トップページ > 女性と子どもの健康コーナー ここからげんき > 健康カレンダー > 若くても脳梗塞の前兆症状を見逃さないで!できるだけ早く専門病院へ(2)

健康カレンダー

毎日が忙しく健康に気が回らない方に役立つ簡単な健康維持の情報や、いつも健康に気を使っている方でも知らなかった健康のコツなど、生活の中で役立つ健康情報をご紹介します!

バックナンバー一覧

若くても脳梗塞の前兆症状を見逃さないで!
できるだけ早く専門病院へ(2)

どんな症状があれば、すぐに病院へ行くべき?

片側のまひやしびれ、顔がゆがむ、言葉がうまくしゃべれない、
などの症状があればすぐに病院へ

脳梗塞が疑われる症状があれば、一刻も早く医療機関(脳卒中の専門医のいる病院)を受診し、検査・診断を受けて治療を始めることが大切です。代表的な症状には3つあります。

(1)片側のまひやしびれ

まひとは、力が入らない状態(運動まひ)のことで、手に持っていた茶碗や箸を落として拾えなくなる、足が動かなくなってしまい、引きずるような感じになってしまうことです。脳梗塞の場合は、落とした物を拾おうとしても拾えなくなります。
しびれとは、ぴりぴり、じんじんするような感覚(感覚障害)です。長時間座っていて足が痺れたときの感覚に近いかもしれません。強くつねっても、痛みを感じない場合もあります。
これらのまひやしびれは身体半身(右半身か左半身)に起こるのが脳卒中の特徴です。
また小脳に梗塞が起きていると、手足はまひしていないのに、立てない、歩けないという症状が起きることがあります。
チェックの仕方としては、両手(両腕)を前に突き出して、片方の手だけ上がらないか下がってきたら脳梗塞の疑いがあります。足のチェックは片足で立たせることで行い、どちらかの足で立てなければ、立てないほうがまひしていることになります。

(2)顔がゆがむ

顔の右半分、あるいは左半分だけまひを起こして動かなくなります。口の角の片側が「へ」の字に下がるのでわかりやすいですが、もし分かりにくい場合には、鏡の前で口を「いーっ」と横に広げると、片側の顔の下半分がゆがんでいるかはっきりわかります。

(3)言葉がうまくしゃべれない

ろれつが回らなくなります。大脳の梗塞では特に「ラ行」が発音しにくくなり、小脳の梗塞では「タ行」が発音しにくくなります。これは言語障害の一種で、舌の片側がまひしたり、細かく調整できなくなり、うまく回転できないために起きる症状(構音障害)です。会話は理解でき、思ったことも口に出せますが、舌がうまく回らず、早口でしゃべれません。
ラリルレロといわせるか、あるいはパタカを繰り返し言わせてみて、滑舌やリズムが悪い場合には脳梗塞が疑われます。
これに対して失語症の場合には、思ったことが出てこない(運動性失語)、相手の言うことが理解できず会話にならない(感覚性失語)といった症状が起こります。
これらの言語障害は身体片側のまひとともに脳梗塞で最もよくみられる症状です。

ACT FAST で素早く行動!

アメリカの脳卒中協会では、ACT FASTキャンペーンを実施しており、今では世界中で展開されています。
これは脳卒中のチェックポイントの頭文字で

  • F…FACE(顔)片方の顔が下がっていないか
  • A…ARM(腕)片方の腕が下がってこないか
  • S…SPEECH(話)話し方がおかしくないか
  • T…TIME(時間)これら3つのうち、ひとつでもあてはまればすぐに救急車を呼ぶ!

脳梗塞の前触れは、他にもあるの?

数分から数十分、長くても24時間以内に症状が消えてしまう「一過性虚血発作(TIA)」の症状を見逃さないで!

TIAは、一時的に脳の血管が詰まることにより、手足のまひやしびれ、言語障害が起きるものです。しかしたいていの場合、数分から数十分、長くても24時間以内に症状が治まってしまうため、対処をされず「ちょっと体調が悪かったのかな・・・」と放置されがちです。
しかしTIAを放置すると本当の脳梗塞の発作へつながる可能性が非常に高く、TIA発症後早い時期ほど脳梗塞を続発する危険性が高いので、TIAを発症したらなるべく早く脳卒中専門医を受診する必要があります。TIAの段階で異変に気づけば、脳梗塞の発症を防ぐことができます。
TIAで良く起こる症状には、次の3つがあります。

数分から数十分、長くても24時間以内に症状が消えてしまう「一過性虚血発作(TIA)」の症状を見逃さないで!

(1)片側のまひやしびれ
(2)言葉がうまくしゃべれない

この2つは、脳梗塞の症状と同じです。しかしTIAの場合は一過性なので、しばらくすると症状が消えてしまいます。また先ほど挙げたテストをしても、TIAの発作中でないかぎり問題なくできてしまうので注意が必要です。

(3)片目が見えなくなる

片方の目だけがシャッターをおろしたように、“急に”見えなくなります。これは一過性黒内障という症状で、TIAの特徴的な症状のひとつです。“急に”というのがポイントで、最近見えづらい、このところ物が見えにくい、両眼とも見えにくいというのは眼科疾患です。

視野が欠ける「半盲」という症状も

また「半盲」といって、視野の左右半分だけ、あるいは4分の1だけ欠けてみえなくなることもあります。両目でも片目でも、同じように視野が欠けて見えるのが特徴です。

頭痛がひどいけど、脳梗塞の可能性がありますか?

頭痛は脳梗塞の代表的な症状ではない。激しい頭痛があるのは「くも膜下出血」

ひどい頭痛があると「ひょっとして脳梗塞?」と心配になる人もいるかもしれませんが、実は頭痛は脳梗塞の代表的な症状ではありません。激しい頭痛を伴うのはくも膜下出血です。
しかし特殊な原因の脳梗塞では、頭痛を伴うものもあります。「抗リン脂質抗体症候群」による脳梗塞で、片頭痛を伴うことがあります。また「椎骨動脈解離」では激しい頭痛がよく起こります。
脳梗塞で起こる頭痛は、急に起こることが特徴で、普段からある頭痛がひどくなったとか、頭痛がときどき起こる場合には別の病気の可能性のほうが高い(脳梗塞ではない)と考えられます。

脳梗塞の疑いがあったら、受診はどうしたらいいの?

治療は時間との勝負。異変があれば、ためらいなく救急車を呼んで!

急にまひやしびれが起こった、ろれつが回らなくなった、手足が動かない、片目が見えない・・・などの症状に見舞われたら、すぐに救急車を呼んでください。脳梗塞は意識を失うことがあまりないため*、「しばらく様子を見よう」と放置すると、取り返しのつかないことになってしまいます。
異変を感じた後、タクシーなどで病院に向かうと、緊急性がないと判断されて、長時間待たされてしまうことにもなりかねません。途中で症状が急変するかもしれませんし、渋滞に巻き込まれる恐れもあります。脳卒中の専門病院に運んでもらうためにも、救急車をためらいなく呼ぶことが重要です。
*意識を失う場合は、心臓のほうに原因があることが多いので循環器内科への受診が必要です。また、重症の脳卒中では意識障害を伴います。

治療は時間との勝負。異変があれば、ためらいなく救急車を呼んで!

できるだけ早く専門病院を受診することが、予後を決める

脳梗塞の治療は、t-PAという血栓を溶かす薬を使うことが多いのですが、脳梗塞を起こしてから4時間半以内しか有効ではありません。また血管内治療(カテーテルを血管内に通して血管を広げ血栓を取り除く)も、発症から6時間以内が限度とされています。
たとえば東京都の場合なら、t-PA治療の受けられる専門病院が予めリストアップされていますから、救急車を呼ぶことで確実に適切な医療機関へ搬送してもらえます。

普段から、脳卒中の専門医がどこの医療機関にいるか調べておくのもおすすめ

東京都のように救急医療体制が整備されている自治体ばかりではなく、まだまだ地域格差があるのも事実です。そこで普段から、t-PA治療や血管内治療を行っている医療機関や専門医を探しておくのがオススメです。いざというとき慌てずにすみます。

日本脳卒中学会 専門医一覧

日常生活できる脳梗塞の予防方法は?

☆こんなことは避けて!

ふんばるような運動や無酸素運動

適度なスポーツやエクササイズのような有酸素運動は健康な人が行えば脳の血流促進に効果があり、脳梗塞の予防につながります。しかし、中高年になったらアスリートでもない限り、強くふんばるような運動や無酸素運動はなるべく避けたほうがいいでしょう。また、手や足の血流量を制限して行うようなトレーニング(たとえば加圧トレーニングなど)は、静脈血栓症を起こしやすいので注意が必要です。

サウナ

発汗による脱水で血液が濃縮されてしまうので注意が必要です。危険因子のある人は脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まりますし、心臓に負荷がかかりやすいので心房細動の誘発にも気をつける必要があります。

喫煙

喫煙は動脈硬化を引き起こすなど、脳梗塞だけでなくあらゆる病気のリスクを高めます。脳卒中の発症率を、喫煙者と非喫煙者でわけると、喫煙者のほうがはるかに脳卒中の発症率が高く、喫煙本数が多いほど脳卒中のリスクは高くなります。
近年、総喫煙者数は減っているのですが、若い女性の喫煙率は上昇傾向にあり、若年性脳梗塞の発症要因のひとつになっています。禁煙をすれば、徐々にではありますが非喫煙者と同じ程度には、脳卒中の発症率を抑えることができます。自力でやめられない場合は、禁煙外来を受診することも検討してみてください。

お酒の飲み過ぎ

大量のアルコール摂取をすると、脳梗塞を発症しやすくなります。強いお酒(スピリッツ;テキーラ、ウォッカ、ウイスキー、ブランデーなどアルコール度数の高い酒)を短時間に大量に飲むのは特に危険です。アルコールそのものが血管を傷つけ、血管攣縮(れんしゅく)や心房細動などの危険な不整脈を引き起こしやすくなります。さらには、飲酒中は血圧が下がりますが、飲酒後は反動で上昇しやすくなります。またビールなどは利尿作用があるので、脱水症状に注意が必要です。
適量はビール1本程度、日本酒1合程度で、この程度の量なら脳梗塞を抑える効果があります。また動脈硬化を抑える作用のあるポリフェノールを含む赤ワインを、適量飲むのもオススメです。

生活習慣病を放置する

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、脳梗塞を引き起こす最大の危険因子です。また、これらの危険因子が重複すると脳梗塞のリスクはさらに高まります。上記の生活習慣病がある場合は、医師の指導を受けて生活改善を行い、必要な場合はきちんと治療を受けるようにしてください。
また主婦や自営業やアルバイトの人に多いのですが、長い間、健康診断を受けていない場合には、検診を受けて現在の健康状態を把握することも大切です。年齢を重ねるうちに、知らず知らずのうちに生活習慣病を発症している可能性があります。特に女性は閉経期をすぎると血圧、血糖、コレステロールが高くなりやすいので注意が必要です。

肥満・メタボリックシンドローム

肥満が直接脳梗塞につながるわけではありませんが、肥満によって引き起こされる高血圧や糖尿病、脂質異常症は、脳梗塞を引き起こす危険因子です。腹部内臓肥満を中心にこれらの危険因子を合併したメタボリックシンドロームになるとさらにリスクは増します。
国民栄養調査を見ると、炭水化物やたんぱく質の摂取量は増えていないのに、唯一、脂質の摂取量だけは増えています。食生活の欧米化で、脂肪(肉類)の摂取量が増えており、メタボリックシンドロームになる日本人が増えているのです。塩分の摂取量も欧米人に比べるとまだ多いですし、脳梗塞の発症リスクは依然として高い状態が持続しています。メタボの予防や治療には動物性脂肪の制限がもっとも重要です。

脂肪の摂り過ぎ、極端な健康法

“炭水化物(糖質)抜きダイエット”が流行っていますが、炭水化物を食べないと脂肪の摂りすぎになりやすくかえって危険です。脳の唯一の栄養源は糖質(グルコース)ですから、食事はバランス良く食べるのがいちばんです。乳製品やマヨネーズの摂りすぎにも気をつけてください。
昔から地中海式ダイエットは、長寿の食事とされており、脳卒中や認知症の予防に効果があることが科学的に証明されています。肉より魚を食べ、ナッツ類を摂り、果物・野菜をたっぷり食べ、赤ワインを適量飲み、オリーブオイルをたくさん摂る食事です。日常の食生活で取り入れてみるといいかもしれません。

レトルト・インスタント食品の食べ過ぎ

一人暮らしの若い人で多いのは、レトルト食品やインスタント食品の常用です。これらの食品ばかり食べると、ビタミンB6やB12および葉酸が不足し、ホモシステイン(血液中に含まれるアミノ酸のひとつ)が増えるので脳梗塞のような血栓症が起こりやすくなるとされています。

無理なダイエット

若い女性などが偏ったダイエットをすると、レトルト、インスタント食品を食べ過ぎたときと同じようにビタミンB6やB12および葉酸が不足し、ホモシステインが増えるので、血栓症を起こしやすくなります。
また腎臓を悪くすることでもホモシステインが増える原因になります。女性がよく罹る尿路感染症をこじらせ、腎盂腎炎などを繰り返すと、腎機能が低下してホモシステインが増えて脳梗塞を引き起こすことがあるので膀胱炎などの尿路感染症にかかったら、しっかりと完治するまで治療を続けることが大切です。

脳ドックは受けた方がいいの?

40歳以上で、何らかの危険因子がある、家族に脳卒中になった人がある場合は受けてみたほうがいいかも。専業主婦の人は定期検診も忘れずに!

脳ドックを受けることで、無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)や血管の狭窄などを見つけることができます。40歳以上で、生活習慣病などの危険因子がある場合、家族に脳卒中を発症した人がいる場合などは受けてみてもいいかもしれません。
また専業主婦の人は特に、会社員を辞めてしまったあと、定期検診を受けていない人がたくさんいます。若い頃のままの健康状態だと思い込んでいて、実は知らず知らずのうちに血圧や血糖値、コレステロール値が高くなっていたという人が少なくありません。これらの値が高いと脳梗塞の発症リスクが高くなりますから、自治体や夫の会社が実施している健康診断を受けることも大切です。

あなたの思い込みは都市伝説かも?
脳梗塞 <ホント・ウソQ&A>

Q.足がつると、脳梗塞の疑いがあるってホント?

A.ウソです。しかし足がつりやすい人は、ビタミンやミネラルが不足していたり、脱水状態(水分補給が足りていない状態)だったり、運動不足だったりする可能性があるので、脳梗塞の危険因子を持っているかもしれないとはいえます。

Q.怒りっぽい、イライラしやすい人は脳梗塞になりやすいってホント?

A.ホントです。怒ったりイライラすることの多い人は、イライラが脳梗塞の原因になることがあります。イライラすると交感神経が優位になってアドレナリン(カテコルアミン)が血液中に増えます。すると血管が収縮して血圧が上がり、脳梗塞を誘発する危険性が増します。また強いストレスがあると、不整脈も発症しやすくなります。またアドレナリンの分泌が続くと、血管攣縮(れんしゅく)が起こりやすくなります。
脳梗塞を発症しやすい人は、「A型気質(性格)」が多いとされています。負けず嫌いで短気、頑張り屋、向上心や競争心が強く、企業経営者や管理職など社会的な責任が大きい仕事に就いている人に多い性格です(血液型のA型とは無関係です)。そのアグレッシブな性格から強いストレスを抱えることが多く、それが脳梗塞の誘因となるとされています。
またA型性格の人には、高血圧や肥満、多血症を伴う「ガイスベック症候群」の人が多く、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすいことが知られています。

教えてDr. !

現在、妊娠初期(33歳)です。昨年頭痛が気になったので脳神経外科でMRIを撮影しました。結果、古い脳梗塞のあとが1箇所見つかりました。何年前のものかはわからないが、小さいし場所的にも症状は出ない場所と言われました。頭痛とは関係ないみたいです。治療の必要はないので、気になるようでしたらまた数年おきくらいに受診してくださいと言われました。ちなみにMRIをとる2ヶ月前には別の病院でCTをとりましたが異常なしでした。CTでは見つからないものなんですね…。

私が気になっているのは、隠れ脳梗塞がある人でも自然分娩は可能なのでしょうか。
前回の婦人科の検診日に隠れ脳梗塞があることは伝えましたが、さらっと流されてしまいました。たしかに脳神経外科を受診しなければわからなかったことですが。30代前半で隠れ脳梗塞が見つかるのは珍しいですかね?

まず前提として、「古い脳梗塞のあと」というのは本当なのか?という問題があります。画像診断(読影)が間違っていることはよくあり、大脳白質病変や血管周囲腔の拡大などを脳梗塞だと読み間違えている可能性があります。
もしそれが本当に「古い脳梗塞のあと」だった場合、サイレントゾーンと呼ばれる症状があまり出ないエリアにある場合は、無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)かもしれません。
本物の隠れ脳梗塞だった場合は、どのような原因で起こっているか、合併症や他のリスク因子があるかを調べる必要があります。原因を調べて、リスクの種類、程度、数によって個別に対応していくことが大切です。リスクが高ければ、胎児への影響(催奇形性や副作用)を勘案しながら、アスピリンなどの服用が必要になるケースもあります。

バックナンバー一覧

ご利用にあたっての注意・お願い

本コーナーに掲載する情報は、健康をテーマに、日々の暮らしのヒントとなる情報の提供を目的としているものであり、治療・診療行為を意図するものではありません。また、内容の正確性や、何らかの医療効果が得られることを保証するものではありません。
このことを充分ご認識の上、あくまで参考情報として本コーナーをご利用いただき、必要に応じ適切な医療機関の診察を受けるようお願いします。
本コーナーに掲載された情報、それに基づく行為により、何らかの不都合、不利益が発生し、また、損害を被った場合でも株式会社ベネッセコーポレーションは責任を負いかねますので予めご了承ください。