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どこまで食べられるか調べることが大切!食物アレルギーの最新医療(2)

どんな食べ物がアレルギーを起こしやすいの?加熱の有無や量によって食べられるの?

鶏卵、牛乳、小麦が3大原因食物。ピーナッツと蕎麦は重症化しやすい

即時型食物アレルギーを引き起こす3大原因食物は、鶏卵、牛乳、小麦で、3歳まではこれら3つが上位を占めます。しかし鶏卵と牛乳は耐性を獲得(治っていくこと)するにつれ、急激に減少していきます。数は少ないものの、ピーナッツやそばは症状が重くなりがちで、注意が必要です。

同じ食物でも、加熱したり、量に気をつければ食べられることも

3歳ぐらいの女の子。加熱された卵(スクランブルエッグ)を美味しそうに食べている。

鶏卵の場合、生や白身はダメでも、加熱した黄味は食べられるケースは多くあります。牛乳も、3ccまでOKなのでバターなら摂れる。25ccまでOKになると、小さな乳酸菌飲料なら飲めるけど、チーズはまだダメなど、加熱の有無や量などにより食べられるレベルが変わっていきます。
その子がどういう食べ方ならOKなのか、どのくらいの量までなら食べられるのかは、先に紹介した「食物経口負荷試験」で、1年に1回程度見極めることが大切です。

年齢により食べられる物が増えるのは、免疫や消化吸収のシステムが成熟するから

食物アレルギーは、3歳までの患者が65%を占めると紹介しました。それは3歳までには免疫や消化吸収の仕組みがきちんとできておらず、食べた物が形を残したまま腸管に入ることで、急激にアレルギーを起こしてしまうからです。免疫や消化吸収の働きが成熟するとIgE抗体が低下するとともに、胃酸・消化酵素がきちんと働くようになると、食べられる物がどんどん増えていきます。食物アレルギーのない子でも、3歳までは加熱した物を与えた方がいいというのは、殺菌等消化の成熟度と関係しているのです。

治療はどう進めていくことになるの?

「食べられるようになる」ことが栄養・食事管理(治療)の最終目標

食べると症状が誘発される食物は除去する必要がありますが、最小限にとどめます。成長することで食べられるものは増えていきますから、専門医とかかりつけの先生との連携を取りながら、症状に対処しつつ食べられる物を増やしていくことが大切です。同時に保護者は、症状が出たときのために薬を処方してもらい、対応方法も学んでおく必要があります。

★即時型食物アレルギーの場合の、かかりつけ医と専門医の連携フロー

ママと子ども(2歳ぐらいの女の子)が中心に。大きな病院の専門の先生が右側にいて、街のクリニックの先生が左側にいて、連携している様子

【かかりつけ医】
初診(問診)、血液検査、緊急時の対応など。
食物経口負荷試験が必要な場合は専門医を紹介してもらう。

 ↓

【専門医】
食物経口負荷試験、原因食物の確定、耐性の確認、食物除去の経過観察、食事・栄養指導、スキンケア指導など

 ↓

【かかりつけ医】
症状出現時の対応、ぜんそく・アトピー性皮膚炎に対する薬物の処方、一般疾患への対応など

栄養・食事管理はどうしたらいいの?

「念のために除去」は絶対にNG。思い込みではなく、専門医や管理栄養士の指導の下で

アレルギーが専門でない医師の助言や保護者の判断だけで、食物を除去するのは厳禁です。血液検査の結果や自己判断で、食物アレルギーだと思い込んでいる人は少なくありません。実際に食物経口負荷試験をすると、多くの食物の除去が必要な子はごく少数で、食べられないものは一つだけという子が大半です。
過去に軽い症状が出たからと除去をしてしまう保護者がいますが、過剰な食物除去は低身長・低体重をまねきますし、精神的な成長に悪影響を及ぼすことにもなりかねません。専門医の正しい診断に基づいて、必要最小限の除去のみ行いましょう。また食物アレルギーに精通した管理栄養士さんとの連携も不可欠です。

★妊娠中だから・・・
妊娠中のママが食事制限をしても、生まれてくる赤ちゃんの食物アレルギーは防げません。

★授乳中だから・・・
食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎の一部のケースで、授乳中のママに除去が必要な場合があります。無症状であるならば授乳中にママが除去食を食べてもアレルギーを防ぐ効果はありません。偏りのない食生活がいちばん大切!

★疑われるものはすべて・・・
食べられない食物は3つ以内の子が8割を占め、ほとんどの子は1つのみ。

★加工食品や調味料も・・・
医師の判断によって、除去する範囲を決めしょう。

【コラム:アナフィラキシーが起こってしまったら・・・】

一刻も早い手当が必要! 慌てないよう、対処法を医師から書面でもらっておく

アナフィラキシーは食物アレルギーのもっとも重い症状で、複数のアレルギー症状が同時に起こり、どんどん症状が悪化していきます。主な症状としては、息苦しい、顔色が悪くなる、嘔吐を繰り返す、声がかれる、胸が苦しい、激しい腹痛、ぐったりして意識がなくなるなどです。
いざというときに慌てないよう、誤食したときの対応を医師と相談しておき、書面でもらっておきましょう。

アナフィラキシーの対応方法

1. あお向けに寝かせる。嘔吐や呼吸困難があるときは楽な姿勢に(立たせたり、歩かせたりしない)

2. 救急車を呼ぶ

3. エピペン(アドレナリンの自己注射)を打つ。本人が打てないときは、園や学校の先生、救急隊員が打つ。

4. 足を15~30センチほど高くして血液循環を確保する

あなたの思い込みは都市伝説かも
食物アレルギー <ホント・ウソQ&A>

Q.妊娠中に、母親は遅延型フードアレルギーの検査を受け、値が高い食べ物は食べないように気をつけた方が良いってホント?

A.ウソです。遅延型フードアレルギー検査(および結果)には、科学的な根拠がありません。日本小児アレルギー学会では「推奨しない」という見解をまとめ、注意を促しています。たとえば、3日前に食べた物が頭痛を起こしたと言われても、その因果関係を証明することは不可能に近いです。妊娠中のお母さんは、神経質になることなく、バランスの良い食事を摂ることを心がけてください。

Q.上の子が食物アレルギー持ちです。下の子の離乳食を始める前に、念のため血液検査などをしたほうが良いってホント?

A.ウソです。食物アレルギーの検査は、食べてみて症状が出てから受けないと意味がありません。なぜなら全ての赤ちゃんに症状のない状態で卵に対する血液検査をすると、100人のうち30人に陽性が出て、その30人のうち最終的に本当の卵アレルギーだと診断されるのは10人前後です。残り20人はアレルギーでなくても血液検査に陽性反応が出たことで、必要がないのに除去食を食べさせることにもなりかねません。食物アレルギーの検査は、何らかの症状を疑って受けるようにしてください。

教えてDr.
2歳の息子に食物アレルギーがあります。祖父母は食物アレルギーの怖さを何度言っても認識してくれません。どうしたら理解してくれるでしょうか。

祖父母が子育てをしていた時代は、食物アレルギーを持つ子が少なく、あまり病気自体が知られていませんでした。そのため「このくらい食べさせても大丈夫だろう」と孫に食べ物を与えてしまう例が多く見られます。祖父母に言っても聞き入れてもらえない場合は、病院を受診する際に同席してもらい、食物アレルギーはアナフィラキシーに至り生命の危険に関わる可能性のある病気であることを専門家から伝えてもらうと良いかもしれません。

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