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妊娠中・出産後こそ血栓症に気をつけて!
リスクと予防法を正しく知ろう(1)

監修:泉 康二 先生

泉 康二 先生

いずみ・こうじ 医療法人社団「泉医院」院長。1977年3月、日本大学医学部卒業。同年5月より、日本大学医学部付属病院(駿河台・板橋病院)勤務。1979年6月より、大宮赤十字病院、国立立川病院などに勤務。国立立川病院ではのべ7年半に渡って診療を行う。1991年2月、泉医院(立川市)を開設。患者さんに何でも話してもらえる診療を心がけ、きめ細かな医療を実践している。

メディアの報道により、ピル(OC)服用による血栓症の発症リスクが大きくクローズアップされました。しかし実際は、妊娠中・出産後の血栓症リスクのほうがはるかに大きく、妊娠中や出産後のママは日頃から注意が必要です。血栓症とはどのような疾患で、どのように予防したらいいのか。専門の先生に詳しく伺いました。

血栓症って、どんな病気なの?

血管の中に血のかたまりができ、血管がつまってしまう病気

血栓症とは、血管の中で血液のかたまりができ、血管がつまってしまう(血液の流れを止めてしまう)病気です。
血栓ができる部位によって名前がつけられており、いちばん血栓が生じやすいのは“足(下肢・ふともも・足のつけ根)の静脈”で「深部静脈血栓症」といいます。脳梗塞や心筋梗塞も血栓症の仲間です。

エコノミー症候群は、足の静脈にできた血栓が肺に飛んで起こる

エコノミー症候群は、足の静脈にできた血栓が肺に飛んで起こる

飛行機の中やデスクワークなどで長時間同じ姿勢で動かずにいることで起こる血栓症を、俗に「エコノミークラス症候群」と呼んでいます。これは足の静脈にできた血栓が、血液の流れに乗って肺の動脈まで移動して血管をふさいでしまう病気で、正しくは「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」と呼びます。

足の静脈にできた血栓が肺に飛ぶと、命にかかわる事態にも・・・

血栓は足の静脈にできやすく、この血栓は肺の動脈に飛びやすいという特徴を持っています。
足に血栓ができると、血液の流れに乗って右心房、右心室を経由して肺動脈まで運ばれ、「肺塞栓症」の原因となります。この肺塞栓症は、早急に治療を受けないと生命の危険にかかわる非常に怖い病気です。
肺塞栓症と深部静脈血栓症はとても関係が深い病気で、これら2つを合わせて「静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)」と呼びます。

ピル(OC)を飲むと血栓症になりやすいの?

低用量ピルを服用することで、わずかに発症リスクは高まる。
しかし妊娠中・出産後のほうがはるかに血栓症になるリスクは高い

海外の疫学調査※によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間1万人あたり1~5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3~9人と報告されています。
一方、妊娠中および出産後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、年間1万人あたり、妊娠中は5~20人、出産後は40~65人と報告されています。
低用量ピルによる血栓症リスクばかりが大きくクローズアップされていますが、実は妊娠中や出産後12週間の発症リスクのほうがはるかに高いことがわかります。低用量ピルの服用時はもちろん、妊娠中と出産後の血栓症にも気をつけることが大切なのです。

※数値は日本産科婦人科学会HPより引用

低用量ピルを服用することで、わずかに発症リスクは高まる。しかし妊娠中・出産後のほうがはるかに血栓症になるリスクは高い

ピルの服用や妊娠/出産で、 どうして血栓症のリスクが高くなるの?

エストロゲンには、血液を固める“凝固作用”がある

女性の卵巣から分泌されているエストロゲンには、もともと血液が固まりやすくする凝固作用があります。
低用量ピル(EP配合剤)にはエストロゲンとプロゲスチン(合成黄体ホルモン)が含まれていますが、低用量ピルを服用することで血液中のエストロゲン濃度がアップし、血液凝固作用が高まると考えられています。

お産時の出血から母体を守るため、出産前には自然に、血液の凝固機能が高まる

一方、どうして妊娠・出産すると血栓症リスクが高まるのでしょうか。原因は複数あり、

1. 出産時には500cc程度の出血が見込まれるため、出血のリスクから母体を守るために、妊娠後期になると血液の凝固機能が高まる。

2. お腹が大きくなると腹腔内の静脈が圧迫され血流が悪くなる。

3. 妊娠するとエストロゲンの分泌量が増える。

4. 妊娠すると母体の血液量は非妊娠時のおよそ1.4倍となり、それにともない血小板や白血球の量も増える。そのため血液が固まりやすくなる。

などの要因がからまり合って、血栓症が起きやすくなるといわれています。

帝王切開での出産では、普通分娩より血栓症のリスクが7~10倍高まる!

出産後12週間での血栓症発生率は、年間1万人あたり40~65人程度だと前述しましたが、実は帝王切開による分娩では、経膣分娩よりも7~10倍、血栓症になるリスクが高まるといわれます。
帝王切開を始めとした婦人科手術では、骨盤内の操作が多い上に、手術後はなかなかベッドから起き上がれず横になったままの時間が多くなります。そのため血液の固まりができやすく、血栓症になりやすいとされています。
次のページでご紹介する予防法を参考に、血栓症にならないようママ自らが防いでいきましょう!

次のページでは、血栓症をどう予防したらいいのか、もし発症したら何科にかかればいいのかなどについてご紹介します。

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