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子宮内膜症

子宮の壁は、外側から腹膜の一部でもある漿膜と、平滑筋細胞からなる厚い筋層、そしていちばん内側の粘膜(子宮内膜)からつくられています。
子宮内膜は周期的に厚くなり、これがはがれて出てくるのが月経です。
■内膜が本来の場所以外に増生する
正常の子宮内膜は、子宮体部の内面(子宮腔)をおおっています。ところが、その子宮内膜と同様の組織が、子宮の内面(本来の場所)以外の場所(子宮筋層など)や骨盤の中や腸にまで存在し増生することがあり、これを広い意味での子宮内膜症と呼んでいます。
子宮内膜症は、内膜の組織が子宮体部の筋層内にくい込んでいる子宮腺筋症(内性内膜症)と、子宮の周囲や子宮の外に散らばっている外性内膜症に分けられます。しかし、実際に多くみられ問題となる内膜症は、子宮の外の骨盤内に存在するものなので、子宮内膜症と呼ぶ場合には外性の骨盤内子宮内膜症のことをさしていいます。
骨盤内子宮内膜症の好発部位は卵巣(チョコレート嚢腫)、子宮表面、子宮と直腸間の腹膜(ダグラス窩腹膜)、子宮靱帯、直腸、膀胱などです。骨盤内子宮内膜症の発生は20代にもっとも多くみられます。
子宮腺筋症では40代をピークに30~50歳まで幅広くみられます。
■急増する子宮内膜症
わが国では、生活スタイルの変化、晩婚、出産年齢の高齢化、妊娠、分娩回数の減少などにより、子宮内膜症は確実に増加しています。
生殖年齢女性の3~10%、不妊患者の25~30%、慢性の骨盤痛の20~90%、月経困難症の40~60%にみられるとされています。
■原因は諸説あって不明
本来は子宮の内腔にあるべき内膜が、なぜ子宮の筋層に入り込んだり、子宮の外に点在するかについては現在のところいろいろな説があり、統一したものはありません。さらに子宮腺筋症と骨盤内子宮内膜症では発生年齢に違いがあることから、発生原因に相違があると考える意見もあります。しかし異所的な内膜ができたところは、月経時に正常な内膜と同じように出血すること、子宮腺筋症も骨盤内子宮内膜症も女性ホルモン(エストロゲン)によって増殖が促進されることはよく知られた事実です。
■強い月経痛が特徴
症状は子宮内膜症の発生部位や病状の程度によって異なりますが、共通するのは強い月経痛です。月経に一致した下腹部痛や腰痛は約70~80%の人にみられ、これは症状の中でも特徴的で、しだいに増悪していく傾向があります。経過の長い骨盤内子宮内膜症では、月経以外にも月経時と同様の下腹部痛や腰痛がみられ、これに加えて性交痛や排便痛が認められることがあります。また、子宮腺筋症の場合ではしばしば月経の増量を伴います。
卵巣内に内膜症があると、月経時に少しずつ出血し、それが卵巣内に徐々にたまって、卵巣が腫大してきます。たまった血液は変性してチョコレートのような色になるので、チョコレート嚢腫と呼んでいます。この嚢腫は大きくなると破綻することがあり、突然の激しい下腹部痛や吐き気、嘔吐、時に発熱などがみられることがあります。
■不妊の原因になりやすい
子宮内膜症では不妊になる率が高いことがよく知られています。骨盤内子宮内膜症は癒着しやすいので、卵管や卵巣の周囲に発生した場合には、癒着により卵管が狭くなったり閉塞したりします。それにより卵管の可動性が失われて、卵巣から排卵された卵子を、卵管内に取り入れることができなくなるため、不妊症になることがしばしばあります。
子宮内膜症の診断と必要な検査
自覚症状のほかに、子宮内膜症の特徴的他覚所見である子宮後屈(癒着して可動性の悪い子宮)、痛みを伴う硬結(しこり)、卵巣の腫大などの有無を調べます。
まず、内診と直腸診が行われます。必要に応じて超音波検査、CTスキャン、MRI、子宮卵管造影法などの画像診断と、子宮内膜症時に高陽性率を示す血中腫瘍マーカー(CA125など)の測定などを組み合わせて行います。
微小な病変の診断や、さらに診断をより確実にする場合では、腹腔鏡検査を行うこともあります。
薬物療法と手術療法
治療法には薬物療法(ホルモン療法)、手術療法があります。年齢、病状の程度、将来子どもを希望するかどうかなどにより治療方針が異なります(図16-9)。
図16-9
男性ホルモン誘導体と偽閉経療法
薬物療法は、症状の改善、手術後の再発予防、妊孕性(妊娠する能力)の向上などの目的で行われます。従来の女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を使った療法に代わり、現在多く使用されている薬剤はGn-RHアナログ(偽閉経療法)、低用量ピル、ディナゲストという薬剤です。両剤はその作用は異なりますが、内膜の増殖を抑えるはたらきがあり、一般に6カ月間投与します。ダナゾールは経口薬であり、Gn-RHアナログには鼻腔噴霧薬と皮下注射の2種類があります。このため治療中は排卵も月経もなくなります。なお、時にこれらの薬剤使用中に少量の出血がみられることもありますが、少量で短い期間なら心配することはありません。もちろん薬の投与をやめれば再び月経が起こります。
ダナゾールは肝機能障害、体重増加、さ瘡(にきび)などの副作用が起こることがあります。Gn-RHアナログは骨量の減少や、のぼせ、ほてり、肩こりなどの更年期障害様症状が出現することがあり、症状が強いときは少量の女性ホルモンを投与することもあります。
妊娠の希望の有無で手術法を選ぶ
手術療法には根治手術、準根治手術、保存手術があります。
【根治手術】
子宮摘出と同時に両側の付属器(卵巣・卵管)を摘出する手術です。子どもを望まず、薬物療法が無効な重症例が対象となります。
【準根治手術】
子宮摘出と病巣の摘出を行う手術です。正常な卵巣を、可能なかぎり残すことによって、術後の肩こり、のぼせ、発汗などの卵巣機能欠落症状が防止できます。しかし、内膜症の再発を100%否定することはできません。
【保存手術】
妊娠する能力を残し、さらにこれをよくするために行う手術で、開腹手術と腹腔鏡で行うものとに分けられます。開腹手術では病巣の摘出、形成、癒着の剥離、子宮位置の矯正などが行われます。腹腔鏡術では病巣の焼灼、癒着の剥離、チョコレート嚢腫の摘出などを行います。
※不妊症
癒着が起こらなかった場合でも、子宮内膜症の腹水の中には受精を妨害するマクロファージなどの免疫細胞や、サイトカインなどの免疫反応物質が含まれていることが知られています。そのため、骨盤内子宮内膜症の女性の20~70%に不妊症を訴える人がいます。
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