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かゆ~い虫刺され。ちゃんと対策して夏を楽しもう!(1)
監修:野崎 誠 先生

のざき・まこと 皮膚科医(小児・一般)。わかばひふ科クリニック院長。山形大学医学部卒業後、山形大学医学部皮膚科入局。山形県公立置賜病院、国立成育医療センター、はせがわ小児科医院、江戸川台皮膚科クリニックなどを経て現職。都立東大和療育センター皮膚科でも非常勤で診療にあたる。
夏になると野山へ出かける機会が多くなります。虫よけスプレーをしていても虫に刺されてかぶれたり、長期間かゆみに悩まされたりすることがあります。また家の中にいても、ダニやノミなどに注意が必要です。虫に刺されないための予防策と、刺されてしまった後の対処法について特集します。
【身の回りにはどんな虫が?:家の中編】
蚊やノミ、ダニなどが代表選手
人に寄生するもの、動物(ペットの犬や猫、野鳥、ネズミなど)に棲みつくものなどさまざまですが、何の虫に刺されたかわからない場合、家族で同じ症状の人がいないか、虫自体を見た人はいないか確認することが大切です。もし同じように刺されている人がいた場合、家の中にいる虫に刺された可能性が高くなります。

- 蚊
家の中だけでなく、野山などどこにでも生息します。年齢や刺された頻度により、刺されてすぐにかゆくなる場合と、半日から1日経ってから反応が出る場合があります。
- ノミ
ペットの犬や猫などに寄生し、膝から下を刺される場合が多いです。刺されてから1~2日後に赤いぶつぶつと強いかゆみがあらわれます。
- ダニ
ネズミに寄生する「イエダニ」による被害が多く、布団にノミが潜り込んで、わき腹や下腹部、太腿などをさします。赤くてかゆみの強い丘状のさしあとが特徴的です。また人の皮膚の中に棲みつく「ヒゼンダニ」は、疥癬(かいせん)という皮膚病を起こします。疥癬トンネルと呼ばれる赤い帯状のうねうねや、赤いブツブツが特徴で、激しいかゆみをともないます。ヒゼンダニ自体は、非常に小さいため肉眼では見えません。
- トコジラミ(南京虫)
古いホテルや家屋に棲みつきやすく、昼間は狭くて暗い場所に潜んでいて、夜になると人をねらいます。手足の皮膚のやわらかい部分をさすことが多く、血を吸われたあとは強烈なかゆみに襲われます。
【身の回りにはどんな虫が?:アウトドア編】
刺されるとなかなか治らないブヨにご用心
野山などアウトドアで虫に刺された場合、何に刺されたかを特定するのが難しいですが、ブヨやアブ、ハチ、ケムシ、ツツガムシなど、一度刺されると治るまで時間がかかるものがあります。アウトドアに出かける際は、虫に刺されないよう注意が必要です。

- ブヨ(ブユ・ブト)
小型のハエのような形をした黒い虫で、体長は2~4ミリほどです。幼虫は渓流に生息するため、川遊びやキャンプの際には気をつけましょう。刺された直後は少量の出血があり、数時間後に強いかゆみと赤みが出現します。一度刺されると、しこりができてかゆみがなかなかひかないため、完治するまで数週間から数カ月、ひどい場合には数年にもわたる治療が必要になることもあります。
- アブ
ブヨと同じく水辺や湿地帯など水のある場所に生息し、早朝や夕方によく活動します。外見はハチによく似ています(実際はハエの仲間です)。刺されると激しい痛みがあり、その後強いかゆみを伴って、赤く腫れあがります。刺された後に、熱感があるのも特徴です。
- ハチ
庭の手入れやハイキングなどでスズメバチに刺されることが多く、刺された直後に鋭い痛みを感じ、数分後には刺された部分が赤く大きく腫れあがります。
- ケムシ
ケムシがいることに気づかず、知らない間に刺されていることが多いようです(全てのケムシが背中に毒針をもつわけではありません)。刺されると、小さな赤い発疹ができて、ヒリヒリとした痛みが出たあと、強いかゆみが出現します。
次のページでは、虫に刺されないための対策と、
刺されてしまった場合の対処法・治療についてご紹介します。