をやる気にさせてから実際の行動に移すことが、親たちを元気にする第一歩です。
子どもたちから元気をもらおう!
私たちはどうやって笑顔を作れるようになったり、ダンスやスポーツなどの動きを覚えたりできるのでしょうか? 人が身体の動きを見ただけでそれを真似できるのは、脳のミラーニューロンという神経細胞が関連していると言われています。このミラーニューロンの働きによって、人は対象の脳の活動をそっくりそのままシミュレートします。つまり、あたかも自分もその行動をしているかのような脳の状態になることで、表情や感情を他者から学習しているのです。

この働きを利用すれば、たとえ高齢の親たちが子どもたちとの関わりにあまり積極的でなくても、脳から元気にすることが可能です。例えば、よく笑う子どもたちを見れば、親たちの脳もあたかも自分が笑っているかのように活性化しますし、元気に走ったり遊んだりしている子どもたちを見れば、親たちがたとえ身体を自由に動かせなかったとしても、あたかも走ったり遊んだりしたような脳の状態になるのです。

さらには、そんな子どもたちを見ている私たちも、あたかも自分が活発に動いたり無邪気にはしゃいだりしたかのように、脳から元気になることができます。また、私たちが高齢になった親たちに笑いかけたり穏やかに話しかけたりすることも、親たちを元気づける力があります。私たちの行動から変えることが、家族全体に活力を与えていくのです。
子どもと親・そして自分とのより良い関係をつくりましょう
高齢になった親たちは、身体だけでなく視力や聴力も衰えてきています。私たちとしてみればこれまで通りに接したり話したりしていても、親たちからすると見えづらかったり聞こえづらかったりして、結果、疎通が悪くなっていることがあります。一方、子どもたちはというと、私たちのような「これまで通り」というものがないので、小さな体を大きく動かしたり、必要以上に大きな声を出したりして、かえって高齢の親たちとのやりとりがうまくいく場合があります。

東日本大震災の後、日本中が不安に包まれ、特に被災地では、避難した人たちが余震や津波の恐怖に怯え続ける日々を送っていました。そんな中、避難所の人たちの心を癒したのは、子どもたちや動物たちとの触れ合いだったといいます。大人たちは不安なことがあると、「あんなことはもう起こらないはず」と自分や相手に言い聞かせます。一方、子どもたちや動物たちはというと、不安なときには不安な表情を、落ち着かないときには落ち着かない動きをします。それが大人たちの「言葉」を超えた「受容」と「共感」となり、一緒にいる人たちを安心させるのです。

私たちや親たちが落ち着かない様子だと、子どもたちも落ち着きません。逆に、子どもたちが落ち着いていると、私たちや親たちも落ち着きや安堵、信頼感や安心感を抱くことができます。私たちには大人としての「子どもたちに安全な場所を提供する」という役割があるように、子どもたちには子どもとしての「大人たちの感情を引き出し、癒しと安らぎを与える」という役割があるのです。その役割をうまく活用し、よりよい家族との関係を目指しましょう。
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関本文博 先生
臨床心理士、ベスリクリニック 不安外来担当
精神科・心療内科クリニックにて就労者や休職者の不安治療に従事。認知行動療法や
応用行動分析など最先端の心理療法を駆使し、子育てから大人の発達障害まで幅広く
社会適応の改善に取り組んでいる。
 
田中智恵子 先生
ベスリクリニック マネージングディレクター
保健師、看護師、心理相談員。経営コンサルタント、大学教員(MBA)の経験を活かし、クリニックの経営、マネジメントを実施している。

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